▼ 「憲法重視の採択求める請願」2市の教委が憲法・市民の声を無視
改定教育基本法と新学習指導要領下で、初の文科省の検定を経た小学校6年生の社会科教科書が、全国の区市町村教育委員会で8月中に採択される。これを前に、東京多摩地区の保護者・現元教職員・市民ら「子どもたちが主権者の社会科教育を求める会」が2市の教委に出した請願・陳情が、保守系教育委員らによりいずれも不採択にされた。
「国を愛する態度」を盛った改定教育基本法の先取りをしてきた文科省は、既に1968年の学習指導要領から、「天皇への敬愛の念を深めるようにすること」と明記し続けているが、08年6月の『新指導要領解説』が国事行為だけでなく「全国植樹祭等への出席、被災地への訪問・励ましなど」も使うよう加筆したのを受け、今年採択の教科書はこの『新解説』通りの天皇の写真とキャプションを載せ、「敬愛の念」を教え込むものが多い。また、文科省が異常な力を入れる"君が代"は、「日本が平和で豊かであることを願う歌」「国歌に誇りを」などと、全教科書会社が特定の価値観を明記。更に自衛隊では、"日の丸"の鉄兜・迷彩服で"給水活動"をしている写真の下に「2003年、イラクの復興支援目的の自衛隊派遣。日本国憲法の考え方は、日本だけでなく、世界の平和に役だてられる」と記述した教科書も登場。
このため市民らは、(1)憲法第9条と共に、第14条(法の下の平等)、第19条・21条(思想・良心・表現の自由)を最重視した採択、(2)万一、この各条を重視した採択が行えなかった場合、教科書以外の多様な資料を活用し、多様な考え方を教えることが大切だと校長会で周知、の2項目の請願・陳情を提出。
7月27日の国立市教委定例会では、市民派の中村雅子委員が「憲法を重視した採択は重要なので、趣旨採択に」と、2度にわたり発言したが、保守系の佐藤路子委員長が「教科書の取扱いは教育委員会の職務権限だという、地方教育行政法第23条六号の趣旨を損ないかねない」と主張。米田雅子・嵐山光三郎の両委員も同調し、不採択となった。
7月26日の日野市教委定例会でも、保守系の田口直委員長が「採択要綱通り、①内容、②構成・分量、③表記・表現、④使用上の便宜、の4点で総合的に判断する。請願は本市の採択になじまない。不採択に」と、事前に用意した原稿を棒読み。教育長を含む4名の委員が審議なきまま「異議なし」と叫び、終了した。
日野市教委を傍聴した一ノ瀬隆・元同市議は「委員長が一方的に原稿を読んで終わり、というのは議会ではあり得ない。議事運営上の瑕疵がある。教育委員は首長の任命制から公選制に戻すべきだ」と怒り、益永スミコさん(86歳)は「9条を守り、戦争の実態と生きる権利とを教えることが重要なのに」と語った。
永野厚男(教育ライター)
改定教育基本法と新学習指導要領下で、初の文科省の検定を経た小学校6年生の社会科教科書が、全国の区市町村教育委員会で8月中に採択される。これを前に、東京多摩地区の保護者・現元教職員・市民ら「子どもたちが主権者の社会科教育を求める会」が2市の教委に出した請願・陳情が、保守系教育委員らによりいずれも不採択にされた。
「国を愛する態度」を盛った改定教育基本法の先取りをしてきた文科省は、既に1968年の学習指導要領から、「天皇への敬愛の念を深めるようにすること」と明記し続けているが、08年6月の『新指導要領解説』が国事行為だけでなく「全国植樹祭等への出席、被災地への訪問・励ましなど」も使うよう加筆したのを受け、今年採択の教科書はこの『新解説』通りの天皇の写真とキャプションを載せ、「敬愛の念」を教え込むものが多い。また、文科省が異常な力を入れる"君が代"は、「日本が平和で豊かであることを願う歌」「国歌に誇りを」などと、全教科書会社が特定の価値観を明記。更に自衛隊では、"日の丸"の鉄兜・迷彩服で"給水活動"をしている写真の下に「2003年、イラクの復興支援目的の自衛隊派遣。日本国憲法の考え方は、日本だけでなく、世界の平和に役だてられる」と記述した教科書も登場。
このため市民らは、(1)憲法第9条と共に、第14条(法の下の平等)、第19条・21条(思想・良心・表現の自由)を最重視した採択、(2)万一、この各条を重視した採択が行えなかった場合、教科書以外の多様な資料を活用し、多様な考え方を教えることが大切だと校長会で周知、の2項目の請願・陳情を提出。
7月27日の国立市教委定例会では、市民派の中村雅子委員が「憲法を重視した採択は重要なので、趣旨採択に」と、2度にわたり発言したが、保守系の佐藤路子委員長が「教科書の取扱いは教育委員会の職務権限だという、地方教育行政法第23条六号の趣旨を損ないかねない」と主張。米田雅子・嵐山光三郎の両委員も同調し、不採択となった。
7月26日の日野市教委定例会でも、保守系の田口直委員長が「採択要綱通り、①内容、②構成・分量、③表記・表現、④使用上の便宜、の4点で総合的に判断する。請願は本市の採択になじまない。不採択に」と、事前に用意した原稿を棒読み。教育長を含む4名の委員が審議なきまま「異議なし」と叫び、終了した。
日野市教委を傍聴した一ノ瀬隆・元同市議は「委員長が一方的に原稿を読んで終わり、というのは議会ではあり得ない。議事運営上の瑕疵がある。教育委員は首長の任命制から公選制に戻すべきだ」と怒り、益永スミコさん(86歳)は「9条を守り、戦争の実態と生きる権利とを教えることが重要なのに」と語った。
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