沖縄三線.com

沖縄のことあれこれ。

大田昌秀氏が死去 沖縄県知事、参院議員など歴任

2017-06-12 22:17:19 | ニュース

鉄血勤皇隊として苛烈な沖縄戦を体験し、沖縄県知事や参院議員などを歴任し、基地問題の解決や平和行政の推進、県経済の発展などに取り組んだ大田昌秀(おおた・まさひで)氏が12日午前11時50分、呼吸不全・肺炎のため那覇市内の病院で死去した。92歳。久米島町出身。

大田氏は1925年生まれ。45年、県師範学校在学中に鉄血勤皇隊に動員され、九死に一生を得た。早稲田大学を卒業後、米国に留学し、後に金門クラブの会員にもなった。68年に琉球大教授に就任し、メディア社会学を専攻し、新聞研究・報道研究などに従事した。1990年に革新統一候補として県知事選に出馬し、現職だった故・西銘順治氏を破り、12年ぶりに県政を革新に奪還した。歴代知事が問われる沖縄の心について「平和を愛する共生の心」と表現したことで知られる。

任期中の95年には平和の礎や県公文書館を建設し、平和祈念資料館の移転、改築にも着手した。96年には、基地のない沖縄の将来像を描き、沖縄の自立的発展を目指した「国際都市形成構想」を策定した。さらに、段階的に米軍基地を全面返還させるとした「基地返還アクションプログラム」をまとめ、国に提案した。国際都市形成構想の理念は現在の沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン計画」に引き継がれている。

基地問題を巡っては、歴代知事では最多の計7回訪米し、基地の整理縮小などを直接訴えた。95年には、米兵による少女乱暴事件が発生。地主が契約を拒んだ軍用地について、地主に変わって土地調書に署名押印する代理署名を拒否し、国に提訴された。

98年の知事選で稲嶺恵一氏に敗れたが、2001年の参院選に社民党から出馬し、当選した。07年の参院選には出馬せず政界を引退した。

研究者としての顔も知られ、とりわけ沖縄戦や高等弁務官の調査研究に力を注ぎ、住民視点から沖縄戦とその後の米軍統治下時代の実相を広く世に伝えた。著書は「沖縄―戦争と平和」「醜い日本人」「沖縄のこころ―沖縄戦と私」「沖縄 平和の礎」「これが沖縄戦だ」「総史沖縄戦」「沖縄の民衆意識」など70冊を超える。1998年には、沖縄研究で顕著な業績を挙げたとして東恩納寛惇賞を受けたほか、2009年には琉球新報賞を受賞した。2017年には、ノーベル平和賞候補にノミネートされた。

【琉球新報電子版】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ショートフィルムの映画祭、グランプリが決定 コリ監督の『born, bone, 墓音』は東京都知事賞受賞

2017-06-12 09:49:41 | ニュース

6月1日から開催中の、国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」(SSFF & ASIA)のアワードセレモニーが11日(日)に東京・明治神宮会館で行われた。

SSFF & ASIAは、米アカデミー賞公認となるアジア最大級の短編映画祭。世界140以上の国と地域から集まった約9000本の作品の中から、選りすぐりの約250作品を上映している。アワードセレモニーでは、インターナショナル部門、アジア インターナショナル部門、ジャパン部門などコンペティションの優秀賞と、グランプリが発表された。セレモニーのレッドカーペットには、審査員の大林宣彦監督、小倉智昭、マリエ、三上博史をはじめフェスティバルアンバサダーのLiLiCo、SSFF & ASIAの代表である別所哲也が登場。さらにプレゼンターとして小池百合子東京都知事やマギー、CGアニメーション部門の審査員である松下由樹も登壇した。

次年度の米アカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品となるグランプリを受賞したのは、アジア インターナショナル部門で優秀賞(東京都知事賞)を受賞した、ミャンマーのミミルイン監督による『シュガー&スパイス』。同作はミミルイン監督が自ら両親の生活する風景を記録した作品だ。監督は「私たちの国にはまだ知られていないものがいっぱいあるので、これからも映画を製作して世界中に発信していきたい」と受賞の喜びを語った。

また、ジャパン部門の優秀賞(東京都知事賞)は、ガレッジセールのゴリが監督・出演した『born, bone, 墓音』が受賞。さらに、インターナショナル部門の優秀賞(東京都知事賞)には、ニュージーランドのゾーイ・マッキントッシュ監督『窓から見える世界』、CGアニメーション部門の優秀賞には、ブラジルのアロイス・ディ・レオ監督の『巨人のならわし』、Cinematic Tokyo部門の優秀賞(東京都知事賞)には、番場秀一監督の『東京音℃』がそれぞれ選ばれた。

授賞式の総評を述べた大林監督は、昨年8月に肺がん第4ステージで余命3ヶ月だと宣告された、と告白。巨匠・黒澤明監督から晩年に「映画には世界を平和に導く美しさと力があるんだよ。俺があと400年生きて映画を作り続ければ俺の映画で世界をきっと平和にしてみせるけど、俺の人生は足りない。君や君の子供、孫が俺の400年先の映画を作れば、そのときは世界から戦争がなくなる、それが映画の力だ」と言われたエピソードを披露し、若い作り手たちに「俺たちの続きをやってね」と語りかけた。大林監督の情熱は冷めることなく、予定時間がオーバーしている知らせを振り切り、約20分にわたりトークを続けていた。

なお、このSSFF & ASIAはグランプリ受賞が決まっても25日(日)までは行われているので、受賞作を見られるチャンスも残っている。そのクオリティを自分の目で確かめてみよう。【Movie Walker】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする