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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◎ 被処分者の会による都教委要請文と都教委回答

2025年02月20日 | 「日の丸・君が代」強制反対

要請:2025年1月22日 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会、
              東京「君が代」裁判原告団
回答:2025年2月13日 東京都教育庁総務部広報統計課長 坂井良充

◎ 要 請 書

<要請の趣旨>

1.卒業式・入学式等で「日の丸・君が代」を強制する東京都教育委員会(以下都教委という)の10・23通達(2003年)とそれに基づく校長の職務命令により、これまでに懲戒処分を受けた教職員は延べ484名にのぼります。この通達発出以降、東京の学校現場では「命令と服従」の構造によって自由で創造的な教育が失われています。

2.一連の最高裁判決(2011年5月~7月)は、起立斉唱を命じる校長の職務命令が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、処分取消訴訟の最高裁判決(2012年1月、2013年9月)は、「間接的制約」に加え、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」「処分の選択が重きに失するものとして、社会観念上著しく妥当を欠き、…懲戒権者としての裁量権の範囲を超えるものとして違法」として減給処分・停職処分を取り消しました。最高裁が、都教委による累積加重処分に歯止めをかけたのです。
 これらの最高裁判決には、都教委通達・職務命令を違憲として、戒告を含むすべての処分を取り消すべきとの反対意見(2012年1月宮川裁判官)を始め、都教委に対し「謙抑的な対応」を求めるなどの補足意見(2012年1月櫻井裁判官、2013年9月鬼丸裁判官、他多数)があり、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めています。
 また、最高裁(第一小法廷)は2019年3月、東京「君が代」裁判四次訴訟において、東京高裁判決を不服とした都教委の上告受理申立を不受理とし、特別支援学校教員の卒入学式での4回目・5回目の不起立に対する減給処分(減給10分の1・1月)を取り消しました。

3.最高裁、東京高裁、東京地裁で確定した処分取消の総数は、77件・66名に上ります。都教委が、最高裁・東京高裁・東京地裁で「違法」とされた処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる行為です。今すぐ原告らに謝罪し、その責任の所在を都民に明らかにし、再発防止策を講じるべきです。その上で、10・23通達などの「日の丸・君が代」強制に係わる従来の都教委の施策を抜本的に見直すべきです。

4.しかるに、都教委は、2012年1月の最高裁判決の直後に「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)を議決しました。その内容は一連の最高裁判決で校長の職務命令が、思想・良心の自由の「間接的制約」であること、「減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」だとして減給・停職処分が取り消されたこと、反対意見、補足意見が多数出されていること等をことさら無視して、都教委に都合の良い部分だけを取り出して「日の丸・君が代」強制を合理化するものです。そして、その「議決」を根拠に、従来の姿勢を改めることなく最高裁判決にも反した減給を含む懲戒処分を出しています。
 また、違法な処分を行ったことを原告らに謝罪することなく、最高裁判決・東京地裁判決で減給処分が取り消された現職の都立学校教員延べ20件・19名に新たに戒告処分を科し再処分をするという暴挙に及びました(2013年12月、2015年3月~4月、2018年2月、2020年12月)。
 これらは最高裁などの判決の趣旨をねじ曲げないがしろにするもので断じて許すことはできません。猛省を迫るものです。

5.ILO・ユネスコ合同委員会(セアート CEART)(2019年3月、2022年6月)及び国連自由権規約委員会(2022年11月)は、学校儀式での国旗掲揚・国歌斉唱に関し、日本政府に起立斉唱強制の是正を求める「勧告」(総括所見)を採択しました。その中で各国際機関は、東京の「日の丸・君が代」強制の実態を挙げて、教職員の処分、生徒・児童への起立強制などを厳しく批判しています。人権尊重を教え、徹底すべき学校で「日の丸・君が代」強制という人権侵害がまかり通っています。国際基準と国際人権法に反する人権侵害を直ちにやめ、10・23通達に基づく一連の施策を抜本的に見直すべきです。

6.10・23通達発出から21年3ヶ月が経ちました。長期にわたり学校現場に異常な混乱をもたらした10・23通達を撤回し、卒業式・入学式が各学校の創意工夫を尊重し、自由で創造的で真に子どもたちの卒業・入学を祝福するための式になるよう強く求めます。

7.貴教育委員会が、一連の司法の判断を重く受け止め、責任ある教育行政としての立場を自覚するとともに、問題解決のため下記申し入れを誠実に検討し、回答することを要求します。

<要請事項>

1.東京都教育委員会が2003年10月23日に発出したいわゆる「10・23通達」を撤回すること。

(回答) これまでに出された裁判所の判断において、都教育委員会が平成15年10月23日付けで発出した、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」は、旧教育基本法第10条第1項にいう「不当な支配」には該当しないとされています。よって、本通達を撤回する考えはありません。 (所管 指導部指導企画課)

2.同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取り消すこと。

(回答 「懲戒処分を取り消すこと」について)
卒業式等における職務命令違反を理由とした懲戒処分の取消しや撤回は、考えておりません。(所管 人事部職員課)
(回答 「厳重注意を取り消すこと」について)
厳重注意の取消しは、考えておりません。(所管 指導部指導企画課)

3.最高裁判決(2012年1月、2013年9月、2019年3月)、東京高裁判決(2015年12月4日)、東京地裁判決(2017年9月15日)に従い、10・23通達に基づく全ての減給・停職処分を取り消し、該当者に謝罪すること。

(回答) 卒業式等における職務命令違反を理由とした懲戒処分の取消しや撤回は、考えておりません。また、謝罪する考えはありません。(所管 人事部職員課)

4.2013年12月、2015年3月・4月、2018年2月、2020年12月の現職教職員延べ20件・19名に対する戒告という再処分を撤回し、該当者に謝罪すること。

(回答) 卒業式等における職務命令違反を理由とした懲戒処分の取消しや撤回は、考えておりません。また、謝罪する考えはありません。(所管 人事部職員課)

5.10・23通達に基づく校長の職務命令を発出しないこと。

(回答) 平成23年5月30日、最高裁判所は、都教育委員会が平成15年10月23日付けで発出した、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」に基づく職務命令は、思想及び良心の自由を侵すものではなく、憲法19条に違反するものではないと判断しました。その後も最高裁判所においては同様の判断が繰り返されており、平成28年7月12日の判決も同様の判断でした。このように、最高裁判所の判決においては、学習指導要領に基づき自校の入学式、卒業式等を適正に実施するため、校長が職務命令を発出することは何ら問題がないとされています。(所管 指導部指導企画課)

6.2025年3月・卒業式、4月・入学式で「国旗(「日の丸」)掲揚、国歌(「君が代」)斉唱」を鬼施しないこと。式次第に「国歌」斉唱を入れないこと。

(回答) 学習指導要領や通達に基づき、各学校の入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう、引き続き、各学校を指導してまいります。(所管 指導部指導企画課)

7.卒業式、入学式で同通達に基づく新たな懲戒処分を行わないこと。

(回答) 卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判所の判決で繰り返し認められているところであり、職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。 (所管 人事部職員課)

8.同通達に係わり懲戒処分を受けた教職員に対する「服務事故再発防止研修」を行わないこと。

(回答) 懲戒処分の原因となった服務事故の再発を防止するため、関係規定に基づき、懲戒処分を受けた者に対し、服務事故再発防止研修を実施します。(所管 人事部職員課)

9.同通達に係わり懲戒処分を受けた教職員に対する「再任用打ち切り」を撤回すること。

(回答) 撤回する考えはありません。 (所管 人事部選考課)

10.卒・入学式等での「君が代」斉唱時に生徒の起立を強制し、内心の自由を侵害する「3・13通達」(2006年)を撤回すること。卒業式、入学式で生徒に内心の自由を告知するなどの各学校の創意工夫に介入しないこと。

(回答) 平成18年3月13日付「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導について(通達)」は、平成15年10月23日付「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」及び平成16年3月11日付「入学式・卒業式の適正な実施について(通知)」の趣旨を、なお一層徹底するとともに、校長が自らの権限と責任において、学習指導要領に基づき適正に児童・生徒を指導することを、教職員に徹底するよう通達したものです。本通達を撤回する考えはありません。(所管 指導部指導企画課)

11.「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。

(回答) 国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた職務命令が合憲であることは平成24年1月16日の最高裁判決でも改めて認められたところです。この判決を受け平成24年1月24日の臨時教育委員会において、「一人一人の教員が、教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教育者としての責務を認識し、学習指導要領に基づき、各学校の入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう、万全を期していく」ことを委員総意の下に確認し、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」が議決されました。本議決を撤回する考えはありません。 (所管 指導部指導企画課)

12.最高裁判決に従い、「紛争を解決する」ための具体的改善策を策定すること。

(回答) 卒業式等の式典において国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であることは、最高裁判所の判決で繰り返し認められているところであり、職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します。(所管 指導部指導企画課、人事部職員課)

13.ILO・ユネスコ合同委員会及び国連自由権規約委員会の勧告(総括所見)に従い、教員組織や該当者との「対話の機会」を設け、10・23通達を見直すこと。

(回答) 指摘のあった「勧告」は、東京都教育委員会に宛てられたものではないため、これについて見解を述べる立場にはありません。 (所管 指導部指導企画課、人事部職員課)

14.都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定すること。

(回答) 請願・要請については、広報統計課を通じて御意見をお聞きするとともに、請願については、主管課において趣旨を慎重に検討の上、その結果を請願者に通知し、また、要請については、必要に応じて回答を行っております。今後も同様に対応してまいります。 (所管 指導部指導企画課、人事部職員課、人事部選考課、教職員研修センター研修部教育経営課)

15.本要請書を教育委員会で配付し、慎重に検討し、議論し、回答すること。

(回答) 既に方針が決定済みの事項であることから、東京都教育委員会事案決定規程等に基づいて回答します。教育委員会への報告及び教育委員会での審議は行いません。 (所管 指導部指導企画課、人事部職員課、人事部選考課、教職員研修センター研修部教育経営課)

 


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