◆ 都教委が「不適切」議決:社会 (TOKYO Web)
国旗・国歌「見解合わぬ」教科書
国旗掲揚と国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記した実教出版(東京)の高校日本史教科書について、東京都教育委員会は二十七日に開いた定例会で「使用は適切でない」とする見解を議決した。
都教委はこれまで、都立各校に非公式に「記述は都教委の考え方と相いれない」などと伝えていたが、公の場で教科書の使用適否に踏み込むのは前例がなく、反発が広がりそうだ。 (中山高志)
27日、都庁で(東京新聞)
見解は、今年の教科書採択の対象となる同社教科書「高校日本史A」と「高校日本史B」に国旗国歌をめぐり「自治体で強制の動き」という記述があると指摘。「『国旗掲揚と国歌斉唱の指導を適正に実施することが教員の責務である』とする都教委の考え方と異なる」と問題視した。
その上で「実教出版の教科書を都立高校などで使用することは適切でないと考える」と結論づけている。
定例会では、木村孟(つとむ)委員長が「私から教育長に対し、教育委員の意見を踏まえて見解をまとめ、校長に周知するよう指示した」と明らかにした。委員からは意見は出なかった。
教科書は、使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告を基に教委が採択する。教委は通常、義務教育ではない高校については学校の選択を尊重して追認している。
昨年は見解の中で示された二つの教科書のうち、近現代史が中心の「日本史A」が採択の対象となった。都教委は都立二百三十三校のうち、一年生で日本史を教える十七校に「都教委の考え方とは相いれない」などとする電話を入れていた。
結果として十七校は実教版以外を選択。本紙の取材では、当初は実教版を選ぼうとして、都教委の電話で断念した高校もあった。
実教版の全国シェアは14%で、都立高の採択結果は不自然との指摘が出ていた。今年は通史を学ぶ「日本史B」も採択の対象で、影響はさらに大きくなる。
『東京新聞』(2013年6月27日 夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013062702000263.html
◆ 「二重検定おかしい」都立高教師ら反発 実教出版日本史:(TOKYO Web)
東京都教育委員会が、実教出版の高校日本史教科書について「都教委の考え方と異なる」と指摘し、都立校で使用すべきではないとの見解を示した問題。国の検定を通った特定教科書を名指しで排除する異例の手法に、教育現場などから怒りや反発の声が上がった。(中山高志)
都教委が二十七日の定例会で議決した見解は、今年の教科書採択の対象となる実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」について「国旗国歌をめぐる『自治体で強制の動きがある』という記述が、都教委の考え方と異なる」と問題視。「都立高校などで使用することは適切でない」と結論づけた。
「現場の教師が生徒の実情に合わせ教科書を選ぶ慣行が、都教委により踏みにじられた。納得できない」。都立高校で日本史を教える男性教諭(57)は同日午後、都教委の方針に声を震わせた。
勤務校は二年生で日本史Aを教えており、ことしの採択では実教版も選択肢に含まれる。校内ではすでに、都教委の意向を先取りするように、実教版に難色を示す声が出ているといい「さらにこんな見解が出れば、実教版を選ぶのは至難の業」と嘆息する。
「『この教科書は使うな』というやり方が横行すれば、やがては『この教科書しか使うな』という国定教科書のような制度にもなりかねない」。男性教諭は強く危惧する。
同様に都立高校で日本史を教える鈴木敏夫さん(64)も「国が検定を通し事実と認めた記述を都教委が否定し、その教科書を使わせないのは『二重検定』に当たる」と批判する。
実教出版の編集責任者は「事実であれば大変残念」と言うにとどめたが、出版労連教科書対策部の吉田典裕部長(54)は「憲法が保障する出版の自由の侵害」と強く反発する。
一方、都教委高校教育指導課の江本敏男課長は「各校で教科書選定作業を適切にやってもらうことが狙い。採択権を持つ都教委が、採択の具体的な考え方を示すことはあり得る」と説明している。
教科書は、使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告を基に教委が採択する。教委は通常、高校については学校の選択を尊重して追認している。
都教委が「不適切」とした二つの教科書のうち「日本史A」は昨年も採択対象だった。都教委は都立二百三十三校のうち、採択に当たる十七校に「実教版は都教委の考え方とは相いれない」などと非公式に連絡し、結果として全校が実教版以外を選択した。もう一冊の「日本史B」も対象に含まれる今年は、都教委が昨年より露骨に踏み込んで公の見解を出した形で、採択にかかわる都立校は延べ百九十四校に上る。
◆ 教委の職権乱用 高嶋伸欣琉球大名誉教授(社会科教育)の話
教科書検定を通った記述が、自らを批判する内容になっているからといって、選定をやめるよう通知するのは教育委員会の権限を越えている。見解の相違があるなら、選定した高校に対し誤解のない指導をするよう伝えればよく、職権乱用だ。昨年は高校に電話で懸念を伝えたが、メンツのために正式な通知にしたのではないか。高校の教科書は無償ではなく、家庭が負担するので、不適切な採択方法に異議を申し立てる保護者もいるかもしれない。
『東京新聞』(2013年6月28日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013062802000112.html
国旗・国歌「見解合わぬ」教科書
国旗掲揚と国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記した実教出版(東京)の高校日本史教科書について、東京都教育委員会は二十七日に開いた定例会で「使用は適切でない」とする見解を議決した。
都教委はこれまで、都立各校に非公式に「記述は都教委の考え方と相いれない」などと伝えていたが、公の場で教科書の使用適否に踏み込むのは前例がなく、反発が広がりそうだ。 (中山高志)
27日、都庁で(東京新聞)
見解は、今年の教科書採択の対象となる同社教科書「高校日本史A」と「高校日本史B」に国旗国歌をめぐり「自治体で強制の動き」という記述があると指摘。「『国旗掲揚と国歌斉唱の指導を適正に実施することが教員の責務である』とする都教委の考え方と異なる」と問題視した。
その上で「実教出版の教科書を都立高校などで使用することは適切でないと考える」と結論づけている。
定例会では、木村孟(つとむ)委員長が「私から教育長に対し、教育委員の意見を踏まえて見解をまとめ、校長に周知するよう指示した」と明らかにした。委員からは意見は出なかった。
教科書は、使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告を基に教委が採択する。教委は通常、義務教育ではない高校については学校の選択を尊重して追認している。
昨年は見解の中で示された二つの教科書のうち、近現代史が中心の「日本史A」が採択の対象となった。都教委は都立二百三十三校のうち、一年生で日本史を教える十七校に「都教委の考え方とは相いれない」などとする電話を入れていた。
結果として十七校は実教版以外を選択。本紙の取材では、当初は実教版を選ぼうとして、都教委の電話で断念した高校もあった。
実教版の全国シェアは14%で、都立高の採択結果は不自然との指摘が出ていた。今年は通史を学ぶ「日本史B」も採択の対象で、影響はさらに大きくなる。
『東京新聞』(2013年6月27日 夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013062702000263.html
◆ 「二重検定おかしい」都立高教師ら反発 実教出版日本史:(TOKYO Web)
東京都教育委員会が、実教出版の高校日本史教科書について「都教委の考え方と異なる」と指摘し、都立校で使用すべきではないとの見解を示した問題。国の検定を通った特定教科書を名指しで排除する異例の手法に、教育現場などから怒りや反発の声が上がった。(中山高志)
都教委が二十七日の定例会で議決した見解は、今年の教科書採択の対象となる実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」について「国旗国歌をめぐる『自治体で強制の動きがある』という記述が、都教委の考え方と異なる」と問題視。「都立高校などで使用することは適切でない」と結論づけた。
「現場の教師が生徒の実情に合わせ教科書を選ぶ慣行が、都教委により踏みにじられた。納得できない」。都立高校で日本史を教える男性教諭(57)は同日午後、都教委の方針に声を震わせた。
勤務校は二年生で日本史Aを教えており、ことしの採択では実教版も選択肢に含まれる。校内ではすでに、都教委の意向を先取りするように、実教版に難色を示す声が出ているといい「さらにこんな見解が出れば、実教版を選ぶのは至難の業」と嘆息する。
「『この教科書は使うな』というやり方が横行すれば、やがては『この教科書しか使うな』という国定教科書のような制度にもなりかねない」。男性教諭は強く危惧する。
同様に都立高校で日本史を教える鈴木敏夫さん(64)も「国が検定を通し事実と認めた記述を都教委が否定し、その教科書を使わせないのは『二重検定』に当たる」と批判する。
実教出版の編集責任者は「事実であれば大変残念」と言うにとどめたが、出版労連教科書対策部の吉田典裕部長(54)は「憲法が保障する出版の自由の侵害」と強く反発する。
一方、都教委高校教育指導課の江本敏男課長は「各校で教科書選定作業を適切にやってもらうことが狙い。採択権を持つ都教委が、採択の具体的な考え方を示すことはあり得る」と説明している。
教科書は、使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告を基に教委が採択する。教委は通常、高校については学校の選択を尊重して追認している。
都教委が「不適切」とした二つの教科書のうち「日本史A」は昨年も採択対象だった。都教委は都立二百三十三校のうち、採択に当たる十七校に「実教版は都教委の考え方とは相いれない」などと非公式に連絡し、結果として全校が実教版以外を選択した。もう一冊の「日本史B」も対象に含まれる今年は、都教委が昨年より露骨に踏み込んで公の見解を出した形で、採択にかかわる都立校は延べ百九十四校に上る。
◆ 教委の職権乱用 高嶋伸欣琉球大名誉教授(社会科教育)の話
教科書検定を通った記述が、自らを批判する内容になっているからといって、選定をやめるよう通知するのは教育委員会の権限を越えている。見解の相違があるなら、選定した高校に対し誤解のない指導をするよう伝えればよく、職権乱用だ。昨年は高校に電話で懸念を伝えたが、メンツのために正式な通知にしたのではないか。高校の教科書は無償ではなく、家庭が負担するので、不適切な採択方法に異議を申し立てる保護者もいるかもしれない。
『東京新聞』(2013年6月28日 朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013062802000112.html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます