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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

東京都の人権施策見直しに向けて東京都総務局へ要請(2)

2015年04月28日 | 人権
  国際都市東京にふさわしい社会の実現を目指すための人権施策提言(続)
 ◎ 2,優先課題として


 (1)国に、『個人通報制度』の即時批准の働きかけを!

 人権は人類普遍の原理であり、国内外を問わず国際的に共通の基準で保障されるべきものである。世界中が同一基準の人権保障を実現するために、個人が国連に人権救済を申し立てる仕組みは不可欠であり、すべての国家には協力する義務がある。
 自由権規約は、既に国連加盟199ヶ国中167ヶ国が批准し、個人通報制度はそのうち114ヶ国が批准している(2012年2月)。日本は自由権規約は1979年に批准したが、個人通報制度は未批准である。OECD加盟国で未批准は日本を含めて2ヶ国だけであり、G8では日本だけであり、このままでは人権面ではとても先進国とは言い難い状態である。
 五輪が開催される2020年までには、国が批准を済ませ、世界中の人々が安心して東京を訪れることが出来るよう、国際都市の名に恥じぬよう東京都はぜひ政府に働きかけて欲しい。
 2010年4月、外務省人権人道課内に条約履行室設置を実現し、すでにハーグ条約に基づいた事例を扱い、法務省との連携も取れている。自由権規約の第1選択議定書(個人通報制度)は、1979年に国際人権規約(自由権規約・社会権規約)の批准について採択した自民党政権下の国会の衆議院・参議院両外務委員会において、全会派一致で『自由権規約の第1選択議定書(個人通報制度)も早期に批准する』と決議している。個人通報制度の批准は、36年間もさぼり続けた自民党政権が、今国会において最優先で取り組むべき宿題である。
 首都東京の責任において、安倍首相に対し個人通報制度の批准をただちに閣議決定するよう強く求める。拷問等禁止条約の個人通報制度は、閣議決定すれば、その日のうちに批准することができる。子どもの権利条約の個人通報制度は昨年4月に国連で発効している。ハーグ条約は昨年4月1日に発行している。フクシマの子どもたちやこどもの貧困問題の解決のためには、子どもの権利条約の個人通報制度の批准が不可欠である。
 法の支配を実現すべく、大至急、個人通報制度をただちに批准するよう政府に提言するよう求める。
 (2)最新の国連勧告を即時実行すること

 ① <国連自由権規約委員会(CCPR)第6回日本政府審査(2014/7/24)『総括所見』
   パラグラフ22「『公共の福祉』を理由とした基本的自由の制約」(資料1)>

 ここで取り上げられているのは、東京都の教育行政における「思想・良心・宗教の自由」(規約18条)と「表現の自由」(規約19条)に関わる問題である。
 具体的には、東京都の公立学校における教職員に対する卒業式等における国旗国歌に対する起立斉唱命令と違反者に対する制裁が、国際基準に照らすなら人権の侵害に当たるという勧告である。その解決を、規約18条・19条の各3項の厳しい条件に求めることを勧告している。
 この勧告が出たいきさつは、日本の2つの東京の教育に関わるNGOが、CCPRにカウンターレポートを提出したのに対し(資料2)、CCPRは日本政府に対する質問リストの中にこの問題を取り上げ(資料3)、その質問に日本政府が回答し(資料4)、そのやりとりを踏まえた結論が、上記『総括所見』パラグラフ22となっている。
 東京都は、締約国の首都の自治体として、国際社会で名誉ある地位を占めるためにも、憲法98条2項の規定からも、国連勧告を尊重する責務がある。勧告を真摯に受けとめ、東京都自らの手により、国連人権機関から勧告を受ける状態を解消してこそ、五輪を開催する国際都市として国際社会から尊敬と信頼をかち得るであろう。ただちに「10・23通達」を撤回し、規約の「厳しい条件」満たす人権施策を執行すべきである。
 ② <自由権規約委員会 第5回日本政府審査(2008/10/30)『総括所見』パラグラフ26(資料5)>
 明後日には統一地方選挙の後半戦が始まる。
 緊急に、警視庁及び東京都選挙管理委員会に対し、2008年の自由権規約及び第5回日本政府報告書審査自由権規約委員会総括所見(勧告)パラグラフ26(資料5)、第6回日本政府報告書審査総括所見を周知し、表現の自由と参政権を保障するよう周知し徹底することを求める。
 ※『自由権規約』 第19条
  1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
  2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
  3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
    (a) 他の者の権利又は信用の尊重
    (b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

 ※『自由権規約』 第25条
   すべての市民は、第二条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利及び機会を有する。
   (a) 直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。
   (b) 普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。
   (c) 一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。
以上

 ※別添資料

 【資料1】 国連人権委員会第6回日本審査『総括所見』からパラ22 (2014年7月)
 「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制限
 22.委員会は,「公共の福祉」の概念が曖昧で制限がなく,規約の下で許容されている制限を超える制限を許容し得ることに,改めて懸念を表明する(第2条,第18条及び第19条)。
 委員会は,前回の最終見解(CCPR/C/JPN/CO/5,para.10)を想起し,締約国に対し,第18条及び第19条の各第3項に規定された厳格な要件を満たさない限り,思想,良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを強く促す
 【資料2】 カウンターレポートを提出した2つの日本のNGOとそのレポート
 ●板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会
  Support Group for the Case of Itabashi High School Graduation Ceremony and "Freedom of Expression"(IFE)
  (和文)http://wind.ap.teacup.com/people/html/20130722itabashicounterreport.pdf
  (英文)http://wind.ap.teacup.com/people/html/20130823alternativereportfreedomofexpression.pdf
 ●国際人権活動日本委員会(レポート第7章が「東京・教育の自由裁判をすすめる会」担当)
  JAPANESE WORKERS’ COMMITTEE FOR HUMAN RIGHTS (JWCHR)
  (和文)http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/20130720Paralle%20Report%20to%20CCPR%20JAPANESE.pdf
  (英文)http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/20130720Parallel%20Report%20to%20CCPR.pdf
 【資料3】 CCPRから日本政府に当てた"List of Issues"(質問)からパラ17 (2013年11月)
 17.委員会の前回の最終勧告(CCPR/C/JPN/CO/5,パラ10)に照らし,「公共の福祉」の概念を定義し,かつ「公共の福祉」を理由に宗教,意見及び表現の自由に科される制約が本規約の下で許容されている制約を超えることがない旨明記する立法をとることを予定しているか否か明らかにしていただきたい。教員及び学校職員が,学校行事の際,国歌の起立斉唱を拒んだために,減給,停職及び解雇を含む制裁の対象となってきたという報告に関してコメント願いたい。
 【資料4】"List of Issues"に対する日本政府による(回答)からパラ188 (2014年2月)
 188.そして,最高裁の判例は,公立高等学校の校長が教職員に対し卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた旨の職務命令の適法性が問題となった事案において,当該職務命令の目的及び内容並びにこれによってもたらされる制約の態様等を総合的に較量すれば,当該職務命令については,当該教職員の思想及び良心の自由についての間接的な制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められると判示している(最高裁2011年6月6日第一小法廷判決)。なお,「公共の福祉」は,本件における思想及び良心の自由の間接的な制約の理由とはされていない。
 【資料5】 国連人権委員会第5回日本審査『総括所見』からパラ26 (2008年10月)
 26.委員会は、公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙運動期間前に配布可能な文書図画への制限などの表現の自由及び参政権に対して課された非合理的な制約につき懸念を有する。委員会は、政治活動家と公務員が、私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法の下で逮捕、起訴されたとの報告についても懸念する(第19条及び第25条)。
   締約国は、規約第19条及び第25条の下で保護されている政治活動及び他の活動を、警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである。
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