日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(8)「これだけ(は・が)知って欲しい。」について。

2018-03-15 12:30:07 | 「は」と「が」
(01)
「(1)最初の記事」で「確認」した通り、
① AはBである。
② BはAである。
③ ABである。
④ A以外はBでない。
に於いて、必ずしも、
①=② ではないが、必ず
  ②=③=④ である。
然るに、
(02)
① AはBである=AはBである。
である。
然るに、
(03)
① AはBである=AはBである。
の場合は、
①「A以外もBである。」とも、
①「A以外はBでない。」とも、言ってゐない。
従って、
(03)により、
(04)
① AはBである=(少なくとも)AはBである。
である。
然るに、
(05)
③ ABである。
といふのであれば、
① AはBでない
といふことは、有り得ない
従って、
(05)により、
(06)
③ ABである。
といふのであれば、
① AはBである。
従って、
(01)(06)により、
(07)
③ ABである=AはBであって(A以外はBでない)。
である。
従って、
(04)(07)により、
(08)
① AはBである=(少なくとも)AはBである。
③ ABである=AはBであって(A以外はBでない)。
然るに、
(09)
[のみ]他の事柄を排除して、ある事柄だけに限る意味を表はすと同時に、ある事柄を取出して、それを強調する意味に用ゐられる(時枝誠記、日本文法 文語編、2005年、236頁)。
然るに、
(10)
[のみ]に倣って、
[だけ]他の事柄を排除して、ある事柄だけに限る意味を表はす。
といふ風に、「仮定」する。
従って、
(08)(10)により、
(11)
① ABである=(少なくとも)AはBである。
③ ABである=AはBであって(A以外はBでない)。
に対して、
① AだけBである=AはBであって(A以外はBでない)。
③ AだけBである=AはBであって(A以外はBでない)。
であると、「仮定」する。
然るに、
(12)
① 日本語の教師の方たちには、どうしても、これだけは、知って欲しい。
のやうな場合に於ける、
① これだけ、知って欲しい。
の場合は、明らかに、
① これだけ、知って欲しい=(少なくとも)これだけは、知って欲しい。
といふ、「意味」であって、
① これだけ、知って欲しい=これを知って(これ以外は知らない)で欲しい。
といふ、「意味」ではない。
従って、
(10)(12)により、
(13)
[だけ]の事柄を排除して、  ある事柄だけに限る意味を表はす。
といふのではなく、
[だけ]の事柄を排除せずに、ある事柄だけに限る意味を表はす。
といするのが、「正しい」。
然るに、
(14)
③ ただ 空 の 名残 のみ 惜しき(徒然草)。
③ ただ 空 の 名残 だけ 惜しい(現代語)。
に於ける、
③ 空の名残だけ惜しい。
であれば、
① 空の名残だけ惜しい。
といふ「言ひ方」は、「普通は、しない」。
従って、
(13)(14)により、
(15)
③ 空の名残だけ惜しい=空の名残は惜しいが(空の名残以外は惜しくはない)。
に於ける、
③                     (空の名残以外は惜しくはない
といふ「排除」の「機能」は、
③    「だけ(副助詞)」 が担ってゐるのではなく、 
③      「(係助詞)」が担ってゐることになる。
(16)
次回の「予定」⇒鰻我所欲也=∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}。