日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(10)「STAP細胞はあります!」の「は」について。

2018-03-16 10:48:07 | 「は」と「が」
(01)
① ペガサスは翼を持つ=
① すべてのペガサスに翼がある=
① ∀x{ペガサスx→∃y(翼yx)}=
① 全てのxについて、xがペガサスであるならば、あるyはxの翼である。
然るに、
(02)
たとえば、物理的な文脈の中では存在しないかもしれないところのペガサス(翼をもった馬)について何かを述べることができるし、またギリシャ神話の文脈のなかでは存在しないといわれている何かについて「すべて・・・・・」といふこともできる
(沢田充茂、現代論理学入門、1962年、121・122頁)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
物理的な文脈(可能世界)の中で、「ペガサス(Πέγασος)はゐる。」といふ風に、述べることができる。
従って、
(03)により、
(04)
① ペガサスゐる。
といふ「日本語」は、
① ペガサスは実在の動物である。
といふ、「意味」である。
従って、
(04)により、
(05)
① ペガサスは実在の動物である。
といふ風に、言ひたいのであれば、その人は、
① ペガサスゐる。
といふ風に、述べることになる。
然るに、
(06)
4月8日には釈明記者会見を行い、「STAP細胞あります!」「200回以上の作製にも成功しました」等と強い口調で断言するなど、不正は全く無かった事を主張したものの[105]、通常は弁護団経由でコメントを発信しており、会見やコメントも様々な批判を受けた(ウィキペディア)。
従って、
(05)(06)
(07)
① STAP細胞は実在する
といふ風に、小保方氏が言ふ場合も、
① STAP細胞あります!
といふ風に、述べることになる。
然るに、
(08)
「(1)最初の記事」で「確認」した通り、
① AはBである。
① BはAである。
③ ABである。
④ A以外はBでない。
に於いて、必ずしも、
①=① ではないが、必ず
  ①=③=④ である。
従って、
(08)により、
(09)
③ ABである。
④ A以外はBでない
に於いて、
③=④ である。
従って、
(09)により、
(10)
③ A有る。
④ A以外無い
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(11)
③ A有る。
といふのあれば、当然、
① A有る。
従って、
(10)(11)により、
(12)
③ A有る=
③ Aは有って(A以外無い)。
である。
従って、
(12)により、
(13)
③ STAP細胞あります!=
③ STAP細胞はあり(STAP細胞以外は有りませ)!
である。
然るに、
(14)
iPS細胞とは、細胞を培養して人工的に作られた多能性の幹細胞のことです。2006年8月に京都大学の山中伸弥教授らは世界で初めてiPS細胞の作製に成功し、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました(iPS細胞とは?|バイオのはなし|中外製薬)。
従って、
(06)(14)により、
(15)
STAP細胞が有らうと、無からうと、いづれにせよ
①  iPS細胞は、有ります!
従って、
(14)(15)により、
(16)
小保方氏が、
③ STAP細胞があります!=
③ STAP細胞はあり(STAP細胞以外はありません)!
と言ふのであれば、その場合は、
小保方氏が、「顕微鏡を覗いてゐて、STAP細胞が、見えてゐる」場合であるに、違ひない。
従って、
(07)(16)により、
(17)
① STAP細胞はあります!=STAP細胞は実在します!
③ STAP細胞があります!=STAP細胞はあり(STAP細胞以外はありませ)!
であって、それ故、
① であれば、「、小保方氏の、目前に、STAP細胞はない」。
③ であれば、「、小保方氏の、目前に、STAP細胞ある」。
然るに、
(18)
ここで多少、記号についてのべますと、集合をいちいち{x│P(x)}のような形で表さないで、A={x│P(x)}と置いて、単に集合Aと表現します。
a∈A のとき「aはAの元である」とか「aはAの要素である」といいます。元もしくは要素は、elementの訳です。さらに
「aはAに属する」と表現します。
(竹内外文、集合とは何か、2001年、22頁)
従って、
(17)(18)により、
(19)
① であれば、「STAP細胞といふ細胞の集合」のことを述べてゐて、
③ であれば、「STAP細胞といふ集合の要素」のことを述べてゐる。
従って、
(19)により、
(20)
③ お爺さんとお婆さんゐます。
と言ふのであれば、
③「お爺さんとお婆さんといふ、集合の要素」 としての、「お爺さんとお婆さん」のことを言ってゐるのであって、
①「お爺さんとお婆さんといふ、集合そのもの」としての、「お爺さんとお婆さん」のことを言ってゐるのではない
然るに、
(21)
③「お爺さんとお婆さんといふ集合の要素」としての、「お爺さんとお婆さん」といふのは、
③「一人のお爺さん と、一人のお婆さん」に、他ならない。
然るに、
(22)
③「一人のお爺さんと、一人のお婆さん」 aといふことは、
③「(an old man)and(an old woman)」といふことに、他ならない。
従って、
(20)(21)(22)により、
(23)
③ Long,long ago there lived an old man and an old woman.
と言ふのであれば、「日本語」では、
③ 昔、ある所に、お爺さんとお婆さん住んでゐました。
と言はずに、
③ 昔、ある所に、お爺さんとお婆さん住んでゐました。
といふ風に、言ふことになる。
(24)
次回の「予定」⇒「象は鼻がながいなぁ」の「は」について。

(9)鰻我所欲也=∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}。

2018-03-16 10:33:20 | 「は」と「が」
(01)
① 鰻為我所一レ捌 =
① 鰻為〔我所(捌)〕。
に於いて、
① 為〔 〕⇒〔 〕為
① 所( )⇒( )所
といふ「移動」を行ふと、
① 鰻為〔我所(捌)〕⇒
① 鰻〔我(捌)〕所為=
① 鰻〔我が(捌く)〕所と為る=
① 鰻は、私に捌かれた。
然るに、
(02)
① 私に捌かれたのは「ある鰻」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 鰻為〔我所(捌)〕=
① 鰻は〔我が(捌く)〕所と為る。
を「述語論理」で表すならば、
① ∃x∃y(鰻x&我y&捌yx)=
① あるxは鰻であって、あるyは我であって、yはxを捌く。
といふ、ことになる。
然るに、
(04)
1  (1)∃x∃y(鰻x&我y&捌yx) A
 2 (2)  ∃y(鰻a&我y&捌ya) A
  3(3)     鰻a&我b&捌ba  A
  3(4)     鰻a         3&E
  3(5)        我b      3&E
  3(6)           捌ba  3&E
  3(7)     我b&鰻a      45&I
  3(8)     我b&鰻a&捌ba  67&I
  3(9)  ∃x(我y&鰻x&捌bx) 8EI
  3(ア)∃y∃x(我y&鰻x&捌yx) 9EI
 2 (イ)∃y∃x(我y&鰻x&捌yx) 23アEE
1  (ウ)∃y∃x(我y&鰻x&捌yx) 12イEE
然るに、
(05)
② ∃y∃x(我y&鰻x&捌yx)=
② あるyは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① ∃x∃y(鰻x&我y&捌yx)=あるxは鰻であって、あるは我であって、yはxを捌く。
② ∃y∃x(我y&鰻x&捌yx)=あるは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
② あるyは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
といふことは、
② 我捌鰻=私は鰻を捌いた。
といふことである。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 鰻為〔我所(捌)〕=鰻〔我が(捌く)〕所と為る=鰻は私捌かれた(動態)。
② 我捌(鰻)    =我(鰻を)捌く)〕所と為る=私は鰻捌いた (動態)。
に於いて、
①=② である。
(09)
③ 鰻我所(欲)也。
に於いて、
③ 所( )⇒( )所
といふ「移動」を行ふと、
③ 鰻我所(欲)也⇒
③ 鰻我(欲)所也⇒
③ 鰻は我が(欲する)所なり=
③ 鰻は私の好物である。
然るに、
(10)
③ 鰻は私の好物である。
といふ場合の、
③ 鰻 は、「特定の鰻」ではない「鰻一般」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
③ 鰻我所(欲)也=鰻は我が(欲する)所なり=鰻は私の好物である。
を「述語論理」で表すならば、
③ ∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}=
③ 全てのxについて、xが鰻ならば、あるyは我であって、yはxを欲す。
といふ、ことになる。
然るに、
(12)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(08)(11)(12)により、
(13)
① 鰻為〔我所(捌)〕=鰻〔我が(捌く)〕所と為る。
② 我捌(鰻)    =我(鰻を)捌く。
③ 鰻我所(欲)也  =鰻は我が(欲する)所なり。
に於いて、
「左辺」は、「漢文の補足構造」であって、
「右辺」は、「国語の補足構造」である。
然るに、
(14)
① ∃x∃y(鰻x&我y&捌yx)  =あるxは鰻であって、あるyは我であって、yはxを捌く。
② ∃y∃x(我y&鰻x&捌yx)  =あるyは我であって、あるxは鰻であって、yはxを捌く。
③ ∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}=全てのxについて、xが鰻ならば、あるyは我であって、yはxを欲す。
の場合は、
① 鰻為〔我所(捌)〕=鰻〔我が(捌く)〕所と為る。
② 我捌(鰻)    =我(鰻を)捌く。
③ 鰻我所(欲)也  =鰻は我が(欲する)所なり。
に於ける、「論理構造(深層構造?)」である。
cf.
《deep structure》チョムスキーによって設定された変形生成文法理論の基本概念の一。現実の発話の基底にあって文の意味を規定すると想定され、表層構造よりいっそう抽象的な構造。変形規則を適用することによって表層構造が導き出され、異形同義文や同形異義文の関係を説明するのに役立つ(デジタル大辞泉)。
従って、
(14)により、
(15)
例へば、
③ 鰻我所(欲)也 =鰻は我が(欲する)所なり。
といふ「漢文訓読」の「補足構造」と、
③ ∀x{鰻x→∃y(我y&欲yx)}=全てのxについて、xが鰻ならば、あるyは我であって、yはxを欲す。
といふ「論理構造(深層構造?)」とは、「両立」する。
(16)
次回の「予定」⇒「STAP細胞はあります!」の「は」について。