パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 都教委の外国語教育の右往左往

2023年05月30日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

  《「いまこそ」から》
 ★ 都立高校、今春のできごと

大能清子(葛西南・定)

 ★ 英語スピーキングテスト、不受験者への対応にビックリ

 2月の下旬、入選業務をしていて、最近ちょっとやそっとのことでは驚かなくなっている私も、さすがに焦った。多くの反対を押し切って導入されたスピーキングテストの、不受験者の得点の出し方である。
 反対運動をしている人たちは不受験者に仮点を算出することに異議を唱えているが、それ自体は私には馴染みがある。
 これまでも、調査書の一覧表のない受検者(不登校や過年の人)には、学力検査の得点を元に仮調査書点を出しているからだ。

 ところが、スピーキングテストでは、過年・国立・他県・私立中学生の受検者は、調査書のスピーキングテストの評価が「N」と記載され、採点ソフトが得点を出す。
 一方、不登校のため未受験だった受検者の調査書には「W」と書かれていた。
 質問したところ、「N」は単に未受験者であり、「W」は「理由もなく受験しなかった者」なのだという。
 「話すのが苦手なら受けない方が得だ」と噂される中、ESAT-J受験拒否者への見せしめともとれる対応だ。

 現在、定時制では受検者総数が一桁という学校が多く、その中に「N」と「W」が混在する。
 しかもESAT-J受験者に外国につながる生徒がいれば「A」になり、それに引きずられて「N」の受検者の得点が妙に高く出ることもある。
 うちは全入なので実害はないが、従来は不登校でも学力が高ければ全日制に入ることも可能だった。しかし、こういう方法が導入されたことで、不登校の生徒は明らかなハンディを背負わされる。
 一方で都教委は、文科省の一人も取り残さない教育とかいうスローガンに乗って、不登校の生徒にオンライン授業を提供せよという。一体どっちなんだと言いたくなる。

 ★ 「都立学校版コンディションレポート」への懸念

 「都立学校版コンディションレポート」というものも始まった。
 生徒に、スマホ等から毎日アンケートに回答させるもので、検温・朝の目覚め・昨日はどんな一日・今日の気分・相談希望等がアンケート項目に並ぶ。
 それをシステムが自動集計・分析し、教員はTAIMS端末で確認して必要に応じて面談等を実施するという。
 すでに6校7課程の指定校で実証研究(令和3年7月~令和4年3月)が行われ、今年3月から全都立学校での運用が始まった。

 ICT活用で、教員の負担を軽減しつつ、支援が必要な生徒を早期に発見し、生徒自身が心身の状況について自己理解を深め、自ら健康をコントロールし改善することが目的なんだそうだが、私には希死念慮のある生徒には藪蛇になるのではないかと気にかかる。
 生徒のためというよりは、“何が何でもDX”ありきと見た方が良さそうだ。

 ★ 外国につながる生徒への日本語支援

 もう一つ、今年度から「都立高校の魅力向上に向けた実行プログラム」が実施される。施策は「伸ばす・支える・学校づくり」の3方向
 「伸ばす」と「支える」は対象が違うだろう。
 定時制の課題は「支える」であり、新たに導入されるのは日本語指導の「特別の教育課程」だ。
 今年“手を挙げた”のは勤務校も含めて十数校。
 該当校は「日本語指導コーディネーター」と「授業の担当者」を校内で選び、予算と外部「支援員」が措置されるが、詳細はまだわからない。

 一方、新採や臨任、時間講師などの申込書に日本語指導希望の項目がある。難しい課題なのだが、ほぼ誰でもエントリーできる。
 状況はわかる。年々外国につながる生徒は増えているのに、日本語を教えられる人材が圧倒的に不足しているのだ。
 都教委は、各校に『外国につながる生徒への指導ハンドブック』を配布したが、授業で使うテキストは現場には届いていない。
 面倒な話だし、うまくいくかわからないが、私はたまりかねて「日本語指導コーディネーター」を引き受けた。
 とはいえ全てが手探りなので、他の該当校のとりくみを管理職に訊いたが、「うちが一番進んでると思う」と言われた。
 えっ、それは私が当てずっぽうにやったことじゃないの

予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ No.28』(2023年5月13日)

 


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