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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

菅氏の剥き出しの報道と学問への介入は、80年前の大政翼賛体制の時代に酷似している。

2020年10月05日 | 平和憲法
  =たんぽぽ舎です。【TMM:No4044】「メディア改革」連載第44回=
 ◆ 大政翼賛体制化する菅ネオファシズム政権
浅野健一(元同志社大学大学院教授、アカデミックジャーナリスト)

 ◆ 特高警察の「飴と鞭」手法でメディアとアカデミズムを抑圧

○フリー記者で「田中龍作ジャーナル」を主宰する田中龍作氏が10月3日午前、フェイスブック(FB)に、菅義偉首相と内閣記者会(官邸クラブ)の首相番記者との「オフ懇朝食会」が東京・原宿のパンケーキ店で開かれたと伝えた。予定を30分早め午前7時半からに変更され、場所も直前まで伏せられていたという。何をこそこそやっているのだ。
https://tanakaryusaku.jp/2020/10/00023762
 時事通信が配信した首相動静によると、午前7時24分から9時6分まで、東京・神宮前のレストラン「Eggs‘n Things原宿店」で「報道各社の首相番記者と懇談」した。実に1時間42分もかけている。
 田中氏は9月30日にFBで、菅首相と内閣記者会の番記者との「オフ懇朝食会」が10月3日と10日の各土曜日に開催されることを明らかにしていた。田中氏は官邸で開かれる首相会見に「フリー枠」で参加できる11人(鳩山政権下の13年3月に登録)の1人。この朝食会は、内閣記者会の常勤幹事社19社の「首相番記者登録者に限る」とされ、フリーの田中氏は招待されなかった。
○首相は9月16日に就任した際に、「挨拶」会見を30分しただけで、国会も今月下旬まで開かず、所信表明演説も行っていない。首相会見はコロナ禍を理由に4月7日以降、内閣記者会(永田クラブ)の常任幹事社19社各1人、非常勤社・専門紙・雑誌・ネット・フリー枠から抽選で10人の計29人に限定されている。
 緊急事態宣言が解除され、「GO TOキャンペーン」などで経済社会生活の活性化を促しているのに、会見規制はそのままだ。ところが、番記者を懐柔する目的のオフ懇は、番記者全員の参加を呼び掛けている。「番記者が6人いれば、2回で3人ずつ参加を」などと案内している。このオフ懇には首相秘書官も同席する。完全オフレコで、約60人が招かれている。
 東京新聞の望月衣塑子記者もツイッターで「さて、どの社が参加するのか。注目だ」と書いている。
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1311117180419809281
 内閣記者会はオフレコ条件の懇談を拒否し、国際標準の記者会見の開催を求めるべきだ。
 ◆ 共同通信論説委員の補佐官任命と学術会議への人事介入

菅首相は総裁選の演説と就任会見で、「世の中には、当たり前でないことがまだある」と指摘し、「既得権、悪しき前例」を打破して改革すると強調したが、旧態依然のキシャクラブメディアを「飴と鞭」で取り込む一方、前例のない暴挙を始めている。
 菅政権は9月29日の閣議で、柿崎明二・共同通信社前論説委員長を首相補佐官に起用する人事を決めた。柿崎氏は10月1日、首相補佐官(政策評価・検証担当)に就任した。柿崎氏の政権入りについてはFBで2回投稿した。
https://www.facebook.com/profile.php?id=100022241222173
 首相補佐官の年収は年収2539万円に上る。内閣機密費から領収書不要の経費も落とせるのだろう。
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyuyo/dai2/2siryou2.pdf
 政治部記者として政権を監視してきた記者がいきなり、安倍晋三政権の全面継承を公約した菅政権の中枢に入るという異常な事態だ。これほど、現在のキシャクラブメディアの退廃を示す事象はないと思う。
 柿崎氏は菅氏と同じ秋田県出身で、安倍時代の山口閥から、秋田閥に変わったようだ。報道機関出身者が国会議員を経ずに起用されるのは初めてだ。
 柿崎氏は共同通信の後輩に当たるが面識はない。「桜を見る会」疑獄ではまっとうなコメントもあったので、リベラルとされてきたが、テレビにあれだけ呼ばれるのは、まともな記者ではないということだ。
 柿崎氏は10月1日、菅氏から辞令を受け取った後、官邸で番記者の囲み取材に応じ、菅氏(当時、官房長官)から「先月初旬」に首相補佐官の打診を電話で受けたと明らかにした。
 国会での首班指名は9月16日であり、その前に、官房長官が政治記者に首相補佐官のリクルートをするのは違法ではないか。
 柿崎氏がいつ承諾の返事をしたか明らかにされていないが、柿崎氏は補佐官になることを隠し、テレビで次期首相選出に関して解説していた。テレビ局はスパイを使っていたことになる。
○テレビ朝日「報道ステーション」のコメンテーターを務めていた古賀茂明氏やNHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターを降板させたのは菅氏だ。菅氏の会見での望月記者に対する無礼な態度はパワハラだった。
 特高警察の幹部のような眼をした菅氏は、安倍氏以上に陰湿で狡猾な言論統制を敷くと思う。
○総裁選の最中に、「政府の政策に反対する官僚は異動してもらう」と言い放った菅首相が「学問の自由」を侵害する暴挙を強行した。学術の立場から政策を提言する政府機関である日本学術会議が推薦した新会員105人のうち6人の任命を菅首相が拒否したのだ。これまで推薦された新会員が拒否された例はない。
 菅首相に任命を拒否されたのは、小沢隆一東京慈恵会医科大学(憲法学)、岡田正則早稲田大学(行政法学)、松宮孝明立命館大学(刑事法学)、加藤陽子東京大学(歴史学)、芦名定道京都大学(キリスト教学)、宇野重規東京大学(政治学)の6人の教授。
 6人のほとんどは、戦争法や共謀罪、沖縄の辺野古新基地建設などに反対を表明している。
 日本学術会議は10月1日に総会を開き、首相に対し、拒否の理由の説明を求めると共に、6人を任命するよう要請することを決めた。首相は2日、官邸を出る際、番記者から「学術会議の件、会見で説明しないのか」と質問を受け、歩きながら「法に基づいて適正に行った」と答えた。ふざけた対応だ。
 小沢隆一氏は 17年7月13日、衆議院安保法制関連法(戦争法案)特別委員会で参考人として、「集団的自衛権の限りなき行使を可能にする」などとして反対意見を公述した。
 同じ日に、村田晃嗣同志社大学学長(当時、現在は法学部教授)は公明党の推薦で「憲法学者は反対しているが、国際政治学者の多くは賛成している」と公述した。
 村田氏は15年10月の学長選挙で完敗し、16年3月、1期で学長を退任した。
 安倍晋三首相は16年2月、村田氏を官邸に招き、2時間半にわたって会食。18年3月には村田氏をNHK経営委員会の委員に選任、19年10月、防衛省参与を委嘱した。
 松宮孝明氏共謀罪に反対した。松宮氏は15年4月に官邸の屋上にドローンが落下した事件で起訴された男性の公判(同年10月30日)で被告側の証人として「威力教務妨害罪の立法趣旨では、公務員の業務を想定していない。今回のケースでは、威力業務妨害罪は成立しない」と証言した。
 ◆ 次期総選挙は「キシャクラブ廃止」をマニフェストに

菅氏の剥き出しの報道と学問への介入は、80年前の大政翼賛体制の時代に酷似している。当時と今の違いは、菅政権を徹底批判し、次の総選挙で自公維政治を止め、立憲主義に基づく新たな政権を誕生させるための言論の自由が憲法で保障されていることだ。
○菅政権打倒の運動を推し進め、人民(有権者)が主体となって反「自公維」統一候補を擁立し、過半数を獲得するための努力をしよう。
 企業メディアは人民の共通の敵になっている。人民と政権反対党の選挙公約に、キシャクラブ廃止・広報センター設置を入れよう。
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