遅い朝、雲間から初日の光が射していた。
煙突山の尾根続きまで、薄っすらと雪がかかる寒い元日である。
去年までとは少し違う、でも静かな新年を迎えることができた。
「お正月にはやっぱりお雑煮が食べたいわ」、と予ねてリクエストがあった
妻は昔から雑煮が好きだった。
妻の指示で、いりこでダシをとり、薄く切った大根と人参にだし醤油で薄味をつける。
買ってきておいた杵つきもち、「いくつ食べられる?」
去年までは妻に聞かれていたなあ。
「2つ、ね」・・まさか2つは無理だろうよ、最近は食欲も極端に落ちている。
妻は何と、朝と昼にも お雑煮で餅を二個づつ食べた。「美味しかったよ」
ちょっと吐き気をもよおしたが、治まって吐かずにすんだ。安堵
痛み止めの薬が増える毎に、昼間もまるで赤子のように眠り続けている。
眠れることは痛みがなく平穏だということだから・・・。
昨夜も、殆ど目を閉じ、多分眠っていたようだが、例年の紅白歌合戦を聞いていた?
行く年くる年の時間に、用意した年越しそばを「あぁ美味しい・・」と食べた。
無事に年越しできたことに「お父さんのお陰」と涙を流した。
今年もこのままでいい、寝たきりでもいいから共に生きていきたい。