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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

植民地主義と闘う思想の流星群 基地のない沖縄を世界が願っている

2018年09月14日 | 平和憲法
  =書評(『琉球新報』)=
 ◆ 『沖縄は孤立していない』 乗松聡子編著 金曜日1944円
   評者(前田朗・東京造形大学教授)


 沖縄は孤立している。軽んじられ、虐げられ、踏みつけにされ、無視され、基地と暴力を押し付けられる。同じ人間が住んでいる島と認められない。
 悲痛の叫びは空(むな)しく宙に彷徨(さまよ)い、抵抗は暴力的に抑圧され、「沖縄に寄り添う」と虚言に欺かれ、見えない壁に押し潰される。
 沖縄はまさに孤立している。

 沖縄を孤立させてきたのは誰か―ヤマトの民だ。
 保守も革新も、右翼も左翼もない。護憲も改憲もない。戦後民主主義と平和主義を謳歌(おうか)してきた私たち、ヤマトの植民地主義者の総体が沖縄を都合よく「消費」してきた(評者もその一人に過ぎない)。
 乗松聡子はこの責任を胸に刻み、決して逃げ出すことなく、暗黒の軍事帝国宇宙のただ中で、微かに、だが、懸命に煌(きら)めいている。
 辺野古基地建設に反対し、米軍基地撤去のために多様なアプローチを続けてきた沖縄の先達や、オール沖縄の闘いに励まされながら、乗松は日米同盟という史上最悪の軍事帝国に挑戦状を叩(たた)きつける。
 歴史への責任、正義への責任、そして植民地主義者でありたくない自分自身への責任をエネルギーに。
 乗松の煌めきは怒りとなり、炎となり、流星となって軍事帝国を貫き、植民地主義に抗する世界各地の知性に遭遇した。必然の出会いが沖縄でスパークする。
ジョン・ダワー、
ダニエル・エルズバーグ、
ノーム・チョムスキー、
オリバー・ストーン、
ピーター・カズニック、
ガバン・マコーマック、
アン・ライト、
ハーバート・ビックス、
リチャード・フォーク …
 ジャーナリスト、学者、平和運動家、先住民活動家。
 乗松という魔法の指揮棒と、30人余の行動する思想の流星群が織りなす光のシンフォニーは、希(まれ)な望みを希望に成型し、未(いま)だ来ていない未来を確かなものに予感させる。
 南北会談米朝交渉の始まりが、ベルリンの壁崩壊に次ぐ歴史のページェントを開いて見せようとしている、まさにこの時、乗松の確信は沖縄を蔽(おお)う暗雲を吹き飛ばす
 「沖縄に基地はいらない。基地のない沖縄を世界が願っている。沖縄は孤立していない」
 (前田朗・東京造形大学教授)

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 ※のりまつ・さとこ 東京都出身。ピース・フィロソフィーセンター代表。「アジア太平洋ジャーナル ジャパンフォーカス」エディターとして、人権、米軍基地、核問題などについて日英両文で、研究・執筆活動を行う。著書多数。
『琉球新報』(2018年6月10日)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-735801.html
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