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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ "愛国心・国防意識"まで強制の自民改憲草案

2024年10月08日 | 「日の丸・君が代」強制反対

東京教組・憲法学習会で講演する清水雅彦日体大教授~8月31日、日本教育会館

 ☆ 「権力は自分を愛せと付きまとうストーカー」
   ~清水雅彦教授の自民改憲批判

 小中学校の教職員が組合員の東京都公立学校教職員組合(東京教組)は、都教育委員会の10・23通達(03年、〝君が代〟起立・斉唱強制を強化)発出後の卒業式で戒告処分を受けた10人の教職員の処分取消し訴訟を闘い、市民にも開かれた労働組合だ。その東京教組が8月31日、東京・千代田区で清水雅彦日本体育大学教授を講師に憲法学習会を開催した(約50人参加)。
 清水教授は憲法第13条の幸福追求権から保障される自己決定権に関し、校則問題で発言。神奈川県立高校在学時(80年代前半)「学ラン制服を着ず私服登校を続け、幸い体罰教員はいなかったが、生徒指導の教員と双方、授業時間に食い込むまで議論した。卒業アルバムは私だけ私服写真」等のエピソードを紹介。「学校側が一方的に校則を決め守れというのは、憲法13条と子どもの権利条約に違反する」と述べた。
 日体大では大学側が卒業式等で〝国歌斉唱〟を実施しているが、清水教授は授業で学生に〝君が代〟の歌詞の意味を教え、「起立・斉唱しない自由がある」と、憲法第19条の「思想・良心の自由」を説明している旨も語った。
 次に現憲法の前文は、「日本国民は(略)政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と規定。しかし12年4月の自民党〝日本国憲法改正草案〟は、「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって」に改悪を謀む。
 清水教授は、「国民=人間」から「日本国=国家体制・国家権力」への自民党案の主語の変更に「饒舌な国家意識の表出だ」と注意喚起。「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」と、〝愛国心・国防意識〟まで強制する自民改憲草案は「権力が自分たちを愛せ、愛せと付きまとうストーカーだ。愛されたければ愛される国家になればよい」と批判した。
 また現憲法第12条・13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と定め、「自由及び権利」の制限は「公共の福祉のため=個人の人権と人権が衝突した場合の調整」だけに限定している。しかし自民党は、「自由と権利は常に公益及び公の秩序に反してはならない」に改悪を主張。同党新憲法起草委員会(委員長・森喜朗元首相)が05年7月7日に発表した改憲要綱第一次素案は、「公益・公の秩序」は「国家の安全と社会秩序を維持する概念」だとし、〝お上のため〟に個々人の権利を制限する旨、明記。
 これに対し、清水教授は「市民革命以来、公権力が私的領域に安易に踏み込まない社会の形成を確立してきた欧米と逆で、権力を肥大化させる」と、警鐘を鳴らした。
 前述のように「個人対個人」の関係では、個人の権利は制限され得る。しかし文科省は17年7月、『中学道徳解説』の中で、「個人対国家権力」の関係でも個人の権利を制限できるかのような自民党的主張を展開。こちらも要警戒だ。
 最後に「大臣・国会議員等公務員の憲法尊重・擁護義務」を定めた第99条を踏まえ、清水教授は「(改憲派の)国会議員の方から変えろと言うのはおかしい。現憲法の人権規定は高く評価できるが、実際はその通り保障されていない。憲法理念の実現こそが重要」と締め括った。

(教育ジャーナリスト・永野厚男)

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