◆ 都教委、生徒の命・安全より“君が代”優先の卒業式を強制 (マスコミ市民)
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7月1日、都教委指導部を訪れた永井さん(右)と増田さん
コロナ禍なので今年3月は“君が代”なしの卒業式も可だ、と明確に読み取れる事務連絡を一旦、発出した東京都教育委員会(詳細は月刊『紙の爆弾』6月号で筆者が第一報)に対し、都立A高校のB校長が「飛沫感染を防ぐため、(校内放送を使い)各教室で“君が代”なしで行おうと考えている」と電話した。
しかし、都教委の役人らは「それ(教室での実施)は、コロナ感染の状況が悪化した場合のことだ」と主張・“説得”し、体育館で“君が代”を斉唱する式を実施させていた。
こうした事実が、都教委に情報開示請求した増田都子(みやこ)元千代田区立中学校教諭(扶桑社社会科“教科書”批判の歴史・平和教育実践で06年3月末、分限免職)への、7月15日までの取材で明らかになった。
◆ コロナ禍での良心的な校長の判断を変えさせた事実、開示請求で明らかに
都教委指導企画課の小寺(こでら)康裕課長、桐井裕美(きりいひろみ)主任指導主事らは、コロナ禍の2月28日10時32分、都立学校校長宛「卒業式における国旗・国歌に関する調査の実施について」と題する1通目の事務連絡を発出(区市町村教委宛は10時37分)した。
この1通目では、「体育館で一斉」でなく「各教室で放送等を活用して分散実施」の場合、都教委が都立学校や区市町村教委に報告を“義務”付けている調査用紙に、「斉唱せずメロディも流さず」と回答しても、「本年度に限り(略)不適切な状況(注、処分対象とする意)として取り扱わない」と明記した。
ところが、小寺・桐井両氏らは約3時間後の13時38分、「現時点で、都立学校における卒業式の国旗国歌の取扱いについては、『国旗掲揚の下に、体育館で実施する。』『国歌斉唱を行う。』という方針に変更はありません。説明不足であったことをお詫び申し上げます。御理解を賜(たまわ)りますようお願い申し上げます」などと傍線まで付して明記した、2通目の事務連絡を出した。
増田さんへの開示文書(都立高卒業式の“君が代”斉唱100%)によると、同日14時頃、B校長が都教委指導企画課に冒頭の電話をし、金澤剛志統括指導主事とやり取りをした際、「事務連絡には、(各教室での実施は、)コロナ感染の状況が悪化した場合のことだとは書いてない」と、“反論”した。
しかし、金澤氏が前記・傍線を含む2通目を読み上げると、B校長は“理解・納得”し、体育館での“君が代”を斉唱する式に踏み切った(増田さんとは別の研究者らの、B校長宛電話・メールでの問い合わせへの回答)。
◆ 「君が代問題は都教委が決めるので、各自で判断できない」と校長
その研究者らの電話に、B校長は「自分なりの『飛沫感染防止には、体育館ではなく、各教室での実施がよい』という考えがあったが、学校は組織で動くので、金澤氏の説明を聞き、『なるほど。1通目は元々オールOKということではない』と理解した。この(国旗・国歌の)問題は都教委が決めるので、校長は各自で判断できない」と述べた。
ところで、永井栄俊(えいしゅん)都立高元教諭と増田さんは7月1日、都庁第2庁舎を訪れ、15階の都教委指導部で桐井氏・三田典子(みたのりこ)統括指導主事(金澤氏の後任)と面会。以下を中心とする、藤田裕司(ゆうじ)・都教育長宛の質問書を手渡した。
だが、本校入稿時の7月15日時点で、都教委からは、質問書にも追加質問にも回答はない。
『マスコミ市民』(2020年8月)
永野厚男(教育ジャーナリスト)
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7月1日、都教委指導部を訪れた永井さん(右)と増田さん
コロナ禍なので今年3月は“君が代”なしの卒業式も可だ、と明確に読み取れる事務連絡を一旦、発出した東京都教育委員会(詳細は月刊『紙の爆弾』6月号で筆者が第一報)に対し、都立A高校のB校長が「飛沫感染を防ぐため、(校内放送を使い)各教室で“君が代”なしで行おうと考えている」と電話した。
しかし、都教委の役人らは「それ(教室での実施)は、コロナ感染の状況が悪化した場合のことだ」と主張・“説得”し、体育館で“君が代”を斉唱する式を実施させていた。
こうした事実が、都教委に情報開示請求した増田都子(みやこ)元千代田区立中学校教諭(扶桑社社会科“教科書”批判の歴史・平和教育実践で06年3月末、分限免職)への、7月15日までの取材で明らかになった。
◆ コロナ禍での良心的な校長の判断を変えさせた事実、開示請求で明らかに
都教委指導企画課の小寺(こでら)康裕課長、桐井裕美(きりいひろみ)主任指導主事らは、コロナ禍の2月28日10時32分、都立学校校長宛「卒業式における国旗・国歌に関する調査の実施について」と題する1通目の事務連絡を発出(区市町村教委宛は10時37分)した。
この1通目では、「体育館で一斉」でなく「各教室で放送等を活用して分散実施」の場合、都教委が都立学校や区市町村教委に報告を“義務”付けている調査用紙に、「斉唱せずメロディも流さず」と回答しても、「本年度に限り(略)不適切な状況(注、処分対象とする意)として取り扱わない」と明記した。
ところが、小寺・桐井両氏らは約3時間後の13時38分、「現時点で、都立学校における卒業式の国旗国歌の取扱いについては、『国旗掲揚の下に、体育館で実施する。』『国歌斉唱を行う。』という方針に変更はありません。説明不足であったことをお詫び申し上げます。御理解を賜(たまわ)りますようお願い申し上げます」などと傍線まで付して明記した、2通目の事務連絡を出した。
増田さんへの開示文書(都立高卒業式の“君が代”斉唱100%)によると、同日14時頃、B校長が都教委指導企画課に冒頭の電話をし、金澤剛志統括指導主事とやり取りをした際、「事務連絡には、(各教室での実施は、)コロナ感染の状況が悪化した場合のことだとは書いてない」と、“反論”した。
しかし、金澤氏が前記・傍線を含む2通目を読み上げると、B校長は“理解・納得”し、体育館での“君が代”を斉唱する式に踏み切った(増田さんとは別の研究者らの、B校長宛電話・メールでの問い合わせへの回答)。
◆ 「君が代問題は都教委が決めるので、各自で判断できない」と校長
その研究者らの電話に、B校長は「自分なりの『飛沫感染防止には、体育館ではなく、各教室での実施がよい』という考えがあったが、学校は組織で動くので、金澤氏の説明を聞き、『なるほど。1通目は元々オールOKということではない』と理解した。この(国旗・国歌の)問題は都教委が決めるので、校長は各自で判断できない」と述べた。
ところで、永井栄俊(えいしゅん)都立高元教諭と増田さんは7月1日、都庁第2庁舎を訪れ、15階の都教委指導部で桐井氏・三田典子(みたのりこ)統括指導主事(金澤氏の後任)と面会。以下を中心とする、藤田裕司(ゆうじ)・都教育長宛の質問書を手渡した。
①体育館で声を上げ“君が代”を斉唱すること自体、生徒や教職員が飛沫感染の危機に晒(さら)されるが、どのような感染予防措置を執(と)ったか?この質問提出時、同行した研究者が、前記『紙の爆弾』の記事にも触れながら、「B校長の金澤氏への電話での当初の発言にある通り、事務連絡は、金澤氏がB校長に主張したような『各教室での実施は、コロナ感染の状況が悪化した場合のことだ』といった、限定する書き方はしていない」と、追及し追加質問した。
②事務連絡はコロナ禍であっても、学習指導要領に基づく「厳格な“君が代”斉唱実施」を求めているが、藤田教育長が4月1日に出した通知は、都立高校等の入学式で「国歌斉唱を含め歌の斉唱は行わない」と明記している。指導要領の“厳格性”は曖昧なので、説明を。
③事務連絡での厳格な実施指示は、健康や生命の危険があっても“君が代”の方が大切だと、児童・生徒に教えることにならないか?
だが、本校入稿時の7月15日時点で、都教委からは、質問書にも追加質問にも回答はない。
『マスコミ市民』(2020年8月)
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