◆ 千葉市による小学校への基地局
設置政策に市民が反対へ (電磁波研会報)
千葉市のAさんから「千葉市が楽天モバイルと提携し千葉市内の小学校5校に楽天の4G基地局を設置し、代償として通信速度毎秒10Gbps(ギガビット/秒)の光通信回線を利用した高速ネットワークを無償で提供するというバーター契約を結んだ」と連絡があり、反対したいので協力してくださいと要請されました。
すでに千葉市市議会議員や一般住民からも当会に情報提供はありましたが、当該の学校に通う子供の親から具体的な相談があったのは初めてです。
◆ 3月27日に千葉市は記者発表
千葉市は2020年3月27日に、記者発表で「楽天と『GIGAスクール構想』支援に関する基本協定を提携します」と広報しています(協定締結は同30日)。
それによると、文科省が推進しているGIGAスクール構想(一人一台の端末と高速大容量のネットワークを学校に配備し教育のICT化を推進する構想)に対応し、校内のネットワーク環境の構築を支援するために楽天モバイルの基地局設置に便宜を図る、というのです。
協定期間は5年間、2025年3月までで千葉市内の都賀小、幕張西小、柏井小、都小、土気南小の5校で7月中旬から順次設置工事に入り、9月以降利用可能にする計画です。
◆ コロナ騒ぎの最中で、保護者・地域には事後報告
「将来的には5Gを生かした先進的な教育環境を実現」を目指し、これが成功した暁には全国の国公私立の小・中・高にも広げたいと楽天モバイル社は狙っています。この千葉市と楽天の協定はコロナ騒ぎの最中で、保護者や地域の人たちには事後報告でした。
「学校への質問はしないよう」にとの指導もあったといいます。まさにどさくさを利用したといわれてもしょうがない進め方です。
◆ 問題点はどこにあるか
この協定の問題点は、第一に、基地局からの電磁波による子供たちへの健康影響への配慮がないことです。
「総務省の基準値以下だから安全」というのが市と楽天の言い分でしょうが、世界的に見ても総務省の基準値すなわちICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドライン値以下で健康影響が起こっている研究報告は少なくありません。子供たちは大人以上にセンシティブで、より電磁波の健康影響を受けやすいのです。子供の体の諸器官が未発達で頭蓋骨も大人より薄いことが指摘されています。米国のシアトル市長は「学校の近くに基地局を設置すべきでない」と主張しています。
それなのに近いどころか敷地内設置なのですからあまりに非常識です。
第二に、楽天という一私企業の基地局を公立学校の敷地に提供していいのかという問題です。
「バーターがあるから」は理由になりません。一度これを認めたら、他の携帯会社が同様の提案をしてきても、拒否できなくなります。全国の公立学校が、基地局建設の草刈り場になってしまいます。
第三に、学校周辺の住民への事前の十分な説明がないことです。
基地局からは電磁波が出ます。学校の子供たちや教職員への影響だけでなく、周辺の住民とくに赤ちゃんや幼児や病弱な人やお年寄り等への健康影響が心配です。
「学校は市の所有物」というのは傲慢な考えです。
◆ 横浜市や東京都立学校で基地局設置が中止になったことに学ぶべき
約20年ほど前に、横浜市が市内の小中学校全校にPHS基地局を設置する計画があり、60校以上建設した時点で当研究会と神奈川市民ネットワーク議員と横浜市学校事務組合等の反対で撤回させたことがあります。
約10年前の2009年には、都立豊多摩高校屋上にドコモも基地局建設計画があり、教職員有志、住民、区議会議員等が反対し白紙撤回させました(『電磁波の何が問題か増補改訂版』(緑風出版)に掲載)。
Aさんたちはこれから反対の取り組みを行います。当研究会も協力します。【大久保貞利】
千葉市(以下「甲」という。)と楽天モバイル株式会社(以下「乙」という。)は、Society5.0時代に生きる子どもたちの未来を見据え、千葉市立の学校における通信ネットワーク環境を整備するとともに、将来的な5Gを活かした先進的な教育環境の実現に向け、次のとおり「GIGAスクール構想支援プラン」に関する基本協定を締結する。
第1条 乙は、千葉市内の学校の敷地内に基地局を設置するため、希望する学校の施設の使用について、千葉市公有財産規則に基づく目的外使用許可申請を行い、許可を受けたものについて、基地局を設置する。
第2条 乙は、基地局を設置している期間において、基地局用の光回線(10Gbps)を基地局が設置完了した学校の校内ネットワーク環境構築用に一部提供し、甲に無償で使用させる。
第3条 基地局の設置に係る目的外使用許可期間経過後、許可の更新があった場合は、乙は前条の光回線の無償提供を継続するものとする。
第4条 乙は、基地局1基の設置完了につき、別途定める金額を千葉市教育みらい夢基金に寄付する。
第5条 乙は、5Gを活用した学習ソフトや遠隔授業の実施に向けた検討及び甲への情報提供を行うことにより、先進的な教育環境の実現に向けた甲の施策に協力するものとする。(以下略)
『電磁波研会報 125号』(2020年7月26日)
設置政策に市民が反対へ (電磁波研会報)
千葉市のAさんから「千葉市が楽天モバイルと提携し千葉市内の小学校5校に楽天の4G基地局を設置し、代償として通信速度毎秒10Gbps(ギガビット/秒)の光通信回線を利用した高速ネットワークを無償で提供するというバーター契約を結んだ」と連絡があり、反対したいので協力してくださいと要請されました。
すでに千葉市市議会議員や一般住民からも当会に情報提供はありましたが、当該の学校に通う子供の親から具体的な相談があったのは初めてです。
◆ 3月27日に千葉市は記者発表
千葉市は2020年3月27日に、記者発表で「楽天と『GIGAスクール構想』支援に関する基本協定を提携します」と広報しています(協定締結は同30日)。
それによると、文科省が推進しているGIGAスクール構想(一人一台の端末と高速大容量のネットワークを学校に配備し教育のICT化を推進する構想)に対応し、校内のネットワーク環境の構築を支援するために楽天モバイルの基地局設置に便宜を図る、というのです。
協定期間は5年間、2025年3月までで千葉市内の都賀小、幕張西小、柏井小、都小、土気南小の5校で7月中旬から順次設置工事に入り、9月以降利用可能にする計画です。
◆ コロナ騒ぎの最中で、保護者・地域には事後報告
「将来的には5Gを生かした先進的な教育環境を実現」を目指し、これが成功した暁には全国の国公私立の小・中・高にも広げたいと楽天モバイル社は狙っています。この千葉市と楽天の協定はコロナ騒ぎの最中で、保護者や地域の人たちには事後報告でした。
「学校への質問はしないよう」にとの指導もあったといいます。まさにどさくさを利用したといわれてもしょうがない進め方です。
◆ 問題点はどこにあるか
この協定の問題点は、第一に、基地局からの電磁波による子供たちへの健康影響への配慮がないことです。
「総務省の基準値以下だから安全」というのが市と楽天の言い分でしょうが、世界的に見ても総務省の基準値すなわちICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドライン値以下で健康影響が起こっている研究報告は少なくありません。子供たちは大人以上にセンシティブで、より電磁波の健康影響を受けやすいのです。子供の体の諸器官が未発達で頭蓋骨も大人より薄いことが指摘されています。米国のシアトル市長は「学校の近くに基地局を設置すべきでない」と主張しています。
それなのに近いどころか敷地内設置なのですからあまりに非常識です。
第二に、楽天という一私企業の基地局を公立学校の敷地に提供していいのかという問題です。
「バーターがあるから」は理由になりません。一度これを認めたら、他の携帯会社が同様の提案をしてきても、拒否できなくなります。全国の公立学校が、基地局建設の草刈り場になってしまいます。
第三に、学校周辺の住民への事前の十分な説明がないことです。
基地局からは電磁波が出ます。学校の子供たちや教職員への影響だけでなく、周辺の住民とくに赤ちゃんや幼児や病弱な人やお年寄り等への健康影響が心配です。
「学校は市の所有物」というのは傲慢な考えです。
◆ 横浜市や東京都立学校で基地局設置が中止になったことに学ぶべき
約20年ほど前に、横浜市が市内の小中学校全校にPHS基地局を設置する計画があり、60校以上建設した時点で当研究会と神奈川市民ネットワーク議員と横浜市学校事務組合等の反対で撤回させたことがあります。
約10年前の2009年には、都立豊多摩高校屋上にドコモも基地局建設計画があり、教職員有志、住民、区議会議員等が反対し白紙撤回させました(『電磁波の何が問題か増補改訂版』(緑風出版)に掲載)。
Aさんたちはこれから反対の取り組みを行います。当研究会も協力します。【大久保貞利】
◎ 「GlGAスクール構想支援プラン」基本協定書
千葉市(以下「甲」という。)と楽天モバイル株式会社(以下「乙」という。)は、Society5.0時代に生きる子どもたちの未来を見据え、千葉市立の学校における通信ネットワーク環境を整備するとともに、将来的な5Gを活かした先進的な教育環境の実現に向け、次のとおり「GIGAスクール構想支援プラン」に関する基本協定を締結する。
第1条 乙は、千葉市内の学校の敷地内に基地局を設置するため、希望する学校の施設の使用について、千葉市公有財産規則に基づく目的外使用許可申請を行い、許可を受けたものについて、基地局を設置する。
第2条 乙は、基地局を設置している期間において、基地局用の光回線(10Gbps)を基地局が設置完了した学校の校内ネットワーク環境構築用に一部提供し、甲に無償で使用させる。
第3条 基地局の設置に係る目的外使用許可期間経過後、許可の更新があった場合は、乙は前条の光回線の無償提供を継続するものとする。
第4条 乙は、基地局1基の設置完了につき、別途定める金額を千葉市教育みらい夢基金に寄付する。
第5条 乙は、5Gを活用した学習ソフトや遠隔授業の実施に向けた検討及び甲への情報提供を行うことにより、先進的な教育環境の実現に向けた甲の施策に協力するものとする。(以下略)
『電磁波研会報 125号』(2020年7月26日)
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