(01)
「相互条件法(biconditional)の定義」により、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
①=② ではないが、
②=③ である。
然るに、
(02)
「対偶(Contraposition)の定義」により、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃y(鼻yx&長y)→ 象x&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃y(鼻yx&長y)→ 象x&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、すなはち、
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
② すべてxについて{xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
③ すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるyがxの鼻であって、そのyが長いならば、xは象であり、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
④ すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはなく、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
に於いて、
①=② ではないが、
②=③=④ である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
1(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1(2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1Df.⇔
とする。
然るに、
(05)
「3月12日の記事(3)」で確認した通り、
(ⅰ)象は鼻が長い。
(ⅱ)品はこれがいいです。
(ⅲ)ぼくはウナギだ。
(ⅳ)サンマは目黒に限る。
といふ「日本語」は、四つとも全て、
① ∀x{Fx→∃y(Gyx&Gy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
① ∀x{Fx→∃y(Fyx&Gy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
① ∀x{Fx→∃y(Gyx&Hy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
① ∀x{Fx→∃y(Gyx&Hy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
といふ「述語論理」に対応する。
従って、
(05)により、
(06)
① 象は鼻がながい。
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
然るに、
(07)
④ ~象x→~∃y(鼻yx&長y)。
④ xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはない。
といふことは、
④ 象以外の鼻は長くない。
といふことである。
然るに、
(08)
④ 象以外の鼻は長くない。
といふことは、
④ 象が鼻は長い。
といふことである。
従って、
(03)(06)(07)(08)により、
(09)
④ 象が鼻が長い。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはなく、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
然るに、
(10)
1 (1)象が鼻が長い。A
1 (〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1 (〃)すべてxについて{xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。 A
1 (2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1Df.⇔
1 (〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはなく、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。 1Df.⇔
1 (3) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~象a→~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
1 (4) ~象a→~∃y(鼻ya&長y) 3&E
5 (5)ピーターは兎である。 A
5 (〃)∃x(Px&兎x) A
5 (〃)あるxはピーターといふ兎である。 A
6 (6)兎は象ではない。 A
6 (〃)∀x(兎x→~象x) A
6 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 A
7 (7) Pa& 兎a A
6 (8) 兎a→~象a 6UI
7 (9) 兎a 7&E
67 (ア) ~象a 89MPP
1 67 (イ) ~∃y(鼻ya&長y) 4アMPP
1 67 (ウ) ∀y~(鼻ya&長y) イ量化子の関係
1 67 (エ) ~(鼻ba&長b) ウUE
1 67 (オ) ~鼻ba∨~長b エ、ド・モルガンの法則
1 67 (カ) 鼻ba→~長b オ含意の定義
キ(キ) 長b A
キ(ク) ~~長b キDN
1 67キ(ケ) ~鼻ba カクMTT
1 67 (コ) 長b→~鼻ba キケCP
1 67 (サ) ∃y(長y→~鼻ya) コEI
156 (シ) ∃y(長y→~鼻ya) 57サEE
1567 (ス) Pa&兎a&∃y(長y→~鼻ya) 7シ&I
1567 (セ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} スEI
156 (ソ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} 57セEE
156 (〃)あるxはピーターと言ひ、そのxは兎であり、あるyが長いのであれば、yはxの鼻ではない。 57セEE
156 (〃)ピーターラビットの鼻は、長くない。 57セEE
従って、
(10)により、
(11)
(1)象が鼻が長い。然るに、
(5)ピーターは兎である。然るに、
(6)兎は象ではない。故に、
(ソ)ピーターラビットの鼻は、長くない。
といふ「推論」は、すなはち、
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(5)∃x(Px&兎x)。
(6)∀x(兎x→~象x)。
(ソ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)}。
といふ「推論」は、「日本語」としても、「述語論理」としても、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(12)
1 (1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
1 (2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1Df.⇔
1 (3) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~象a→~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
1 (4) ~象a→~∃y(鼻ya&長y) 3&E
5 (5)∃x(Px&兎x) A
6 (6)∀x(兎x→~象x) A
7 (7) Pa& 兎a A
6 (8) 兎a→~象a 6UI
7 (9) 兎a 7&E
67 (ア) ~象a 89MPP
1 67 (イ) ~∃y(鼻ya&長y) 4アMPP
1 67 (ウ) ∀y~(鼻ya&長y) イ量化子の関係
1 67 (エ) ~(鼻ba&長b) ウUE
1 67 (オ) ~鼻ba∨~長b エ、ド・モルガンの法則
1 67 (カ) 鼻ba→~長b オ含意の定義
キ(キ) 長b A
キ(ク) ~~長b キDN
1 67キ(ケ) ~鼻ba カクMTT
1 67 (コ) 長b→~鼻ba キケCP
1 67 (サ) ∃y(長y→~鼻ya) コEI
156 (シ) ∃y(長y→~鼻ya) 57サEE
1567 (ス) Pa&兎a&∃y(長y→~鼻ya) 7シ&I
1567 (セ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} スEI
156 (ソ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} 57セEE
といふ「計算」は、「数理論理学」といふ「言葉」があることからも分かるやうに、元はといへば、「数学」に属してゐる。
然るに、
(13)
大方の「数学」の先生は、
(ⅰ)象は鼻は長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)鼻は象が長い= ∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(ⅲ)象が鼻は長い= ∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅳ)象も鼻は長い=~∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅴ)象は鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)象は鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅶ)象が鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅷ)象が鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「等式」の「左辺」には、「興味」が無い(?)。
加へて、
(14)
多くの、「國語」の先生や、「日本語」の教師は、「論理学」には、「興味」が無い(?)。
然るに、
(15)
「象は鼻が長い」という文章における主語は「象」か、それとも「鼻」か?
まずはっきりさせねばならないのは、そもそも主語とは何か、という問題である。
英文では主語が何であるかは明確である。
そこでまず「象は鼻が長い」という日本語の文を英訳してみると
The elephant has a long trunk.
となる。
主語はelephant(象)である。ただしその主語に対応する述語はhasという動詞である。しかし問題の日本語文では述語は「長い」という形容詞である。
そしてこの形容詞に対応する主語が何かが問題となっているのである。
ではlongという形容詞を述語として、先の英文を書き換えると
The trunk is long
となる。
この英文を日本語に翻訳すると「象の鼻(trunk)は長い」となる。
(Webサイト:シュレディンガーの狸)
従って、
(15)により、
(16)
いづれにせよ、
(ⅰ)象は鼻は長い。
(ⅱ)鼻は象が長い。
(ⅲ)象が鼻は長い。
(ⅳ)象も鼻は長い。
(ⅴ)象は鼻が長い。
(ⅵ)象は鼻も長い。
(ⅶ)象が鼻が長い。
(ⅷ)象が鼻も長い。
といふ「日本語」に相当する「言ひ方」は、「英語」にはない。
従って、
(16)により、
(17)
(ⅰ)象は鼻は長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)鼻は象が長い= ∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(ⅲ)象が鼻は長い= ∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅳ)象も鼻は長い=~∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅴ)象は鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)象は鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅶ)象が鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅷ)象が鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「等式」が、「正しい」のであれば、少なくとも、「より、述語論理的な言語」は、「英語」ではなく、「日本語」である。といふことになる。
(18)
(a)
1 (1)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} A
1 (2) ∃y(~象y&鼻ay)→~長a 1UE
3 (3) ~象b&鼻ab →~長a A
4 (4) ∃y(鼻yx& 長y) A
5 (5) 鼻ba& 長b A
5 (6) 長b 5&E
5 (7) ~~長b 6DN
3 5 (8) ~(~象a&鼻ab) 37MTT
3 5 (9) ~~象a∨~鼻ab 8ド・モルガンの法則
3 5 (ア) ~象a→~鼻ab 9含意の定義
イ(イ) ~象a A
3 5イ(ウ) ~鼻ab アイMPP
5 (エ) 鼻ba 5&E
3 5イ(オ) 鼻ba&~鼻ab ウエ&I
34 イ(カ) 鼻ba&~鼻ab 45オEE
3 イ(キ) ~∃y(鼻yx& 長y) 4カRAA
3 (ク) ~象a→~∃y(鼻yx& 長y) イキCP
1 (ケ) ~象a→~∃y(鼻ya& 長y) 23クEE
1 (コ)∀x{~象x→~∃y(鼻yx& 長y)} ケUI
(b)
1 (1)∀x{~象x→~∃y(鼻yx& 長y)} A
2 (2)∃x(~象x&鼻bx) A
1 (4) ~象a→~∃y(鼻ya& 長y) 1UE
4(4) ~象a&鼻ba A
4(5) ~鼻a 4&E
1 4(6) ~∃y(鼻ya& 長y) 45MPP
1 4(7) ∀y~(鼻ya& 長y) 6量化子の関係
1 4(8) ~(鼻ba& 長b) 7UE
1 4(9) ~鼻ba∨~長b 8ド・モルガンの法則
1 4(ア) 鼻ba→~長b 9含意の定義
4(イ) 鼻ba 4&E
1 4(ウ) ~長b アイMPP
12 (エ) ~長b 24ウEE
1 (オ) ∃x(~象x&鼻bx)→~長b 2エCP
1 (カ)∀y{∃x(~象x&鼻yx)→~長y} オUI
1 (〃)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} カ(変数は前後参照のための方便に過ぎないため。)
従って、
(18)により、
(19)
(a)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(b)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
に於いて、
(a)ならば(b)であり、
(b)ならば(a)である。
従って、
(19)により、
(20)
(a)すべてのxについて{xが、ある、象ではないyの鼻であるならば、xは長くない}。
(b)すべてのxについて{xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長い。といふことはない}。
に於いて、
(a)=(b) である。
従って、
(20)により、
(21)
(a)いかなる鼻であっても、象以外の鼻は長くない。
(b)象以外の動物の鼻は長くない。
に於いて、
(a)=(b)である。
従って、
(21)により、
(22)
(ⅱ)鼻は象が長い=∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(ⅲ)象が鼻は長い=∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
に於いて、
(ⅱ)=(ⅲ) である。
(23)
例へば、
チョムスキーは形式中心の構造言語学に対して、その結果、意味を言語学の対象として復権させた。認識論のレベルで捉えれば、チョムスキーは機械的反映論(構造言語学)からデカルト的二元論に転回したのである。そして、『デカルト派宣言』(一九六六年)において変形文法を歴史的に、デカルト的二元論の系譜に位置付けた。…… チョムスキーは内容と形式の矛盾を取上げて、言語(チョムスキーの表面構造)の背後に深層構造を想定した。深層構造を想定することはよいのだが、彼はソシュールの言語の構造論(ラング―パロール説)を暗黙の裡に前提していたので、深層構造つまり認識を対象から切離し、かつ、言語の原型である認識と言語を媒介する言語規範とを区別せずに論じる破目になった。それで深層構造を先験的な存在と解釈することになり、デカルト的観念論に陥り、更にはプラトン的イデア論に転落した。チョムスキーのS(文にひとしい)なるものはプラトンのイデアに本質的には等しいことを見逃してはならない(金谷武洋『日本語に主語はいらない』批判記事一覧、横山 建夫)。
といふやうな、ムズカシイことは、私には、分かりません。
「相互条件法(biconditional)の定義」により、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
①=② ではないが、
②=③ である。
然るに、
(02)
「対偶(Contraposition)の定義」により、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃y(鼻yx&長y)→ 象x&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∃y(鼻yx&長y)→ 象x&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、すなはち、
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
② すべてxについて{xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
③ すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるyがxの鼻であって、そのyが長いならば、xは象であり、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
④ すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはなく、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
に於いて、
①=② ではないが、
②=③=④ である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
1(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1(2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1Df.⇔
とする。
然るに、
(05)
「3月12日の記事(3)」で確認した通り、
(ⅰ)象は鼻が長い。
(ⅱ)品はこれがいいです。
(ⅲ)ぼくはウナギだ。
(ⅳ)サンマは目黒に限る。
といふ「日本語」は、四つとも全て、
① ∀x{Fx→∃y(Gyx&Gy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
① ∀x{Fx→∃y(Fyx&Gy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
① ∀x{Fx→∃y(Gyx&Hy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
① ∀x{Fx→∃y(Gyx&Hy)&∀z(~Gzx→~Hz)}。
といふ「述語論理」に対応する。
従って、
(05)により、
(06)
① 象は鼻がながい。
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
然るに、
(07)
④ ~象x→~∃y(鼻yx&長y)。
④ xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはない。
といふことは、
④ 象以外の鼻は長くない。
といふことである。
然るに、
(08)
④ 象以外の鼻は長くない。
といふことは、
④ 象が鼻は長い。
といふことである。
従って、
(03)(06)(07)(08)により、
(09)
④ 象が鼻が長い。
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはなく、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。
然るに、
(10)
1 (1)象が鼻が長い。A
1 (〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1 (〃)すべてxについて{xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。 A
1 (2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1Df.⇔
1 (〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、そのyは長い、といふことはなく、すべてのzについてzがxの鼻でないならばzは長くない}。 1Df.⇔
1 (3) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~象a→~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
1 (4) ~象a→~∃y(鼻ya&長y) 3&E
5 (5)ピーターは兎である。 A
5 (〃)∃x(Px&兎x) A
5 (〃)あるxはピーターといふ兎である。 A
6 (6)兎は象ではない。 A
6 (〃)∀x(兎x→~象x) A
6 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 A
7 (7) Pa& 兎a A
6 (8) 兎a→~象a 6UI
7 (9) 兎a 7&E
67 (ア) ~象a 89MPP
1 67 (イ) ~∃y(鼻ya&長y) 4アMPP
1 67 (ウ) ∀y~(鼻ya&長y) イ量化子の関係
1 67 (エ) ~(鼻ba&長b) ウUE
1 67 (オ) ~鼻ba∨~長b エ、ド・モルガンの法則
1 67 (カ) 鼻ba→~長b オ含意の定義
キ(キ) 長b A
キ(ク) ~~長b キDN
1 67キ(ケ) ~鼻ba カクMTT
1 67 (コ) 長b→~鼻ba キケCP
1 67 (サ) ∃y(長y→~鼻ya) コEI
156 (シ) ∃y(長y→~鼻ya) 57サEE
1567 (ス) Pa&兎a&∃y(長y→~鼻ya) 7シ&I
1567 (セ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} スEI
156 (ソ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} 57セEE
156 (〃)あるxはピーターと言ひ、そのxは兎であり、あるyが長いのであれば、yはxの鼻ではない。 57セEE
156 (〃)ピーターラビットの鼻は、長くない。 57セEE
従って、
(10)により、
(11)
(1)象が鼻が長い。然るに、
(5)ピーターは兎である。然るに、
(6)兎は象ではない。故に、
(ソ)ピーターラビットの鼻は、長くない。
といふ「推論」は、すなはち、
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(5)∃x(Px&兎x)。
(6)∀x(兎x→~象x)。
(ソ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)}。
といふ「推論」は、「日本語」としても、「述語論理」としても、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(12)
1 (1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
1 (2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1Df.⇔
1 (3) 象a→∃y(鼻ya&長y)&~象a→~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
1 (4) ~象a→~∃y(鼻ya&長y) 3&E
5 (5)∃x(Px&兎x) A
6 (6)∀x(兎x→~象x) A
7 (7) Pa& 兎a A
6 (8) 兎a→~象a 6UI
7 (9) 兎a 7&E
67 (ア) ~象a 89MPP
1 67 (イ) ~∃y(鼻ya&長y) 4アMPP
1 67 (ウ) ∀y~(鼻ya&長y) イ量化子の関係
1 67 (エ) ~(鼻ba&長b) ウUE
1 67 (オ) ~鼻ba∨~長b エ、ド・モルガンの法則
1 67 (カ) 鼻ba→~長b オ含意の定義
キ(キ) 長b A
キ(ク) ~~長b キDN
1 67キ(ケ) ~鼻ba カクMTT
1 67 (コ) 長b→~鼻ba キケCP
1 67 (サ) ∃y(長y→~鼻ya) コEI
156 (シ) ∃y(長y→~鼻ya) 57サEE
1567 (ス) Pa&兎a&∃y(長y→~鼻ya) 7シ&I
1567 (セ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} スEI
156 (ソ)∃x{Px&兎x&∃y(長y→~鼻yx)} 57セEE
といふ「計算」は、「数理論理学」といふ「言葉」があることからも分かるやうに、元はといへば、「数学」に属してゐる。
然るに、
(13)
大方の「数学」の先生は、
(ⅰ)象は鼻は長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)鼻は象が長い= ∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(ⅲ)象が鼻は長い= ∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅳ)象も鼻は長い=~∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅴ)象は鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)象は鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅶ)象が鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅷ)象が鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「等式」の「左辺」には、「興味」が無い(?)。
加へて、
(14)
多くの、「國語」の先生や、「日本語」の教師は、「論理学」には、「興味」が無い(?)。
然るに、
(15)
「象は鼻が長い」という文章における主語は「象」か、それとも「鼻」か?
まずはっきりさせねばならないのは、そもそも主語とは何か、という問題である。
英文では主語が何であるかは明確である。
そこでまず「象は鼻が長い」という日本語の文を英訳してみると
The elephant has a long trunk.
となる。
主語はelephant(象)である。ただしその主語に対応する述語はhasという動詞である。しかし問題の日本語文では述語は「長い」という形容詞である。
そしてこの形容詞に対応する主語が何かが問題となっているのである。
ではlongという形容詞を述語として、先の英文を書き換えると
The trunk is long
となる。
この英文を日本語に翻訳すると「象の鼻(trunk)は長い」となる。
(Webサイト:シュレディンガーの狸)
従って、
(15)により、
(16)
いづれにせよ、
(ⅰ)象は鼻は長い。
(ⅱ)鼻は象が長い。
(ⅲ)象が鼻は長い。
(ⅳ)象も鼻は長い。
(ⅴ)象は鼻が長い。
(ⅵ)象は鼻も長い。
(ⅶ)象が鼻が長い。
(ⅷ)象が鼻も長い。
といふ「日本語」に相当する「言ひ方」は、「英語」にはない。
従って、
(16)により、
(17)
(ⅰ)象は鼻は長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅱ)鼻は象が長い= ∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(ⅲ)象が鼻は長い= ∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅳ)象も鼻は長い=~∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(ⅴ)象は鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅵ)象は鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅶ)象が鼻が長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(ⅷ)象が鼻も長い= ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&~∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「等式」が、「正しい」のであれば、少なくとも、「より、述語論理的な言語」は、「英語」ではなく、「日本語」である。といふことになる。
(18)
(a)
1 (1)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} A
1 (2) ∃y(~象y&鼻ay)→~長a 1UE
3 (3) ~象b&鼻ab →~長a A
4 (4) ∃y(鼻yx& 長y) A
5 (5) 鼻ba& 長b A
5 (6) 長b 5&E
5 (7) ~~長b 6DN
3 5 (8) ~(~象a&鼻ab) 37MTT
3 5 (9) ~~象a∨~鼻ab 8ド・モルガンの法則
3 5 (ア) ~象a→~鼻ab 9含意の定義
イ(イ) ~象a A
3 5イ(ウ) ~鼻ab アイMPP
5 (エ) 鼻ba 5&E
3 5イ(オ) 鼻ba&~鼻ab ウエ&I
34 イ(カ) 鼻ba&~鼻ab 45オEE
3 イ(キ) ~∃y(鼻yx& 長y) 4カRAA
3 (ク) ~象a→~∃y(鼻yx& 長y) イキCP
1 (ケ) ~象a→~∃y(鼻ya& 長y) 23クEE
1 (コ)∀x{~象x→~∃y(鼻yx& 長y)} ケUI
(b)
1 (1)∀x{~象x→~∃y(鼻yx& 長y)} A
2 (2)∃x(~象x&鼻bx) A
1 (4) ~象a→~∃y(鼻ya& 長y) 1UE
4(4) ~象a&鼻ba A
4(5) ~鼻a 4&E
1 4(6) ~∃y(鼻ya& 長y) 45MPP
1 4(7) ∀y~(鼻ya& 長y) 6量化子の関係
1 4(8) ~(鼻ba& 長b) 7UE
1 4(9) ~鼻ba∨~長b 8ド・モルガンの法則
1 4(ア) 鼻ba→~長b 9含意の定義
4(イ) 鼻ba 4&E
1 4(ウ) ~長b アイMPP
12 (エ) ~長b 24ウEE
1 (オ) ∃x(~象x&鼻bx)→~長b 2エCP
1 (カ)∀y{∃x(~象x&鼻yx)→~長y} オUI
1 (〃)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} カ(変数は前後参照のための方便に過ぎないため。)
従って、
(18)により、
(19)
(a)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(b)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
に於いて、
(a)ならば(b)であり、
(b)ならば(a)である。
従って、
(19)により、
(20)
(a)すべてのxについて{xが、ある、象ではないyの鼻であるならば、xは長くない}。
(b)すべてのxについて{xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長い。といふことはない}。
に於いて、
(a)=(b) である。
従って、
(20)により、
(21)
(a)いかなる鼻であっても、象以外の鼻は長くない。
(b)象以外の動物の鼻は長くない。
に於いて、
(a)=(b)である。
従って、
(21)により、
(22)
(ⅱ)鼻は象が長い=∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
(ⅲ)象が鼻は長い=∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
に於いて、
(ⅱ)=(ⅲ) である。
(23)
例へば、
チョムスキーは形式中心の構造言語学に対して、その結果、意味を言語学の対象として復権させた。認識論のレベルで捉えれば、チョムスキーは機械的反映論(構造言語学)からデカルト的二元論に転回したのである。そして、『デカルト派宣言』(一九六六年)において変形文法を歴史的に、デカルト的二元論の系譜に位置付けた。…… チョムスキーは内容と形式の矛盾を取上げて、言語(チョムスキーの表面構造)の背後に深層構造を想定した。深層構造を想定することはよいのだが、彼はソシュールの言語の構造論(ラング―パロール説)を暗黙の裡に前提していたので、深層構造つまり認識を対象から切離し、かつ、言語の原型である認識と言語を媒介する言語規範とを区別せずに論じる破目になった。それで深層構造を先験的な存在と解釈することになり、デカルト的観念論に陥り、更にはプラトン的イデア論に転落した。チョムスキーのS(文にひとしい)なるものはプラトンのイデアに本質的には等しいことを見逃してはならない(金谷武洋『日本語に主語はいらない』批判記事一覧、横山 建夫)。
といふやうな、ムズカシイことは、私には、分かりません。