(01)
(ⅰ)太陽系は、地球が第三惑星である。然るに、
(ⅱ) 火星は、地球ではない。 従って、
(ⅲ)太陽系は、地球は第三惑星であって、火星は第三惑星ではない。
といふ「推論」は「妥当」である。
然るに、
(02)
① 第一惑星は、一つしかないし、
② 第二惑星も、一つしかないし、
③ 第三惑星も、一つしかないし、
④ 第四惑星も、一つしかないし、
⑤ 第五惑星は、一つしかないし、
⑥ 第六惑星も、一つしかないし、
⑦ 第七惑星も、一つしかないし、
⑧ 第八惑星も、一つしかない。
従って、
(02)により、
(03)
③ 第三惑星は、一つしかない。
といふ「理由」により、
(ⅰ)太陽系は、地球が第三惑星である。
といふ「日本語」を、
(ⅰ)太陽系 地球 第三惑星。
といふ『漢文』に「翻訳」したとしても、
(ⅰ)太陽系は、地球が、(唯一の)第三惑星である。
といふ「意味」になる。
cf.
主語・述語の順で並べられた文章で、述語の上に置かれる語が一つの主語だけでなく、
漢 兵 盛。
に於ける、
漢 兵
のやうに、(二つの)主語が重なっている場合がある。
(西田太一郎、漢文の語法、1980年、120頁改)
然るに、
(04)
1 (1)∀x{太陽系x→∃y[地球y&惑星yx&~∃z(z≠y&惑星zx)]} A
1 (2) 太陽系a→∃y[地球y&惑星ya&~∃z(z≠y&惑星za)] 1UE
3 (3) 太陽系a A
13 (4) ∃y[地球y&惑星ya&~∃z(z≠y&惑星za)] 23MPP
5 (5) 地球b&惑星ba&~∃z(z≠b&惑星za) A
5 (6) 地球b&惑星ba 5&E
5 (7) 地球b 6&E
5 (8) 惑星ba 6&E
5 (9) ~∃z(z≠b&惑星za) 5&E
5 (ア) ∀z~(z≠b&惑星za) 9量化子の関係
5 (イ) ~(c≠b&惑星ca) アUE
5 (ウ) ~c≠b∨~惑星ca イ、ド・モルガンの法則
5 (エ) c≠b→~惑星ca ウ含意の定義
オ (オ) ∃z(火星z&~地球z) A
カ (カ) 火星c&~地球c オUE
カ (キ) 火星c カ&E
カ (ク) ~地球c キ&E
5 カ (ケ) 地球b&~地球c 7ク&I
コ(コ) c=b A
5 カコ(サ) 地球b&~地球b ケコ=E
5 カ (シ) c≠b コサRAA
5 カ (ス) ~惑星ca エシMPP
5 カ (セ) 火星c&~惑星ca キス&I
5 カ (ソ) ∃z(火星z&~惑星za) セEI
5オ (タ) ∃z(火星z&~惑星za) オカソEE
5 (チ) ∃y(地球y&惑星ya) 6EI
5オ (ツ) ∃y(地球y&惑星ya)&∃z(火星z&~惑星za) タチ&I
13 オ (テ) ∃y(地球y&惑星ya)&∃z(火星z&~惑星za) 45ツEE
1 オ (ト) 太陽系a→∃y(地球y&惑星yx)&∃z(火星z&~惑星zx) 3テCP
1 オ (ナ)∀x{太陽系x→∃y(地球y&惑星yx)&∃z(火星z&~惑星zx)} トUI
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x{太陽系x→∃y[地球y&惑星yx&~∃z(z≠y&惑星zx)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(火星z&~地球z)。従って、
(ⅲ)∀x{太陽系x→∃y(地球y&惑星yx)&∃z(火星z&~惑星zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは[地球であって、xの惑星であって、あるzが(y以外であって、xの惑星である)といふことはない]}。
(ⅱ)あるz(火星であって、地球ではない)。従って、
(ⅲ)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは(地球であって、xの惑星であって)、あるzは(火星であって、xの惑星でない)}。
といふ「推論(の形式)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
(ⅰ)太陽系 地球 惑星。
といふ『漢文』に「相当」する、
(ⅰ)太陽系は、地球が惑星である。
といふ「日本語」が、
(ⅰ)∀x{太陽系x→∃y[地球y&惑星yx&~∃z(z≠y&惑星zx)]}。
(〃)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは[地球であって、xの惑星であって、あるzが(y以外であって、xの惑星である)といふことはない]}。
といふ「意味」であるならば、
(ⅰ)太陽系は、地球が惑星である。
といふ「日本語」は、
(ⅰ)太陽系は、地球以外は惑星でない。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(07)
(ⅰ)太陽系 地球 惑星。
に於ける、「地球」を、「殊更に、大きな声」で「発音」したとすれば、
(ⅰ)太陽系 地球 惑星。
といふ「漢文」は、
(ⅰ)太陽系は、地球以外は惑星ではない。
といふ「意味」になったに、「違ひない」。
然るに、
(08)
① 地球は(清音)
② 地球が(濁音)
である。
然るに、
(09)
清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ゴロゴロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである(金田一春彦、日本語(上)、1988年、131頁)。もし濁音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「濁音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も濁音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 地球は(清音)
② 地球が(濁音)
であれば、
② の方が、「心理的な音量」が、「大きい」。
従って、
(07)(10)により、
(11)
「我々の先人」が、例へば、
(ⅰ)太陽系 地球 第三惑星。
といふ『漢文』を、
(ⅰ)太陽系は、地球以外は第三惑星でない。
(〃)∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]}。
といふ風に「訳したかった」のであれば、その場合は、
(ⅰ)太陽系は 地球は 第三惑星である。
とはせずに、
(ⅰ)太陽系は 地球が 第三惑星である。
といふ風に、「訳した」はずであり、次第に、「そうした訳」が、「定着」していった。
といふに、「推測」出来る。
(01)
第17節 大主語・提示語・副詞的修飾語
主語・述語の順序で並べられた文章で、述語の上に置かれる語が一つの主語ではなく、主語が重なっている場合がある。
また何かについて述べようとしてその語をまず先に掲げておいて、その次にそれについて具体的に説明する場合がある。
そのほか行為や事件のあった時や所を何の媒介する語もなしで述語より前に置くことがある。
(西田太一郎、漢文の語法、1980年、120頁)
従って、
(01)により、
(02)
① 天皇は、万世一系にして、日本国を統治す。
② 日本国は、万世一系の天皇、これを、統治す。
に於いて、
① 「天皇は」は、「主語」 であり、
②「日本国は」は、「提示語」であるとする。
従って、
(02)により、
(03)
① 寒天は、美味である。
② 寒天は、我、これを食さず。
に於いて、
①「寒天は」は、「主語」 であり、
②「寒天は」は、「提示語」である。
従って、
(03)により、
(04)
① 寒天は、食べません。
② 寒天は、我、これを食さず。
に於いて、
①「寒天は」は、「提示語」であり、
②「寒天は」も、「提示語」である。
然るに、
(05)
② 寒天我不食之=
② 寒天我不〔食(之)〕⇒
② 寒天我〔(之)食〕不=
② 寒天は、我、これを食さず。
といふ「(漢文由来の)日本語」は、「語順」から言っても、
② ∀x{蒟蒻x→∃y(我y&~食yx)}⇔
② すべてのxについて{xが蒟蒻であるならば、あるyは(我であって、yはxを食べない)}。
といふ「述語論理式」に「等しい」。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 寒天は、食べません。
② 寒天は、我、これを食さず。
といふ「日本語」が、「非(述語)論理的」であるといふことはない。
従って、
(06)により、
(07)
① 寒天は、食べません。
② 寒天は、我、これを食さず。
といふ「日本語」に「相当」する『文型』が、「英語」には無いからと言って、
① 寒天は、食べません。
② 寒天は、我、これを食さず。
といふ「日本語」自体が、「非(述語)論理的な言い方」であるといふことには、ならない。
cf.
先日、数人の大学の先生と話をしているときに、ある先生が「うちの学生が、英語ができるようになったら、数学ができるようになった」と言った。これは、暗に、英語ができるようになった、だから数学ができるようになったと言いたいのである。言い換えれば、日本語では論理的に考えられないから、数学ができない、と言いたいのである。私は「またか」と思った。日本人は、この大学の先生のように、日本語は非論理的であり、論理的思考に向いていないと思い込んでいる人が多い。
(月本洋、日本語は論理的である、2009年、2頁)
然るに、
(08)
(ⅱ)
1 (1)~∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)} A
1 (2)∃x~{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)} 1量化子の関係
3 (3) ~{蒟蒻a→∃y(人y&食ya&~太y)} A
3 (4) ~{~蒟蒻a∨∃y(人y&食ya&~太y)} 3含意の定義
3 (5) 蒟蒻a&~∃y(人y&食ya&~太y) 4ド・モルガンの法則
3 (6) 蒟蒻a 5&E
3 (7) ~∃y(人y&食ya&~太y) 5&E
3 (8) ∀y~(人y&食ya&~太y) 7量化子の関係
3 (9) ~(人b&食ba&~太b) 8UE
3 (ア) ~人b∨~食ba∨ 太b 9ド・モルガンの法則
3 (イ) (~人b∨~食ba)∨太b ア結合法則
ウ (ウ) (~人b∨~食ba) A
ウ (エ) ~(人b&食ba) ウ、ド・モルガンの法則
ウ (オ) ~(人b&食ba)∨太b エ∨I
カ(カ) 太b A
カ(キ) ~(人b&食ba)∨太b カ∨I
3 (ク) ~(人b&食ba)∨太b イウオカキ∨E
3 (ケ) (人b&食ba→太b) ク含意の定義
3 (コ) ∀y(人y&食ya→太y) ケUI
3 (サ) 蒟蒻a&∀y(人y&食ya→太y) 6コ&I
3 (シ) ∃x{蒟蒻x&∀y(人y&食yx→太y)} サEI
1 (ス) ∃x{蒟蒻x&∀y(人y&食yx→太y)} 13シEE
(ⅲ)
1 (1) ∃x{蒟蒻x&∀y(人y&食yx→太y)} A
2 (2) 蒟蒻a&∀y(人y&食ya→太y) A
2 (3) 蒟蒻a 2&E
2 (4) ∀y(人y&食ya→太y) 2&E
2 (5) (人b&食ba→太b) 4UE
2 (6) ~(人b&食ba)∨太b 5含意の定義
7 (7) ~(人b&食ba) A
7 (8) (~人b∨~食ba) 7ド・モルガンの法則
7 (9) (~人b∨~食ba)∨太b 8∨I
ア(ア) 太b A
ア(イ) (~人b∨~食ba)∨太b ア∨I
2 (ウ) (~人b∨~食ba)∨太b 279アイ∨E
2 (エ) ~人b∨~食ba∨ 太b ウ結合法則
2 (オ) ~(人b&食ba&~太b) エ、ド・モルガンの法則
2 (カ) ∀y~(人y&食ya&~太y) オUI
2 (キ) ~∃y(人y&食ya&~太y) カ量化子の関係
2 (ク) 蒟蒻a&~∃y(人y&食ya&~太y) 3キ&I
2 (ケ) ~{~蒟蒻a∨∃y(人y&食ya&~太y)} ク、ド・モルガンの法則
2 (コ) ~{蒟蒻a→∃y(人y&食ya&~太y)} ケ含意の定義
2 (サ)∃x~{蒟蒻a→∃y(人y&食ya&~太y)} コEI
1 (シ)∃x~{蒟蒻a→∃y(人y&食ya&~太y)} 12サEE
1 (ス)~∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)} サ量化子の関係
従って、
(08)により、
(09)
② ~∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}
③ ∃x{蒟蒻x&∀y(人y&食yx→ 太y)}
に於いて、
②=③ であるため、「両辺」を「否定」すると、「二重否定」により、
② ∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}
③ ~∃x{蒟蒻x&∀y(人y&食yx→ 太y)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(05)(07)(09)により、
(10)
① 蒟蒻は、太らない。⇔
② ∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}⇔
③ ~∃x{蒟蒻x&∀y(人y&食yx→ 太y)}⇔
④ 食べた人が太る所の「コンニャク」は存在しない。
といふ「日本語」に「相当」する『文型』が、「英語」には無いからと言って、
① 蒟蒻は、太らない。
④ 蒟蒻は、人、これを食して、太ること無し。
といふ「日本語」自体が、「非(述語)論理的な言い方」であるといふことには、ならない。
然るに、
(11)
日本語の文構造がどういうものなのかを説明するときに、問題になる例文がいくつかあります。たとえば「こんにゃく文」と呼ばれるものです。「こんにゃくは太りません」という例文には主語があるでしょうか。主語があるとしたら何であるかが問題になります。
(my コンテンツ工房|業務コンサルタント 丸山有彦)
然るに、
(03)(10)(11)により、
(12)
① 蒟蒻は、美味である。
② 蒟蒻は、太らない。
に於ける、
①「蒟蒻は」は、「主語」 であり、
②「蒟蒻は」は、「提示語」である。
然るに、
(13)
② 蒟蒻は、太らない。
③ 蒟蒻は、人、これを食して、太ること無し。
に於いて、
②=③ である。
といふことは、
③ 蒟蒻は、「提示語」であると「同時」に、「目的語」である。
といふことになる。
従って、
(13)により、
(14)
② 蒟蒻は、太らない。⇔
③ 蒟蒻は、人、これを食して、太ること無し。
に於ける、
②「蒟蒻は(提示語)」は、「主語」のやうであり、実質的には、「目的語」である。