とりわけ桜のこの時期、部屋の窓越しに見える煙突山は、1人うっとりしてしまう眺めである。
夏には緑の枝がベランダを覆い、秋には鮮やかな紅葉が舞い散り、冬は細い枝が強風にしなる。
桜の大樹は四季を通して煙突山の眺めに変化と彩りを添えてくれるのである。
けれども花は桜、この季節に勝るものはない。
もしも寝たきりになったとしたら・・・・・、窓際にベッドを置いて、私はこの風景を日がな眺めていられたらそれだけで癒されるだろうな、そんなことを本気で思っていた時期もあった。
「願はくは 花の下にて 春死なむ その如月の もち月のころ」
西行法師の心境になろうというもの。