特許を取得したナビゲーションシステムをアピールする生活地図の西石垣見治社長=13日、浦添市
地図上の建物に地番を表示することで、自分が現在いる場所を分かりやすくした新しいナビゲーションシステムを地図メーカーの生活地図(浦添市、西石垣見治社長)が開発した。住所など明確な目的地が必要だった従来のシステムと違い、街中に掲示されている地番を「街中にある座標」として気軽に散策ができるようになるとし、同社は「散策観光が可能になり、観光の深化につながる。防災など幅広い分野に活用できる」と意義を語る。
新システムは衛星からの位置情報に加え、地図上に表示された地番と街中の建物や自動販売機に掲示された地番を人間が照らし合わせることで、現在地や向いている方向を正確に確認できるようになるのが特徴だ。
国土地理院の地図情報を基に開発し、2016年10月に特許を取得した。
緯度・経度といった座標のみで現在地を測定する従来のナビシステムは、建物に囲まれた十字路などでどの方向に進んでいるか分からなくなることがあり、数十メートル進んで間違ったことに気付くなど無駄が生じていた。衛星利用測位システム(GPS)にも精度面で誤差が生じ、入り組んだ道での利用に課題があった。
西石垣社長は従来のナビの利用方法が目的地へのルート検索などに限られていたと指摘する。その上で「観光では見知らぬ土地を散策しながら予期せぬ観光スポットや文化財を見つけるのも醍醐味(だいごみ)だ。特に外国人は散策するのが好きで、現在地を確認しながら歩くのに貢献できると思う」と期待した。
大規模災害時に道路の陥没や建物の倒壊で進めない道があった場合にも、新システムは残った建物や自動販売機などに張られた地番を基に現在地を確認しながら避難路を探索できる。観光地や避難所などさまざまな情報を地図上に載せることも可能となっている。