とあるスナックで
小林
コー
小林
この間の、「メーリングリスト」での話し合いの続きをしましょう。
「量子コンピューターの問題」と「BIS]の問題でしたね。
⑧苫米地英人さんという暗号通貨の専門家は量子コンピューターが完成すると現行のブロックチェーンは全て破られるといいます。EPMはどう対処しますか?
これは長いです。
この問題を苫米地英人さんが使うのは技術者系としてはモラル違反と思います。
彼の履歴を知っているだけに微妙です。
今は本を売るためのレトリックでしょう。
この手の話が一般マスコミでも横行しているので私は結構嫌な感じを持っています。
最終的には読者のインテリジェンスが上がらない限りこの様な話はいつも出ると思います。
まず、まともな情報科学系のコースでは計算量問題を扱います。
今ではWikiでわかりやすく解説しているので説明しやすいです。
わかりやすくと言っても数学的に最先端で内容の本質的理解している人は少数でしょう。
苫米地さんもそうですし、私もそうです。
「計算複雑性理論」という分野で、WikiのURLを上げておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%88%E7%AE%97%E8%A4%87%E9%9B%91%E6%80%A7%E7%90%86%E8%AB%96
まず、暗号通貨、より広くは暗号は現在計算の複雑さに基づいています。
公開鍵暗号 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E9%96%8B%E9%8D%B5%E6%9A%97%E5%8F%B7
現在は1976年までの共通鍵暗号に変わって、公開鍵暗号方式が使われています。
この中でも典型的なRSA暗号方式をとって説明します。
安全性は素因数分解の困難性(フェルマーの小定理)に基づいています。
この解読を行うにはNPクラスの問題を解けなければなりません。
現在はこれを多項式時間で解く方法は見つかっていません。
この問題を「P = NP 問題」と言い、この難しさは物理の究極理論「超重力理論」よりも難しいとも言われています。
なかなか見つからないので多項式時間(P)で解くことは出来ないと思うひとが多い様です。
しかし、「P = NP」であると公開鍵暗号法は崩れ、新たな暗号法、もしくは別の仕組みを考えなければならない事になります。
この話は情報系、数理系では常識ですが一般人はあまり馴染みないかもしれません。
暗号通貨は量子コンピューターで破られる話はもう少し簡単で計算の複雑性クラスを仮定した上での計算パワーによる解読問題になります。
「P ≠ NP」を仮定した話です。
主な複雑性クラスはこんな感じです。
下に行く程計算機パワーが必要です。
<実用的な時間で解けるクラス>
P(多項式時間)
BPP
BQP
<実用的な時間で解けないと疑われているクラス>
NP(NP困難, NP完全)*ここが話題の素因数分解の困難性のクラス
co-NP
PSPACE
<実用的な時間では解けないクラス>
EXPTIME、NEXPTIME、EXPSPACE、ELEMENTARY、PR、R、RE ALL
さてそれでは実際、「NP問題を量子コンピュータで解く」問題をググりますと、
量子コンピュータとNP完全問題
https://blog.goo.ne.jp/sdpaninf/e/f5740d0f6669327b11bc9f8d3ccd2818
『
量子コンピュータで効率良く解くことができる問題のクラスは BQP (bounded-error, quantum, polynomial time)と呼ばれていて、因数分解などが含まれている。
クラス BQP にクラス P が含まれることは明らかだが、NP 完全問題は クラス BQP に含まれないと予想されている(証明されたわけではないが)。
というわけで量子コンピュータで NP 完全問題を解いても、やはり指数時間かかってしまうという可能性も高い。
』
という回答があります。
また、
計算複雑性にまつわる 10 の誤解
http://dopal.cs.uec.ac.jp/okamotoy/PDF/2013/complexity10confusions.pdf
P41あたりにも解説があります。
この様にまだよくわかっていないということが現実で、量子コンピュータの能力も計算量クラスから言えば大したことが無いと思います。
すなわち、量子コンピュータで現在のRSA暗号が解けたとしても、より強力な計算クラスが設定されれば破られない暗号ができるでしょう。
一方向性関数(簡単に計算できるが逆関数の計算は非常に困難である関数)がキーでこの組み合わせを満たすアルゴリズムを探す事になります。
これが数学、計算量理論による説明で、結局量子コンピュータができてもいたちごっこは永遠に続くと思われています。
また現実にはRSA暗号も計算機パワーで解ける場合もあるので、結局コンピュータパワーを持つ組織の問題になります。量子コンピュータ持てる国、組織も限られるでしょう。
核爆弾と同じ問題が潜んでいます。
一般人はここに注力すべきでしょう。
実際、第2次世界大戦での日本の共通鍵暗号は欧米に破られていました。
暗号の歴史に学ぶことが重要でしょう。
また、不完全な技術なので使うのはやめようと言った話がありますが、これも現実にはなかなか無理でしょう。
古くは、科学技術は、公害などを引き起こすため使用禁止にしようという話がありましたが、利便性の魅力には勝てませんでした。メリット・デメリットのトレードオフデザインが重要でしょう。
それでも尚その技術を捨てたいという欲望を持つ人たちはいます。
スタートレックなどでも科学文明を捨てた種族の話をいくつもしています。
ただ、現実の残念なところは、地球が有限ということです。そして技術の加速度化によってグローバリゼーションがすごい勢いで進みます。
反対派の少数派はその社会を作れないわけです。
このことは物理的には「光速度不変の原理」が働いている事による実質の制約と思っています。
これが破ることができるかどうかで宇宙への展開がかかっている様な気がします。
ということでEPMトークンはまず安全という事になります。
実用的な量子コンピュータ実現まではまだ数十年かかりますし、それまでには新しい貨幣システムに移行しているでしょうし、日銀の研究者も考える様にマネー自体が消失してしまっているかも知れません。
時間軸と、世界での状況と言った空間軸での理解が必要と思われます。
⑨スイスのBIS本部を取り締まれば金融システムを変えれると言っている人がいますがどうでしょうか?
BISについてはバーゼル合意(BIS規制)ぐらいしか知りません。
Wikiによりますと
「BISは、世界各国の中央銀行が出資する法人であり、2011年現在58か国の中央銀行が株主となっている。最高意思決定機関は株主中央銀行の代表が出席する総会(General Meeting)で、組織規定の改正、決算の承認などの権限を有する。年1回、6月末から7月初に開催されているが、臨時総会の開催も可能となっている。」
の様な組織ですね。
『2017年4月に同行のグローバル金融システム委員会は「レポ市場の機能」という報告書を公表、各中銀の量的金融緩和政策が世界各国の市場から手堅い債券を買い占めたせいで、一般機関投資家のレポ市場が担保の供給を受けられず機能不全に陥っているという見解を示した。』
この様なことが問題なのでしょうか?
よくわかりませんが、皆さんから問題点を上げていただければ助かります。
公共貨幣の流れは各国の中央銀行の変容を迫ると思います。
その結果新しい中央銀行組織からのBISになるかも知れません。。
中央銀行間の連携を見ながら一緒に考えたいですね。
**さんの9つの課題は非常に素朴な視点と考えられます。
私もこれをベースに課題を作って見たいと思います。
ありがとうございました。
「量子コンピューターの問題」と「BIS]の問題でしたね。
⑧苫米地英人さんという暗号通貨の専門家は量子コンピューターが完成すると現行のブロックチェーンは全て破られるといいます。EPMはどう対処しますか?
これは長いです。
この問題を苫米地英人さんが使うのは技術者系としてはモラル違反と思います。
彼の履歴を知っているだけに微妙です。
今は本を売るためのレトリックでしょう。
この手の話が一般マスコミでも横行しているので私は結構嫌な感じを持っています。
最終的には読者のインテリジェンスが上がらない限りこの様な話はいつも出ると思います。
まず、まともな情報科学系のコースでは計算量問題を扱います。
今ではWikiでわかりやすく解説しているので説明しやすいです。
わかりやすくと言っても数学的に最先端で内容の本質的理解している人は少数でしょう。
苫米地さんもそうですし、私もそうです。
「計算複雑性理論」という分野で、WikiのURLを上げておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%88%E7%AE%97%E8%A4%87%E9%9B%91%E6%80%A7%E7%90%86%E8%AB%96
まず、暗号通貨、より広くは暗号は現在計算の複雑さに基づいています。
公開鍵暗号 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E9%96%8B%E9%8D%B5%E6%9A%97%E5%8F%B7
現在は1976年までの共通鍵暗号に変わって、公開鍵暗号方式が使われています。
この中でも典型的なRSA暗号方式をとって説明します。
安全性は素因数分解の困難性(フェルマーの小定理)に基づいています。
この解読を行うにはNPクラスの問題を解けなければなりません。
現在はこれを多項式時間で解く方法は見つかっていません。
この問題を「P = NP 問題」と言い、この難しさは物理の究極理論「超重力理論」よりも難しいとも言われています。
なかなか見つからないので多項式時間(P)で解くことは出来ないと思うひとが多い様です。
しかし、「P = NP」であると公開鍵暗号法は崩れ、新たな暗号法、もしくは別の仕組みを考えなければならない事になります。
この話は情報系、数理系では常識ですが一般人はあまり馴染みないかもしれません。
暗号通貨は量子コンピューターで破られる話はもう少し簡単で計算の複雑性クラスを仮定した上での計算パワーによる解読問題になります。
「P ≠ NP」を仮定した話です。
主な複雑性クラスはこんな感じです。
下に行く程計算機パワーが必要です。
<実用的な時間で解けるクラス>
P(多項式時間)
BPP
BQP
<実用的な時間で解けないと疑われているクラス>
NP(NP困難, NP完全)*ここが話題の素因数分解の困難性のクラス
co-NP
PSPACE
<実用的な時間では解けないクラス>
EXPTIME、NEXPTIME、EXPSPACE、ELEMENTARY、PR、R、RE ALL
さてそれでは実際、「NP問題を量子コンピュータで解く」問題をググりますと、
量子コンピュータとNP完全問題
https://blog.goo.ne.jp/sdpaninf/e/f5740d0f6669327b11bc9f8d3ccd2818
『
量子コンピュータで効率良く解くことができる問題のクラスは BQP (bounded-error, quantum, polynomial time)と呼ばれていて、因数分解などが含まれている。
クラス BQP にクラス P が含まれることは明らかだが、NP 完全問題は クラス BQP に含まれないと予想されている(証明されたわけではないが)。
というわけで量子コンピュータで NP 完全問題を解いても、やはり指数時間かかってしまうという可能性も高い。
』
という回答があります。
また、
計算複雑性にまつわる 10 の誤解
http://dopal.cs.uec.ac.jp/okamotoy/PDF/2013/complexity10confusions.pdf
P41あたりにも解説があります。
この様にまだよくわかっていないということが現実で、量子コンピュータの能力も計算量クラスから言えば大したことが無いと思います。
すなわち、量子コンピュータで現在のRSA暗号が解けたとしても、より強力な計算クラスが設定されれば破られない暗号ができるでしょう。
一方向性関数(簡単に計算できるが逆関数の計算は非常に困難である関数)がキーでこの組み合わせを満たすアルゴリズムを探す事になります。
これが数学、計算量理論による説明で、結局量子コンピュータができてもいたちごっこは永遠に続くと思われています。
また現実にはRSA暗号も計算機パワーで解ける場合もあるので、結局コンピュータパワーを持つ組織の問題になります。量子コンピュータ持てる国、組織も限られるでしょう。
核爆弾と同じ問題が潜んでいます。
一般人はここに注力すべきでしょう。
実際、第2次世界大戦での日本の共通鍵暗号は欧米に破られていました。
暗号の歴史に学ぶことが重要でしょう。
また、不完全な技術なので使うのはやめようと言った話がありますが、これも現実にはなかなか無理でしょう。
古くは、科学技術は、公害などを引き起こすため使用禁止にしようという話がありましたが、利便性の魅力には勝てませんでした。メリット・デメリットのトレードオフデザインが重要でしょう。
それでも尚その技術を捨てたいという欲望を持つ人たちはいます。
スタートレックなどでも科学文明を捨てた種族の話をいくつもしています。
ただ、現実の残念なところは、地球が有限ということです。そして技術の加速度化によってグローバリゼーションがすごい勢いで進みます。
反対派の少数派はその社会を作れないわけです。
このことは物理的には「光速度不変の原理」が働いている事による実質の制約と思っています。
これが破ることができるかどうかで宇宙への展開がかかっている様な気がします。
ということでEPMトークンはまず安全という事になります。
実用的な量子コンピュータ実現まではまだ数十年かかりますし、それまでには新しい貨幣システムに移行しているでしょうし、日銀の研究者も考える様にマネー自体が消失してしまっているかも知れません。
時間軸と、世界での状況と言った空間軸での理解が必要と思われます。
⑨スイスのBIS本部を取り締まれば金融システムを変えれると言っている人がいますがどうでしょうか?
BISについてはバーゼル合意(BIS規制)ぐらいしか知りません。
Wikiによりますと
「BISは、世界各国の中央銀行が出資する法人であり、2011年現在58か国の中央銀行が株主となっている。最高意思決定機関は株主中央銀行の代表が出席する総会(General Meeting)で、組織規定の改正、決算の承認などの権限を有する。年1回、6月末から7月初に開催されているが、臨時総会の開催も可能となっている。」
の様な組織ですね。
『2017年4月に同行のグローバル金融システム委員会は「レポ市場の機能」という報告書を公表、各中銀の量的金融緩和政策が世界各国の市場から手堅い債券を買い占めたせいで、一般機関投資家のレポ市場が担保の供給を受けられず機能不全に陥っているという見解を示した。』
この様なことが問題なのでしょうか?
よくわかりませんが、皆さんから問題点を上げていただければ助かります。
公共貨幣の流れは各国の中央銀行の変容を迫ると思います。
その結果新しい中央銀行組織からのBISになるかも知れません。。
中央銀行間の連携を見ながら一緒に考えたいですね。
**さんの9つの課題は非常に素朴な視点と考えられます。
私もこれをベースに課題を作って見たいと思います。
ありがとうございました。
コー
「量子コンピューター」の問題は、まず大丈夫だという事かな。