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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

処分撤回を求めて(185)

2011年06月08日 | 日の丸・君が代関連ニュース
東京・全国の仲間の皆さんへ。(転送・転載歓迎。重複はご容赦下さい。一部報道関係者にも送信しています。)
被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団の近藤です。長くなりますが、最後までお読み下さい。
 《再雇用採用拒否事件》
 ◆ 最高裁またもや不当判決 ー良識ある反対意見も

 申谷さん(南葛飾高校定)嘱託採用拒否事件の最高裁第2小法廷の不当判決(5月30日)に続いて、昨日6月6日、都立高校教職員13名の嘱託採用拒否事件で最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は、「上告棄却」の不当判決を言い渡しました。

「報告集会」

 5名の最高裁第1小法廷裁判官のうち、「上告棄却」の4名の裁判官の多数意見に対して、宮川光治裁判官は、「原判決を破棄して、原審(高裁)差し戻し」という明確な反対意見を述べ、都教委の暴走を戒め、「警鐘を乱打」しました(内容は後述)。また。金築誠志裁判官は補足意見を述べました。
 法廷は裁判長が主文のみ言い渡しあっという間に終わりましたが、100名を遙かに超える大勢の人が最高裁に駆け付けてくれました。定員48名と限られてりるため傍聴抽選に漏れた人にはお詫び申し上げます。これまでのご支援に心から感謝いたします。後述しますが、闘いはまだまだ続きますので、今後ともよろしくお願いします!
 ●判決文全文、原告団・弁護団声明を「被処分者の会ホームページ」に速報掲載しました。ダウンロードできます。
  ↓
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/
 (参考)
最高裁裁判官は全部で15名。 小法廷3つ(各5名)あり、最高裁判事はいずれかの小法廷に所属。小法廷裁判長は各裁判官が交代で務める。今回の事件の第1小法廷裁判官は以下の通り。
  白木 勇(裁判長)(裁判官・刑事訴訟出身)
  宮川光治(弁護士・東京弁護士会出身)
  櫻井龍子(行政官・旧労働省高級官僚出身)
  金築誠志(裁判官・民事訴訟出身)
  横田尤孝(検察官出身)


 なお、同じ第1小法廷に係属している予防訴訟(国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟、上告人375名)の裁判長裁判官は宮川光治裁判官です(期待できるかな?)。
 ◆事件の経過 一審地裁では一部勝訴、二審高裁で逆転敗訴
 この事件は、一審原告13名が、04年・05年の都立高校の卒業式等で「君が代」斉唱時に起立せず、10・23通達(2003年、都教委)とそれに基づく校長の職務命令違反で戒告等の懲戒処分受け、それを唯一の理由に退職後の*再雇用(嘱託職員)の採用を拒否され、損害賠償を求めた事件です。
 一審東京地裁は「不起立を極端に過大視した」として都・都教委の「裁量権の逸脱・濫用」を認定して東京都に損害賠償を命じる原告一部勝訴の判決を下しました(2008年2月)。
 しかし二審東京高裁は、一審判決を取り消し、原告らの控訴を棄却し(2010年1月)、原告らが上告していた事件です。
 ◆判決主文
  本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。

 ◆判決理由(抜粋) 多数意見(4名)による。
 ・「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱は広く行われているので、一般的・客観的に見て、慣例上の儀礼的所作としての性質を有する。
 ・その性質の点から見て、上告人らの歴史観・世界観を否定するものではない。
 ・本件職務命令は、特定の思想を持つことを強制したり、これに反対する思想を持つことを禁止したり、特定の思想の告白を強要していない。
 ・だから思想・良心の自由を制約していない。
 ・しかし起立斉唱行為は、一般的・客観的に見て、国旗・国歌に対する敬意の表明の要素を含む。個人の歴史観・世界観に由来する行動と異なる外部的行動を求められる限り、思想・良心の自由の間接的な制約となる面がある。
 ・しかし、当該外部的行動は、必要かつ合理的理由があれば、間接的制約も許容される。
 ・当該職務命令に上記制約を許容し得る必要性・合理性があるか否かという観点から判断するのが相当である。
 ・卒・入学式は教育上の行事にふさわしい秩序、式典の円滑な進行が必要だ。学校教育法の高校教育の目標、学習指導要領、国旗・国歌法、などがあるので、地方公務員はその地位の性質・職務の公共性から、全体の奉仕者として法令・上司の命令に従って職務を遂行すべき。
 ・以上の諸事情を踏まえると、思想・良心の自由の間接的制約はあるが、職務命令等には、上記制約を許容し得る必要性・合理性がある。
 ●上記諸点から、思想・良心の自由を侵すものとして憲法19条に違反するとは言えない。
 →「必要性・合理性」という言葉を持ち出し、憲法が規定する民主主義の根幹である思想・良心の自由の制約を合憲としています。最高裁が「憲法の番人」としての役割を放棄していることを詭弁で「弁解」している情けない判決です。
 ●その余の上告理由は、事実無根、放映違反をいうもので前提を欠き、民訴法の規定に該当しない。
 →教育の自由(憲法13条、23条、26条)、教育の不当な支配(改定前教育基本法10条)に関する上告人らの主張を門前払い。
 ◆宮川裁判官の反対意見 憲法に即した判断で上告人の主張を全面的に認め、都教委の暴走を鋭く批判する
 上記多数意見に対して宮川光治裁判官(弁護士・東京弁護士会出身)は、良識的判断
で上告人の主張を全面的に認める画期的な「反対意見」(何と判決文より長い!!)
を出しました。この内容は、私たちの闘いの未来に希望を抱かせ、闘いの武器を与え
てくれました
 ・憲法は少数者の思想・良心を多数者のそれと等しく尊重し、その思想・良心の核心に反する行為を行うことを許容していない。
 ・起立斉唱は儀式におけるマナーであろうが、そうでない人もいる。「日の丸・君が代」を軍国主義の戦前の天皇制絶対主義のシンボルであるとみなし、平和主義・国民主権と相容れないと考えている人もいる。その思いはそれらの人々の心に深くあり、人格的アイデンティティを形成し、思想・良心として昇華されており、歴史的・根源的問いを社会に投げかけている。
 ・上告人らが起立斉唱しないのは、歴史観・世界観等にとって譲れない一線を越える行動であり、思想・良心の核心を動揺させるからだ。
 ・上告人らが起立斉唱しないのは、人権の尊重、自主的思考の大切さを強調する教育実践を続けてきた教育者としての魂というべき教育上の信念を否定することになると考えたからだ。そのように真摯なものであれば、起立斉唱しない行為は、上告人らの思想・良心の自由の核心の表出であり、少なくともこれと密接に関連している、。
 ・国旗・国歌法成立時の政府答弁は教員の職務上の責務について変更を加えるものでではないことが示され、強制の契機を有しないものとして成立した。
 ・しかし本件通達(10・23通達)の意図するところは、前記のような信念を有する教職員を念頭に置き、その歴史観等に対する否定的評価を背景に、不利益処分をもってその歴史観に反する行為を強制しようとするもので、本件職務命令は、その通達に基づくものだ。
 ・従って、本件各職務命令は憲法審査の対象となり、その審査は厳格な基準で本件事案の内容に即してなされるべきであり、原判決を破棄し差し戻すべきだ。
 ・多数意見は、慣例上の儀礼的所作だから上告人らの歴史観・世界観を否定するものでない、としている。しかし、一般的・客観的という視点は、いわば多数者の視点だ。精神的自由権に関する問題を一般人(多数者)の視点からのみ考えることは相当でない。
 ・同様の歴史観・世界観・教育上の信念を有する者でも、割り切って起立斉唱する者もいる、面従腹背する者もいる、起立しても斉唱しない者もいる、であろう。
 ・しかし深刻に悩んだ結果、そのように行動することを潔しとしなかった人達の心情・行動を一般的ではないからとして、過小評価することは相当でない。
 ・上告人らの内面の矛盾、葛藤、精神的苦痛を踏まえて、厳格な基準で本件事案の内容に即して具体的に合憲性審査を行うこととなる。
 ・学習指導要領の国旗・国歌条項の規定を起立斉唱行為を職務命令で強制することの根拠とするのは無理であろう。そもそも学趣旨同要領は大綱的基準で、教師による創造的・弾力的な教育、地方ごとの特殊性を反映した個別化の余地が十分にある。
 ・国旗・国歌法成立後の都立高校の卒・入学式では、内心の自由の告知を行い、不起立不斉唱行為があっても支障なく進行していた。しかし本件通達は一変させた。本件通達の意図は証拠によれば歴然としているのに原判決はこれを認定していない。
 ・しかし都教委の職務命令発出方法の細かな指示、内心の自由を説明させない、式への都教委職員の派遣・式の監視、戒告処分等、式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図ではなく、上記歴史観・世界観・教育上の信念を有する教職員に対する否定的評価を背景に、不利益処分で歴史観等に反する行為を強制するものだ。
 ・本件職務命令の合憲性の判断に当たっては、本件通達・職務命令をめぐる諸事情を的確に把握することが不可欠だ。
 ・本件職務命令の合憲性の判断に当たっては、厳格な基準により、事案の内容に即して、具体的に、目的・手段・目的と手段との関係を審査することになる。
 ・以上、原判決を破棄して、原審に差し戻すことが相当だ。

 ◆闘いを大きく広げ、厳しい状況を切り開こう! 最高裁は「司法の良心」を示せ!
 最高裁第2小法廷に続いて、第1小法廷でも敗訴が確定しましたが、私たちは如何なる困難が立ちはだかろうとも厳しい状況を切り開くため全力で闘い抜きます。
 3・10東京高裁判決(2011年)は、都教委の「裁量権の逸脱・濫用」を認定して167名全員の処分を取り消す一審原告「逆転勝訴」の判決を下して、最高裁・上告審で争われることになります。
 この国と教育に憲法を取り戻すため、絶対に負けるわけにはいきません。そのためには大きく国民の中に理解を広げることが不可欠です。
 現在最高裁で係争中の「君が代」強制裁判を全て大法廷に回付させ、口頭弁論を開かせ、「最高裁は司法の良心を示せ」の運動を展開します。
 ◆連帯して闘います!!

 ★04年処分取消訴訟・都教組八王・最高裁判決
 6月14日(火)
 15時 最高裁南門集合 16時 最高裁判決
 *最高裁への行き方は地下鉄永田町が便利です。


 下記HPで行動予定、裁判資料、判決文、声明文など入手可能。嘱託採用拒否事件最高裁判決を速報で掲載しました。ダウンロードできます。
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「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟原告団
事務局長 近藤 徹
携帯:090-5327-8318
e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp
被処分者の会HP↓(6月6日新規更新。下の青のアドレスをクリック・アクセス可)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/
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