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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

業績評価裁判 判決要旨

2012年02月19日 | 暴走する都教委
☆ 業績評価裁判 判決要旨 ☆
平成22年(行コ)第199号措置要求棄却判定取消等請求事件
東京高等裁判所2011年10月26日判決

 昨年10月26日、世田谷区の小学校教員である大嶽昇一さんが不当な業績評価と昇給延伸を争っていた裁判の控訴審判決がありました。
 東京高等裁判所第12民事部(梅津和宏裁判長)は、昨年5月の1審東京地裁判決に続いて、大嶽さんに対するC評価を公正評価義務に違反した違法なものと断定し、不当な評価と昇給延伸を追認した人事委員会の判定の取消を命じました。東京都人事委員会は上告を断念し、判決は確定しました。
 2011年度の業績評価の実施にあたって、東京高裁判決の判示事項を職場で活用されることを訴えます。
 1,評価者には「公正評価義務」があり、これに違反した評価は違法行為になる。
 「人事考課規則並びに業績評価実施要領は、評価の公正性及び正確性を担保する観点から定められたものと認められるものであり、評価者は、これらの定めるところに則って、公正かつ正確に業績評価を行う義務があると解される。」
 「副校長及び校長が職務として行った本件各評価は、根拠となる事実を欠き、公正評価義務に違反したものと評価すべきであるから、業績評価に係る裁量権を濫用又は逸脱した違法があるというべきである。」

 【説明】 「業績評価実施要領」には、〈勤務時間外のことは減点評価の対象としない〉ことや、〈どういう職務をどの評価項目で評価するか〉など、「評価ルール」が決められています。それらの「評価ルール」に違反した評価は、違法であると裁判所が判断したわけです。損害賠償責任は、都教委・区教委が負うことになりますが、場合によっては、校長が都教委から求償されることにもなります。開示請求を行い、開示面接で各評価項目の要素別評価まで聞き出していけば、必ずポロが出てきます。
 2,「不利益を伴う評価」は相当な根拠が必要で、その立証責任は評価者側にある。
 「絶対評価において総合評価としてC以下の評価をするについては、その根拠として相当な事実が存在することが必要であり、不利益との関係において評価の相当性が争われる場合においては、評価権者側において、その存在について主張立証責任を負う。」
 【説明】 「主張立証責任を評価者側が負う」とは、〈裁判で評価者が下位評価の根拠とした事実を立証できない場合や、評価者と被評価者の主張や証拠が食い違ったままの場合は、その事実はなかったという扱いを受ける〉ということです。
 3,その場で指導も注意もされなかった些細なことは、下位評価の根拠にならない。
 「評価において消極的な評価の根拠とされる事項は、指導を要する事項でもあり、これに対して何らかの指導が当然予想されるのであり、したがって、評価権者が認識しながら指導の対象としていない事項は、格別の指導の対象とするまでの必要がない事項であったと推認することができる。」
 【説明】 管理職がその場で指導や注意をしてくれれば解決することを〈評価の材料〉として取りおくようなことは、許されないということです。業績評価が「資質向上」「人材育成」のためというなら、当たり前のことです。指導も注意もなかった事柄が、評価の根拠として後から持ち出されたきたら、問題にしましょう。
 4,本人からの事実確認なしに、副校長や主幹からの報告だけで、評価の根拠にすることはできない。
 「A教諭から当該事実を聞いたとする副校長の供述や陳述については、伝聞にとどまるものであり、伝聞内容をそのまま当該事実の認定に用いることはできない。」
 【説明】 「業績評価実施要領」では、校長の評価にあたって、副校長に参考資料を提出させたり、主幹や主任の意見を活用することになっていますが、*事実確認をしないで「想像や推定による内容を評価の材料とする」ことは、厳に戒められています。
 5,「職務実績記録」に記録されていないことは、下位評価の根拠にならない。
 「職務実績記録に記載していない事実については、副校長において、業績評価の根拠とするには足りない軽微な事実として認識していたため被控訴人に対する業績評価において格別の考慮をしていなかったことが推認できる。」
 【説明】 「職務実績記録」とは、教職員の行なった事実、それに対して校長が行った指導・指示、その経過・結果を年月日・時刻入りで記入し、副校長・校長が確認して押印する文書のことです。「指導を要する職員」については、必ず作成するものとされています。「職務実績記録」に記載されていても、前記3のとおり、その場で指導がなかった事柄は、下位評価の根拠にはなりません。
 ◆このチラシをマス刷りして職員の皆さんに配ってください。
 ◆判決文全文、判決の詳しい解説は、「岬の会」(業績評価裁判を支援する会)のプログに掲載されています。


 『岬の会(業績評価裁判を支援する会)』
 [連絡先]〒154-0017世田谷区世田谷1-41-12 世田谷区教職員組合
   TEL 03-3427-8811 FAX 03-3427-6521
   Eメール misakinokai@yahoo.co.jp
   ブログ http://misaki2010kai.blog58.fc2.com/
 2012年1月発行

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