嶋津の筏師の道に一歩足を踏み入れた途端,長いあいだ変わっていないであろう景色から,時の経過を濃縮したような独特な雰囲気に包まれるような気がした.森を外から見るよりも一層,不思議な感覚を覚えるのだった.
道に繁茂した苔の上を歩くと,ふかふかした感触が足元から伝わってくる.この感触が日常世界とは違った空間にいるような錯覚に陥らせるのだった.小さな森であるが,小道が縦横無尽に至るところに分 . . . 本文を読む
和歌山県は新宮市の熊野川町嶋津.メアンダリングしている北山川の中州に,楕円形をした森がある.自然に出来たにしては如何にも不思議だが,かと言ってこのような中州に森を人工的に作れるわけもない.本当に不思議なところで,嶋津の森と言われている.
川が増水していない限りは,この嶋津の森の中へアクセスすることができる.目印は日本一小さな観光協会だ.ここでは小さな可愛らしい坊やとお嬢さんが出迎えて . . . 本文を読む
池原ダムからR425を走り,上北山村のツキ谷でオートバイを停めて,千尋滝を目指し山道へと入った.途中から道なき道を進んで行き,20分ほどかけて千尋滝へと到着した.
ものすごい水量,轟音,そして立ち上がる水煙.この圧倒的な迫力の前では,適当な言葉が思い当たらない.立ったまま,ただただ滝を眺め続けるだけだった.
しっかりと滝を目に焼き付けて,来た道を戻ることにした.帰りの道では, . . . 本文を読む
雨降り予報だったとある祝日の朝.ベッドから起きてみると,外はからりとした秋晴れだった.天気予報は外れたようだ.何の計画もなしに慌てて支度をして,オートバイに乗って出掛けることにした.出遅れたせいで,交通量は非常に多かった.ここは下手に焦らずに,秋桜を愛でながら,ゆっくり気ままに走ることにした.
自然と行き着いた先は,池原ダムだった.R425は崩落によって,坂本ダムまで通行止めになって . . . 本文を読む
京都府道9号線で,福知山市から宮津市を目指して北上する途中,二つの市の境にある大江山付近に差し掛かった.かつて,この辺りには,酒の大好きな鬼の頭領・酒呑童子(しゅてんどうじ)が住んでいたという.この地には,鬼退治の伝説が残っている.
大江山絵巻によると,長徳元年(995年)の京では若者や姫君たちの神隠しが相次いだという.安倍晴明の占いで,大江山に居城を据えている酒呑童子ら鬼の仕業だと . . . 本文を読む
三重県は多気郡大台町大杉.清流,宮川の上を新大杉橋を渡って,三重県道53号大台ヶ原線で大台ケ原の登山口を目指した.この道は,大台ケ原への登山口で終点になっている.
大台ケ原への登山口が近いということもあって,それなりに険しい山道を進んで行くことになる.5月だというのに,この日は初夏のような暑さだった.ヘルメットを被ったまま写真を撮っていると,汗が滲んでくる始末だった.春が来たと思った . . . 本文を読む
三重県は多気郡大台町を北から南へ,三重県道53号大台ヶ原線を走ってしばらくすると,宮川ダムが現われる.この道は,大台町から西に大台ケ原方面へと宮川沿いを走る快走路だ.この道を利用するものは,地元住民を除いては,熱心なハイカーか釣り人だけだろう.西へ進んでいくだけ,交通量が減っていく.
この辺りは,大台町の大杉という地域だ.三重県道53号大台ヶ原線はピストン県道となっており,大台ケ原へ . . . 本文を読む
池原ダムから出発した,上北山村奥地の探検もいよいよ終盤だ.坂本ダムを過ぎて少しいった所にある,出合橋をわたって北上した.この道は国道よりも幅員が狭く,落石した箇所が至るところにある.いつ落石があってもおかしくない怖い道だ.
坂本ダム湖畔に沿ったこの道は,ガードレールのない区間が多い.湖畔沿いといっても,断崖絶壁の上を走行することになる.斜面には植物たちが,屈強な生命力で必死に根をはっ . . . 本文を読む
坂本ダムを過ぎて,さらに奥へと苔のむした道を進んでいく.これでも一応,国道と名の付く道路に違いはないけれど・・・.それにしても苔の緑がまた美しい.ライムグリーンでモスグリーンの道を走るのも悪くない.
そして,湖は青色でも水色でもない,表現に困るほどの綺麗な色を呈していた.波風ひとつ立たない湖面は一部,鏡面となって湖畔の木々を反射していた.
しばらくすると,出合橋が現われる.こ . . . 本文を読む