9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について マイケル・ハドソン著<超帝国主義国家アメリカの内幕> その6

2018年11月12日 | 日記
とあるスナックで

コー
長いエピローグだけど読んでいこう。


エピローグ  米国債本位制による通貨帝国主義

・・・・・。

1985年のプラザ合意で、日本は自国の金利を引き下げるよう強いられたが、それは国際的な金融圧力によりアメリカの金利が上昇して、日本経済を破壊するためには手段を選ぶまいとしていた共和党官僚の再選を妨げることがないようにだった。ヨーロッパ諸国も同じような圧迫を受けた。債務を抱える国々は、アメリカのプランナーが自国経済には適用しようとしなかった緊縮プログラムを甘受させられた。2001年12月にアルゼンチン政府を揺さぶったIMF騒動は、このダブル・スタンダードの最新の例であるにすぎない。

結果として、1971年に金とドルとの交換が停止されて以来、諸外国の中央銀行が何千億ドルという米国債を購入したにもかかわらず、ドルの価値はドイツ・マルクや円(1995年まで)、その他の交換可能通貨に対して大幅に下がった。第三世界のドル使用者は、石油や銅やその他の原料の価格がドルで表示されるままだったので、巻き添えの被害を被った。一方アメリカ政府の債権国への公的負債は、インフレによって目減りしていったが、これは、1973年の穀物ーーオイル・ショックから1979~80のカーター ボルカー・インフレまでに起きた飛躍的な変動により加速された。

ドルの価値下落によってもわずかばかりの競争力しか得られなかったアメリカ政府は、固定シェア交渉を行うことで世界市場のシェアを保持しようとした。そのため世界貿易は、管理市場というプロクルステス(旅人をベッドに寝かせて長すぎる足は切り落とし、短すぎる足は引き伸ばしたというギリシャ神話の強盗)のベッドと化す恐れにさらされることになる。アメリカ当局は、外国経済に対し、アメリカの輸出業者への固定市場シェアを保障するよう要求するばかりか、一方的に輸入割り当てを押しつけることで世界貿易ルールを破るのである。

他方、国際収支の面でアメリカ政府は、他国が軍事予算中に、アメリカ制の武器購入にあてる一定額を確保しておくよう主張している。西ドイツと日本はアメリカ軍駐留費を国家予算の一部として支払えと言われているが、それに対応する軍や武器の統制権は与えられていない。それら二国はまた、アメリカ政府にそれと同額のドルを貸すよう要求されているが、そういう名ばかりの貸付がいつ返済されるのか、あるいは返済されることがあるのかどうかについては、漠然たる見通ししか立っていない。

各国の中央銀行が自国の国際準備にドルを追加することを強いられるたびに、その国の市民に属するそれと同じ量の資産が、アメリカの国際収支赤字を、そしてそれと並行してアメリカの連邦予算の赤字を埋めるために移転していくことになる。アメリカの対外赤字は、1979年代初めには年間100億ドルだったが、1980年代の末になると年に1500億ドル近くにまでふくれ上がり、20世紀の末にはその二倍に達している。

これほどの大きさの赤字が1973年春のような危機をもはや引き起こさないのは、ヨーロッパ、日本、OPEC諸国その他のドル蓄積国の中央銀行が、まさしく通貨帝国主義と呼べそうなものに完全に屈服しているからだ。この超帝国主義の媒体となっているのは、民間の多国籍企業や民間金融資本ではなく、中央銀行である。国際金融におけるそれらの術策を通じてアメリカは、ドル・ブロック内の友邦から資産を引き出してきた。それをなしとげたのは、債務の償還を強要する債権国という古典的な形においてではなく、自国の多国籍企業やその投資活動を通じてでもなく、明らかに輸出競争力や自由競争によってでもない。この搾取技術には、アメリカ財務省への強制的貸付を獲得するための、各国中央銀行やIMF、世界銀行やそれと結びついた地域的な貸付機関などの巧みな利用が含まれている。この不正なゲームによりアメリカは、世界に歯止めなくドルをあふれさせることができ、外国の資源や会社、商品やサービスを価値の疑わしい(価値が低下していくのは確実だ)アメリカ政府債権以外は何一つ見返りを与えることなく、わがものにしたのである。

要するに、アメリカは世界的な債権国の地位を通じてではなく、世界的な債務国として支配が可能になっている。世界の銀行家であるより、他国すべてを自国への貸し手にしている。債務国としての地位はもはや弱点ではない。アメリカの弱みと見えるものが、こうして世界の通貨・金融システムの基礎となった。このシステムをアメリカに不都合に変えれば、アメリカへの融資国の破滅がもたされるだろう。

ーーーー。(続く)



小林
こんな片寄った、アメリカだけが有利な仕組みなんですかね、世界の金融・経済の仕組みは。


コー
どうもそうらしい。
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9.11について  マイケル・ハドソン著 <超帝国主義国家アメリカの内幕> その5

2018年11月12日 | 日記
とあるスナックで

コー
それではまた読んでいこう。


エピローグ  米国債本位制が完成させた通貨帝国主義


米国債本位制の最も搾取的な特徴は、第二次大戦末期IMFの後援によりドルが基軸通貨として採用されたことから必然的に生まれてきている。当時の金融状況の中ではそれは一見客観的に見えたし、そういう結果をもたらすことにはほとんど気づかれなかったのが・・・・。諸中央銀行は、外貨準備を作るのに、金を購入する以外には、アメリカ財務省債権を買う・・・つまりアメリカ政府が外国政府に債務を負う・・・しか選択の余地がなかった。中央銀行はそれらの利子付きドル債権を、一オンス三五ドルでいつでも金と交換できる基軸通貨準備として保持した。

このシステムは、アメリカの国際収支が赤字に向かい、金がヨーロッパに・・・大戦が近づく中で資本逃避として金をアメリカに送った民間金保有者のもとにではなく、中央銀行、ひいてはフランス、ドイツ、その他諸国政府に・・・戻りだした時に、その全貌が明らかになり始めた。増大するアメリカの赤字は、民間部門の貿易や投資ではなく、海外での軍事支出に由来していた。朝鮮戦争の間にゆるやかに始まり、ベトナム戦争の勃発と共に勢いを増した金保証の減少は加速度的に進み、流通通貨の25パーセントという法定の限界値に迫った。

アメリカの国際収支赤字が帯びたこの軍事・政治的色調は、決定的な重要性を持っていた。アメリカ政府は今や、ヨーロッパの債権国のほとんどや多くのアジア人が賛成しない政策に資金を注ぎこむために、赤字を計上していたのである。軍事的な赤字の圧力を受けて、政府はますます対外貿易や投資の分野に介入するようになった。それを際立たせるのは、銀行の海外貸付とアメリカ企業の海外での資金調達に課qした統制だ。その結果、アメリカ企業は外国のドルで外国企業を買収せざるをえなくなった。

しかしそれらの統制も、時間的な面で十分ではなかった。1968年にアメリカは金の交換窓口を閉じ、1971年には正式にドルと金とのつながりを断ち切る。1973年の春までには、その後20年近くアメリカが追求することになる戦略が繰り広げられていた。1945年に自ら支持した国際金融における貸し手優位ルールにしがみつく代わりに、アメリカは、債務国の地位を利用して、債権国として可能な以上に外国から譲歩と富を無理やり引き出したのだ。アメリカは黒字国に対し、1950年代と1960年代のアメリカの投資家がやったことを棚に上げ、手持ちのドルをアメリカ企業の買収に使わないように要求している。さらに、債務を負った第三世界とCOMECON諸国には相変わらず債権国スタンスを取りつづけながら、ヨーロッパやアジアの中央銀行には、米国債本位制を通じてほとんど自動的な貸付を差し出すように強いた。

ヨーロッパ、アジア、そして他の国際収支黒字国地域は進退きまわった。もしドルを吸収してそれをアメリカ財務省に還流せずにおけば、ドルの価値は下がってしまうだろう。明らかにこれはアメリカの生産者に競争力を与え、交換可能通貨を持つ国々の輸出業者を不利にする。ところが、アメリカのただ乗りが収支改善に役立たなかったように、アメリカの赤字幅はますます広がるばかりだった。というより、アメリカは収支改善になどほとんど興味がなかったのだ。興味を持つはずがどこにある?結局のところアメリカは、赤字の埋め合わせに外国の資金を取り入れるべく自国の金利を上げることを一貫して拒否してきた。国内での経済活動が停滞するという理由でだ。赤字を続けている他の国々には、外国の債権者に支払いをするために自国経済を犠牲にせよと要求しておきながらである。
・・・・。(続く)



小林
いやーすごいですね。戦後すぐには債権国として世界経済の仕組みをアメリカ有利に作り、そして赤字が続いて債務国になっても、今度は債務国としてアメリカだけが有利な仕組みをつくってきたということでしょうか。<アメリカに対して借金を返せだと!ふざけるな、アメリカが潰れたら世界はどうなる。黒字国のお前の国もつぶれるんだぞ。わかっているのか!だったら借金を返せなんて言わずに、今まで通りにアメリカに金を貸し続けるんだ、わかったか!>ということなんでしょう。


コー
そう、そしてアメリカ以外の国には借金が多くなって返せなくなったら、自国の資産を外国に売って借金を返すべきだというわけだ。

<通貨帝国主義>とはこういう事なんだな。
コメント
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