9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について  <公共貨幣>が世界へ船出する その3

2018年11月16日 | 日記
とあるスナックで

小林
この間の、「メーリングリスト」での話し合いの続きをしましょう。
「量子コンピューターの問題」と「BIS]の問題でしたね。


⑧苫米地英人さんという暗号通貨の専門家は量子コンピューターが完成すると現行のブロックチェーンは全て破られるといいます。EPMはどう対処しますか?


これは長いです。
この問題を苫米地英人さんが使うのは技術者系としてはモラル違反と思います。
彼の履歴を知っているだけに微妙です。
今は本を売るためのレトリックでしょう。
この手の話が一般マスコミでも横行しているので私は結構嫌な感じを持っています。
最終的には読者のインテリジェンスが上がらない限りこの様な話はいつも出ると思います。

まず、まともな情報科学系のコースでは計算量問題を扱います。
今ではWikiでわかりやすく解説しているので説明しやすいです。
わかりやすくと言っても数学的に最先端で内容の本質的理解している人は少数でしょう。
苫米地さんもそうですし、私もそうです。
「計算複雑性理論」という分野で、WikiのURLを上げておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%88%E7%AE%97%E8%A4%87%E9%9B%91%E6%80%A7%E7%90%86%E8%AB%96

まず、暗号通貨、より広くは暗号は現在計算の複雑さに基づいています。
公開鍵暗号 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E9%96%8B%E9%8D%B5%E6%9A%97%E5%8F%B7
現在は1976年までの共通鍵暗号に変わって、公開鍵暗号方式が使われています。
この中でも典型的なRSA暗号方式をとって説明します。
安全性は素因数分解の困難性(フェルマーの小定理)に基づいています。
この解読を行うにはNPクラスの問題を解けなければなりません。
現在はこれを多項式時間で解く方法は見つかっていません。
この問題を「P = NP 問題」と言い、この難しさは物理の究極理論「超重力理論」よりも難しいとも言われています。
なかなか見つからないので多項式時間(P)で解くことは出来ないと思うひとが多い様です。
しかし、「P = NP」であると公開鍵暗号法は崩れ、新たな暗号法、もしくは別の仕組みを考えなければならない事になります。
この話は情報系、数理系では常識ですが一般人はあまり馴染みないかもしれません。

暗号通貨は量子コンピューターで破られる話はもう少し簡単で計算の複雑性クラスを仮定した上での計算パワーによる解読問題になります。
「P ≠ NP」を仮定した話です。
主な複雑性クラスはこんな感じです。
下に行く程計算機パワーが必要です。
<実用的な時間で解けるクラス>
P(多項式時間)
BPP
BQP
<実用的な時間で解けないと疑われているクラス>
NP(NP困難, NP完全)*ここが話題の素因数分解の困難性のクラス
co-NP
PSPACE
<実用的な時間では解けないクラス>
EXPTIME、NEXPTIME、EXPSPACE、ELEMENTARY、PR、R、RE ALL

さてそれでは実際、「NP問題を量子コンピュータで解く」問題をググりますと、
量子コンピュータとNP完全問題
https://blog.goo.ne.jp/sdpaninf/e/f5740d0f6669327b11bc9f8d3ccd2818

量子コンピュータで効率良く解くことができる問題のクラスは BQP (bounded-error, quantum, polynomial time)と呼ばれていて、因数分解などが含まれている。
クラス BQP にクラス P が含まれることは明らかだが、NP 完全問題は クラス BQP に含まれないと予想されている(証明されたわけではないが)。
というわけで量子コンピュータで NP 完全問題を解いても、やはり指数時間かかってしまうという可能性も高い。

という回答があります。
また、
計算複雑性にまつわる 10 の誤解
http://dopal.cs.uec.ac.jp/okamotoy/PDF/2013/complexity10confusions.pdf
P41あたりにも解説があります。

この様にまだよくわかっていないということが現実で、量子コンピュータの能力も計算量クラスから言えば大したことが無いと思います。
すなわち、量子コンピュータで現在のRSA暗号が解けたとしても、より強力な計算クラスが設定されれば破られない暗号ができるでしょう。
一方向性関数(簡単に計算できるが逆関数の計算は非常に困難である関数)がキーでこの組み合わせを満たすアルゴリズムを探す事になります。

これが数学、計算量理論による説明で、結局量子コンピュータができてもいたちごっこは永遠に続くと思われています。

また現実にはRSA暗号も計算機パワーで解ける場合もあるので、結局コンピュータパワーを持つ組織の問題になります。量子コンピュータ持てる国、組織も限られるでしょう。
核爆弾と同じ問題が潜んでいます。
一般人はここに注力すべきでしょう。
実際、第2次世界大戦での日本の共通鍵暗号は欧米に破られていました。
暗号の歴史に学ぶことが重要でしょう。

また、不完全な技術なので使うのはやめようと言った話がありますが、これも現実にはなかなか無理でしょう。
古くは、科学技術は、公害などを引き起こすため使用禁止にしようという話がありましたが、利便性の魅力には勝てませんでした。メリット・デメリットのトレードオフデザインが重要でしょう。
それでも尚その技術を捨てたいという欲望を持つ人たちはいます。
スタートレックなどでも科学文明を捨てた種族の話をいくつもしています。
ただ、現実の残念なところは、地球が有限ということです。そして技術の加速度化によってグローバリゼーションがすごい勢いで進みます。
反対派の少数派はその社会を作れないわけです。
このことは物理的には「光速度不変の原理」が働いている事による実質の制約と思っています。
これが破ることができるかどうかで宇宙への展開がかかっている様な気がします。

ということでEPMトークンはまず安全という事になります。
実用的な量子コンピュータ実現まではまだ数十年かかりますし、それまでには新しい貨幣システムに移行しているでしょうし、日銀の研究者も考える様にマネー自体が消失してしまっているかも知れません。
時間軸と、世界での状況と言った空間軸での理解が必要と思われます。



⑨スイスのBIS本部を取り締まれば金融システムを変えれると言っている人がいますがどうでしょうか?


BISについてはバーゼル合意(BIS規制)ぐらいしか知りません。
Wikiによりますと
「BISは、世界各国の中央銀行が出資する法人であり、2011年現在58か国の中央銀行が株主となっている。最高意思決定機関は株主中央銀行の代表が出席する総会(General Meeting)で、組織規定の改正、決算の承認などの権限を有する。年1回、6月末から7月初に開催されているが、臨時総会の開催も可能となっている。」
の様な組織ですね。
『2017年4月に同行のグローバル金融システム委員会は「レポ市場の機能」という報告書を公表、各中銀の量的金融緩和政策が世界各国の市場から手堅い債券を買い占めたせいで、一般機関投資家のレポ市場が担保の供給を受けられず機能不全に陥っているという見解を示した。』
この様なことが問題なのでしょうか?
よくわかりませんが、皆さんから問題点を上げていただければ助かります。

公共貨幣の流れは各国の中央銀行の変容を迫ると思います。
その結果新しい中央銀行組織からのBISになるかも知れません。。
中央銀行間の連携を見ながら一緒に考えたいですね。

**さんの9つの課題は非常に素朴な視点と考えられます。
私もこれをベースに課題を作って見たいと思います。

ありがとうございました。



コー
「量子コンピューター」の問題は、まず大丈夫だという事かな。

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9.11について  マイケル・ハドソン著 <超帝国主義国家アメリカの内幕> その7

2018年11月16日 | 日記
とあるスナックで

コー
では、また読もう。

エピローグ

そういう破滅に対しヨーロッパやアジアが恐れを抱いているために、アメリカは、イギリスが19世紀に支配したのと正反対のプロセスを通じて世界経済を支配できている。イギリスが自らの帝国を統治したのは、世界の銀行家としての地位だけではない。世界の銀行家として、参加者に公平と考えられてきた伝統ある方針に基ずく国際的支払いメカニズムを保証する責任を担っていたからなのである。世界の中央銀行として、イギリスは、国際金融システムをきちんと機能させる責任を引き受けていた。

もしイギリスがなかまのイギリス連邦加盟国に向かって、「確固たる資産の裏づけもなく、支払うつもりもないただの紙切れのようなポンド債権を発行させてくれなければ、お前たちの経済は崩壊するぞ」と脅したとすれば、それは、まさに市民的宗教の地位にまで昇格していた政治学への反逆だったろう。他の国々はイギリスと袂を分かち、それほど圧政的な経済から完全に独立するために戦争の危険すら冒したかもしれない。(コー注:現在のアメリカはこのように同盟国にさへ、脅しているという事か)

イギリス帝国のやり方は、今日のアメリカのそれと何と対照的なことだろう!世界への食糧輸出国としての地位を手放したくなかったアメリカ政府は、(ヨーロッパ共通農業政策に戦いを挑んで破れたので)アジアやかつてのソ連、そして第三世界諸国に対し、食糧をアメリカの輸出に依存することを要求した。軍事的依存も同じく要求した。ところで、アメリカが支配的な地位を占める部門は、主としてエレクトロニクスと軍事関連技術を基盤としている。アメリカはそれらを脱工業化経済として前面に押し出し、一方経済全体を通じて、重工業や肉体労働の規模は縮小させつつある。

アメリカが、国際金融の米国債本位制を通じて世界の銀行家であり続けるのは、債務国としてであって、イギリスがそうだったように有形の見返り物資の上に立って銀行業をこなす債権国としてではない。1945年に間に合わせのシステムとして始まったものが、アメリカが一方的にドル・ブロックの友邦の資産を吸い上げる能力となってしまった。そしてそれら友邦は、世界金融の破滅をもたらすことなしにはそのプロセスを止めることができない。1968年以来、圧力のキーポイントは、アメリカの外交官が見せた、もし外国の中央銀行がドルをアメリカ財務省に再融資するのを止めたら、すぐにでも世界の破壊者として振舞うぞという態度だった。これは、ニクソン大統領の”狂気の爆弾男」的脅迫を金融面で繰り返したものにほかならない。もし思い通りにならないのなら、アメリカは怒りに任せてでたらめに振る舞い、その結果世界はひどい目にあうだろうというのである。

こういう態度を取るにあたり、アメリカは他国にまねのできない一つの選択肢を享受している。国内市場が広大なので、アメリカは”独り我が道を行く”ことができるのだ。その金融的請求権や、今や世界経済に浸透しているドル債務という上部構造ーー外国人によるアメリカへの高度の直接投資と結びついているーーを考えると、アメリカの自給自足への動きは、世界の金融システムを破壊してしまうかもしれない。

こうした崩壊という幽霊のおかげで、アメリカの外交官は、スムーズに機能する国際的取引や決済にもっと大きく依存している国々には手の届かない選択の自由を得ている。対外貿易はアメリカのGNP中わずか5%程度を占めるにすぎず、おおくのヨーロッパ諸国の25%前後とは雲泥の差だ。諸外国の中央銀行は、一兆ドル以上もの米国債を保持している。ヨーロッパとアジアが自前の通貨システムをドル本位制に置き換えることができるまでは、そして、自らの自給を達成する第一歩として貿易・投資戦争というリスクを引き受けようとするまでは、アメリカ経済は自らが身分相応に暮らすべきだと感じる理由を見いだせないだろう。

米国債本位制が差し出すよりもっと公正で平等な国際経済を作り出すための歩みを妨げているのは、この制度の本質的に搾取的な性格が一般的にあまり知られていないという事実だ。これを知ることが、世界金融外交の中心的な前提条件となるべきだろう。
(コー注:おそらくマレーシアのマハテェールは知っているんじゃないだろうか、そんな気がする)

アメリカは第三世界の債務国を、自らに従順なエリート層を通じて支配している。債権国たる先進工業国内では、アメリカとIMFへの金融的従属を説くシカゴ学派の”輸出のためのマネタリズム”学説を学んだ中央銀行家がアメリカの利益を代表してくれるのを知っている。ヨーロッパとアジアの政治家や有権者を取り込むために、アメリカ政府は自国経済が、世界経済の安定を守る客観的で技術主義的な英知を指導的に実践していると、声高に、ほとんど絶えず繰り返している。

しかし、それらの主張のアカデミックな基礎---それらの経済理論と統計モデル---は、IMFと世銀が過去何十年間にわたり、第三世界と旧共産主義世界の経済をゆがめるために使ってきた、相も変わらぬ役立たずのマネタリズム的政策なのだ。日本においてはどうだったろうか。アメリカの外交官は、経済的挑戦を仕掛けてきた日本をプラザとルーブル合意に従わせることで、やすやすと日本の力を打ち崩した。それらの経済的自殺とも言える合意により、日本はバブル経済をふくれあがらせ、1990年以後実際に破綻することになるのであ

日本は、イギリスが第二次大戦後に屈服したのと同様に、自国の経済政策をアメリカのアドバイザーの指令にゆだねてしまった。それはまるで、アメリカの提案が真に外国の利益を願っており、世界の発展を自国の国益の上に置いているかのようだった。今や、アメリカのリーダーシップに対するそういう信頼は間違っていたことが、すべての国に明らかにならなくてはならない。にもかかわらず、1985年から86年に日本が金利を下げてバブル経済を作り出すよう要求されたのは、単に共和党政府の再選を助けるためアメリカ国内の景気をを煽り立てるためでしかなかったのを理解している日本人はどれだけいるだろう?

第二次世界大戦の終結にあたりアメリカの保護の下で約束された、自由市場に基ずく公正な世界経済は、その代わりに、先例を見ない政府統制の時代を導きだすことになった。アメリカ以外の国では、金融部門を通じて中央集権的な経済計画が推し進められたが、それは、マネタリストの教科書にある生産や生活水準の向上のためではなく、利子や配当をしぼりだして外国に送りださせるためだった。この種の”自由市場経済”は、徐々に力を増す搾取から自国社会を守ろうとする政府への単なる攻撃へと堕している。公的課税への反対がかかげられるのは、債務国から支払われる利子や配当の形にせよ、債権国からアメリカ財務省への中央銀行貸付にせよ、アメリカに向かう経済的余剰がより大きくなるためでしかない。


古典的な経済世界は完全に逆転した。アカデミックなエコノミストたちには、この現実を自らの理論化に組みこむ仕事が、そしてアメリカ以外の国々には、新たなダイナミクスの分析を将来の対外政策に組みこむ仕事が残されている。

エピローグ----(終わり)




小林
いじめているアメリカ側の著者が、こんな仕組みでいいんですかと言ってくれているのに、いじめられているほうは、ちっとも理解できないし、知らないという事なんですか。


コー
残念だけど、どうもそうらしい。
コメント
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