日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(312)「他ならぬ君に踊って欲しい。」の「述語論理」と「強調形」と「ラテン語」。

2019-08-03 06:09:05 | 論理

(01)
(ⅰ)
1   (1)∃x∃y{我x&汝y&∀z(欲踊xz→z=y}   A
 2  (2)  ∃y{我a&汝y&∀z(欲踊az→z=y}   A
  3 (3)     我a&汝b&∀z(欲踊az→z=b)   A
  3 (4)     我a&汝b                3&E
  3 (5)           ∀z(欲踊ac→c=b)   3&E
  3 (6)              欲踊ac→c=b    5UE
   7(7)                   c≠b    A
  37(8)             ~欲踊ac        67MTT
  3 (9)              c≠b→~欲踊ac   78CP
  3 (ア)           ∀z(z≠b→~欲踊az)  9UI
  3 (イ)     我a&汝b&∀z(z≠b→~欲踊az)  4ア&I
  3 (ウ)  ∃y{我a&汝y&∀z(z≠y→~欲踊az)} イEI
 2  (エ)  ∃y{我a&汝y&∀z(z≠y→~欲踊az)} 23ウEE
 2  (オ)∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)} エEI
1   (カ)∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)} 12オEE
(ⅱ)
1   (1)∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)} 1
 2  (2)  ∃y{我a&汝y&∀z(z≠y→~欲踊az)} A
  3 (3)     我a&汝b&∀z(z≠y→~欲踊az)  A
  3 (4)     我a&汝b                3&E
  3 (5)           ∀z(z≠y→~欲踊az)  3&E
  3 (6)              c≠y→~欲踊ac   5UE
   7(7)                   欲踊ac   A
   7(8)                 ~~欲踊ac   7DN
  37(9)            ~(c≠y)        68MTT
  37(ア)              c=y         6DN
  3 (イ)              欲踊ac→c=y    7アCP
  3 (ウ)           ∀z(欲踊az→z=b)   イUI
  3 (エ)     我a&汝b&∀z(欲踊az→z=b)   4ウ&I
  3 (オ)  ∃y{我a&汝y&∀z(欲踊az→z=y}   エEI
 2  (カ)  ∃y{我a&汝y&∀z(欲踊az→z=y}   23オEE
 2  (キ)∃x∃y{我x&汝y&∀z(欲踊xz→z=y}   カEI
1   (ケ)∃x∃y{我x&汝y&∀z(欲踊xz→z=y}   12キEE
従って、
(01)により、
(02)
① ∃x∃y{我x&汝y&∀z(  欲踊xz→z=y)}
② ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1   (1) ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz}  A
 2  (2)   ∃y{我a&汝y&∀z(z≠y→~欲踊az}  A
  3 (3)      我a&汝b&∀z(z≠b→~欲踊az)  A
  3 (4)      我a&汝b                3&E
  3 (5)            ∀z(z≠b→~欲踊az)  3&E
  3 (6)               c≠b→~欲踊ac   5UE
  3 (7)              ~c≠b∨~欲踊ac   6含意の
  3 (8)             ~(c≠b& 欲踊ac)  7ド・モルガンの法則
  3 (9)           ∀z~(z≠b& 欲踊az)  8UI 
  3 (ア)           ~∃z(z≠b& 欲踊az)  9量化子の関係
  3 (イ) ~~(我a&汝b)                 4DN
  3 (ウ) ~~(我a&汝b)&~∃z(z≠b& 欲踊az)  9イ&I
  3 (エ)~{~(我a&汝b)∨ ∃z(z≠b& 欲踊az)} ウ、ド・モルガンの法則
  3 (オ)~{  我a&汝b → ∃z(z≠b& 欲踊az)} エ含意の定義
  3 (カ)  ∃y~{我a&汝y→∃z(z≠y& 欲踊az)} オEI
 2  (キ)  ∃y~{我a&汝y→∃z(z≠y& 欲踊az)} 23カEE
 2  (ク)∃x∃y~{我x&汝y→∃z(z≠y& 欲踊xz)} キEI
1   (ケ)∃x∃y~{我x&汝y→∃z(z≠y& 欲踊xz)} 12クEE
1   (コ)∃x~∀y{我x&汝y→∃z(z≠y& 欲踊xz)} ケ量化子の関係
1   (サ)~∀x∀y{我x&汝y→∃z(z≠y& 欲踊xz)} コ量化子の関係
(ⅲ)
1   (1)~∀x∀y{我x&汝y →∃z(z≠y&欲踊xz)} A
1   (2)∃x~∀y{我x&汝y →∃z(z≠y&欲踊xz)} 1量化子の関係
1   (3)∃x∃y~{我x&汝y →∃z(z≠y&欲踊xz)} 2量化子の関係
 4  (4)  ∃y~{我a&汝y →∃z(z≠y&欲踊az)} A
  5 (5)    ~{我a&汝b →∃z(z≠b&欲踊az)} A
  5 (6)  ~{~(我a&汝b)∨∃z(z≠b&欲踊az)} 5含意の定義
  5 (7)  ~~(我a&汝b)&~∃z(z≠b&欲踊az)  6ド・モルガンの法則
  5 (8)    (我a&汝b)&~∃z(z≠b&欲踊az)  7DN
  5 (9)    (我a&汝b)                8&E
  5 (ア)            ~∃z(z≠b&欲踊az)  8&E
  5 (イ)            ∀z~(z≠b&欲踊az)  ア量化子の関係
  5 (ウ)              ~(c≠b&欲踊ac)  5UE
  5 (エ)              ~c≠b∨~欲踊ac   ウ、ド・モルガンの法則
  5 (オ)               c≠b→~欲踊ac   エ含意の定義
  5 (カ)            ∀z{z≠b→~欲踊az)  オUI
  5 (キ)      我a&汝b&∀z{z≠b→~欲踊az)  9カ&I
  5 (ク)   ∃y{我a&汝y&∀z{z≠y→~欲踊az)} キEI
 4  (ケ)   ∃y{我a&汝y&∀z{z≠y→~欲踊az)} 45クEE
 4  (コ) ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)} ケEI
1   (サ) ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)} 34コEE
従って、
(03)により、
(04)
② ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)}
③ ~∀x∀y{我x&汝y→∃z(z≠y&欲踊xz)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① ∃x∃y{我x&汝y&∀z(  欲踊xz→z=y)}
② ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)}
③ ~∀x∀y{我x&汝y→∃z(z≠y&欲踊xz)}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
① あるxは私であり、あるyは汝であり、すべてのzについて、x(私)がzに踊って欲しいのであれば、そのzはy(汝)である。
② あるxは私であり、あるyは汝であり、すべてのzについて、zが、y(汝)でないならば、x(私)はzに踊って欲しくはない。
③ すべてのxとyについて、xが私であり、yが汝であるならば、あるzがy(汝)でなくて、x(私)がそのzに対して、踊って欲しい、といふことはない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(07)
② あるxは私であり、あるyは汝であり、すべてのzについて、zが、y(汝)でないならば、x(私)はzに踊って欲しくはない。
といふことは、
② 私は、あなた以外に、踊って欲しいとは思はない。
といふ、ことである。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① ∃x∃y{我x&汝y&∀z(  欲踊xz→z=y)}
② ∃x∃y{我x&汝y&∀z(z≠y→~欲踊xz)}
③ ~∀x∀y{我x&汝y→∃z(z≠y&欲踊xz)}
といふ「論理式」は、三つとも、
② 私は、あなた以外に、踊って欲しくない
といふ、「意味」である。
然るに、
(09)
② 私は、あなた以外に、踊って欲しくない
といふだけでは、
② 私は、あなたに、踊って欲しい。
といふことには、ならない。
然るに、
(10)
② 私は、あなたに、踊って欲しく、あなた以外に踊って欲しくない。⇔
② ∃x∃y{我x&汝y&欲踊xy&∀z(z≠y→~欲踊xz)}⇔
② あるxは私であり、あるyは汝であり、x(私)はy(汝)に踊って欲しく、すべてのzについて、zが、y(汝)でないならば、x(私)はzに踊って欲しくはない。
従って、
(10)により、
(11)
② 私は、あなたに、踊って欲しく、あなた以外に踊って欲しくない
といふ「日本語」は、
② ∃x∃y{我x&汝y&欲踊xy&∀z(z≠y→~欲踊xz)}
といふ「論理式」に、相当する。
然るに、
(12)
① 私は、あなたに、踊って欲しい。
といふ「日本語」に於いて、
①   「あなたに」
を、殊更、「強く発音」するならば、
② 私は、あなたに、踊って欲しく、あなた以外に踊って欲しくない
② ∃x∃y{我x&汝y&欲踊xy&∀z(z≠y→~欲踊xz)}
といふ「意味」になる。
然るに、
(13)
② 私は、あなたに、踊って欲しく、あなた以外に踊って欲しくない
といふことは、すなはち、
② 私は、あなたに、踊って欲しいのであって、あなた以外に踊って欲しくはない
といふことは、
② 私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
といふ、ことである。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 私は、あなたに、踊って欲しい。
といふ「日本語」に於いて、
①   「あなたに
を、殊更、「強く発音」するならば、
② 私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
といふ「意味」になる。
従って、
(14)により、
(15)
① 私は、あなたに、踊って欲しい。
といふ「日本語」に於いて、
①   「あなたに
を、「強調」するならば、
② 私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
といふ「意味」になる。
然るに、
(16)
B:Te bene saltare audivi.Salta, obsecro.
A:Alium roga.
B:Te ipsum saltare videre volo.
(白水社、CDエクスプレスラテン語、2004年、66頁)
然るに、
(17)
B:君は踊りがうまいと聞いたことがあるぞ、お願いだ、踊ってくれ。
A:ほかの人に頼めよ。
B:君自身が踊るのを見たいんだよ。
(白水社、CDエクスプレスラテン語、2004年、67頁)
然るに、
(18)
A:ほかの人に頼めよ。
B:君自身が踊るのを見たいんだよ。
といふことは、
A:他の人に頼めよ。
B:私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
といふ、ことである。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
B:Te ipsum saltare videre volo.
といふ「ラテン語」は、
B:私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい(意訳)。
といふ「日本語」に、訳すことが出来る。
然るに、
(20)
B:Te ipsum の、
     ipsum は、ipse の「対格」であって、
             ipse は「強意代名詞」である。
然るに、
(21)
上述の指示代名詞のほかに、「~自身、自体」「他ならぬ~」を意味する強意代名詞の ipse も、三人称代名詞になります(大西英文、はじめてのラテン語、1997年、174頁改)。
従って、
(19)(20)(21)により、
(22)
① Te             saltare videre volo.
② Te ipsum saltare videre volo.
といふ「ラテン語」は、
① 私は、     あなたに、踊って欲しい。
② 私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
といふ「日本語」に、相当する。
従って、
(15)(20)(21)(22)により、
(23)
① 私は、あなたに、踊って欲しい。
① Te saltare videre volo.
に於いて、
① あなたに、   を「強調」し、
① Te(you) を「強調」すると、
② 私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
② 私は、他ならぬ、あなたに、踊って欲しい。
といふ「意味」になる。