おせっちゃんの今日2

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転び上手

2022-11-07 13:54:55 | 新聞記事から
11月2日の「折々のことば」。
『人の身体は、転ばないようにではなく、上手く転ぶように作られていく』(那須耕介)
赤ん坊は歩けるようになるまでさんざん転ぶ。転びかけるととっさに手をついたり、身体をひねったりして衝撃を和らげるようになる。
歩けるということは上手な転び方をわきまえていることだと那須耕介氏(法哲学者)は言う。

息子Kが小学校高学年の頃だったと思います。近所の同級生が4つ角で車に行き合い、慌てて、急ブレーキを握ることもなく,角の真ん中で転び、顔にかなり酷い擦り傷を作るという事故がありました。幸い、大事にはいたらなく、良かったのですが、その時の父母会、「あそこは両側から坂道で下ってきて、交差点が一番谷になっている。スピードは出ている、慌ててブレーキは握れない。子供はこんな時、とっさには両手をあげてしまって、まさにお手上げ状態で顔から落ちる。危険個所はよく指導してください」とさんざん注意を受けました。
この場合転び方というより、止まりかたでしょうか。

私は相撲が好きです。もうすぐ今年最後の締めの九州場所が始まります。
相撲社会では、「手はつくな。顔から落ちろ。顔の傷は名誉だ」と言われるようです。土俵際で投げを打たれて二人縺れ合うように倒れる時、最後まであきらめず、顔から落ちれば、手をつくより一瞬長く空中に保つことができるのだそうです。
子どもが、とっさの場合手をついて、身を守るのと反対の行動です。
そしてこのことと同時に思い出すのが、貴ノ花(父親)です。手は尽きませんでしたが、髷が相手より一瞬先についたのです。負けです。記者から「髷がなかったら勝っていましたよね」と言われると、ぼそっと「髷あっての相撲取りです」と、爽やかに答えたのでした。

「折々のことば」の解説者、鷲田清一氏は最後をこう締めくくっておられます。
『柔道でまずは受け身を習うように、感情を豊かで安定したものにするにも、「感情の受け身」を習得することが大事だ』と。