歩くのもやっと、今週は無理か と考えていた週末外泊だったが、車椅子を使い帰った。
久しぶりの晴れ間となり風もない。
「午後に約束してあるの、どうしても出かけたいの」と言う。
友人の喫茶「レジュウノア」の仲間は妻にとって姉妹のような存在であった。
折に触れ本当に細やかで控えめな気遣いをしてくれる。
その喫茶店、今月限りで閉店するので是非行ってあげたいというのだった。
どうしてもと言うなら行かせてやりたい。
いつもならパジャマの上にダウンコートを羽織るだけなのに
妻の希望で、今回は娘と2人がかりで外出着に着替えさせる。
浮腫んだ足にストッキングを鋏で裂いて履かせたが、ついに靴は履けなかった。
ちぐはぐだがスリッパにする。
私も何度か行ったことがある、それはそれはセンスの良い洒落たお店だった。
今回ファイナルフェア、蒐集した何組もの古雛が飾られ、早咲きの桜がしつらえてあった。
仲間が揃って迎えてくれていた。
みんなに取り囲まれて、久しぶりの華やかな ひと時
妻の顔がほころび 目が生き生きしていて、私まで嬉しくて熱くなった。
ほんの10分か15分いて、名残惜しいが おいとまする。
「本当に良かったなあ、もっとゆっくりしたかった」
だが帰ってきた後、疲れてまた昏々と眠り続けていた。