◆ ノーベル委員会への憲法9条の平和賞授与の陳情について (BLOGOS【小西洋之】)
本日(5月22日)、与野党の8会派にまたがる60人の衆参国会議員の連名で、ノルウェーのノーベル委員会に憲法第9条のノーベル平和賞の授与を陳情する文書を提出しました。
2014年5月17日 ノーベル委員会御中
私ども、下記したる日本国国会議員は、本日貴国憲法制定200年の記念日に、謹んでお祝いを申し上げます。
我が国は、戦争の放棄と戦力の不保持を定めた憲法第九条のもと、68年間にわたり平和国家としての道を歩んできました。
この度、我が日本国民の平和憲法が、2014年度の栄えあるノーベル平和賞にnomination(推薦受理)されたと伺い、誠に光栄に存じます。
全ての推薦者の方々からの本推薦に係る政治的中立を表明しつつ、是非の授与をお願い申し上げます。
共に世界の平和を願いつつ
(参考)5月17日に制定200周年を迎えたノルウェー憲法への祝意を添えています。
ノーベル委員会とは、アルフレッド・ノーベルの遺言によりノルウェー国会が任命する5名からなるノーベル平和賞の授与を決定する委員会(現委員長は元ノルウェー国総理)です。
ノーベル平和賞の候補の推薦は大学教授等の特定の立場の者しか資格がなく、憲法第9条の推薦に当たっては、国内外から複数の推薦がノーベル委員会に対してなされ、その結果、ノーベル委員会において278候補の一つとして受理されたとされています。
この度の有志の国会議員によるノーベル委員会への平和賞授与の陳情は、こうした国内外から行われている推薦行為のいずれにも関わることなく、既に受理が表明されている憲法9条に関わるノーベル平和賞の授与について陳情を行ったものです(※1)。
陳情文書への署名は、個々の議員の判断によるものであり、「憲法9条がノーベル平和賞にふさわしい」とするそれぞれの見解によるものです。
私個人の意思としては、恒久平和主義の理念のもと主権国家として専守防衛に徹するとともに世界平和創造の活動を積み重ねてきた基盤である日本国憲法は、現時点で、また、今後の世界の平和創造への貢献の観点からノーベル平和賞に相応しいと考えたものです。
(私のこの取り組みは、世界で最も権威がある政治経済誌の一つであるThe Economistでも紹介されました。http://www.economist.com/blogs/banyan/2014/05/japans-pacifist-constitution)
また、現在、安倍総理による解釈改憲により、日本国民の平和憲法が大きく変質(=破壊)されようとする中、ノーベル委員会に世界の平和創造におけるそのかけがえのない価値をぜひ判断してもらいたいと考えたものです。
取り組みの発起人の一人として署名活動の共同事務局を務めさせて頂きましたが、短期間のうちに自民党を含む8会派閥(政党)の60名の衆参議員の賛同を得ることができました。
この度の活動は、ノーベル委員会において5月中に行われる第一次審査(ショートリスト作成)を念頭においたものですが、10月の最終決定までに、引き続きさまざまな活動を行っていくつもりです。
なお、仮に、10月までに安倍総理に解釈改憲を強行された場合にも、①その解釈改憲の行為自体が憲法前文の明文に違反する無効行為であるとともに(※2)、②いずれにしても、その変わらない条文とともに存在し続ける「日本国民の平和憲法」(※3)への意義ある世界的評価の一つとして、ノーベル平和賞が授与される価値があると考えています。
なお、ノーベル委員会の規則上、受賞資格者は「個人又は団体」とされているところ、憲法9条に関する受賞資格者は、「主権者たる日本国民」、「国会(衆参議院)」、安倍総理の内閣は当然資格外として、2012年のEU受賞の例なども踏まえると「日本国」というのもあり得るのかもしれませんが、この度の陳情文書の中では特に明示を行ってはおりません。
(憲法9条に反対の日本国民の方もいらっしゃると考えられますが、これまで憲法改正を行ってこなかった「主権者である日本国民の総体」という考え方は可能ではないかと思慮します)
最後に、重要なことはノーベル平和賞が授与されることではなく、日本国民と衆参の国会議員が、憲法9条の価値を専守防衛という軍事的な機能に止めることなく、憲法前文の理念と相まって、より積極的かつ主体的な国際平和創造の基盤として、その具体的な取り組みと成果をいっそう積み重ねていくことです。
もちろん、この平和創造の取り組みは、中国の超大国化などの安全保障環境の変化の中における、戦略的かつ堅実な安全保障政策と外交政策の総合的取り組みによるものでなければなりません。
例えば、中国に対しては、堅実な個別的自衛権(日米安保含む)による抑止力を保持しつつ、他方で、中国の最大の国政課題である環境や社会格差などの国内問題への協力などにより、もう一つの強力な抑止力たる互恵的な社会経済関係を構築していく必要があります。
(この点、安倍総理の解釈改憲は、「外交なき誤った軍事路線」と考えています)
私の、「積極的平和創造主議」による「平和創造会議Peace Creation Conference」構想は、恒久平和主義を国是とする我が国における、社会の総力を挙げたこれらの外交・安全保障の総合的戦略を実行していくための基盤となる仕組みであり、その立法化を目指して参ります。
http://konishi-hiroyuki.jp/heiwa/(※4)
※1 こうした中立的立場を明らかにするため、陳情文書の中にも、「全ての推薦者の方々からの本推薦に係る政治的中立を表明しつつ、」という断り書きを明記させて頂きました。
この点、一部の報道に、「文書の提出は、9条へのノーベル平和賞授与を求め推薦運動を進めている神奈川県の主婦らの運動を後押しするのが目的」とありますが、この度の陳情はいずれの推薦にも関わることなくノーベル委員会の主体的な判断のみに働きかけるものであり、この報道内容は誤報です。
※2 2014年5月12日決算委員会質疑の説明と資料を参照下さい。
http://konishi-hiroyuki.jp/2014%e5%b9%b45%e6%9c%8812%e6%97%a5%ef%bc%88%e6%9c%88%ef%bc%89%e5%8f%82%e8%ad%b0%e9%99%a2%e6%b1%ba%e7%ae%97%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a/
※3 恒久平和主義の発展を党綱領とする民主党が政権を奪還した時に解釈を再変更して戻します
※4 もっと以前に、我が国にこの「平和創造会議Peace Creation Conference」が設置されていたら、これ自体に(あるいは日本国に)ノーベル平和賞が授与されていたと考えます。
意見をつなぐ 日本が変わる 『BLOGOS』(2014年05月23日【小西洋之】)
http://blogos.com/article/86933/
本日(5月22日)、与野党の8会派にまたがる60人の衆参国会議員の連名で、ノルウェーのノーベル委員会に憲法第9条のノーベル平和賞の授与を陳情する文書を提出しました。
May 17, 2014(和訳要旨)
His Excellency Thorbjorn Jagland
The Norwegian Nobel Committee
Dear Chairman Jagland and Norwegian Nobel Committee Members,
We the undersigned members of the Japanese Diet would like to congratulate the people of Norway on the 200th anniversary of the adoption of your constitution.
Our own constitution is a much younger one, and under its Article 9, which renounces war and prohibits the maintenance of war potential, we have led a remarkable 68-year journey as a pacifist nation. We are deeply honored that this same Article 9, as realized by the people of Japan over the past seven decades, has been officially nominated for the Nobel Peace Prize.
This nomination was made by the people and for the people and as such, we speak from a position of political neutrality. We do, however, humbly urge you to select this nominee for the ultimate honor.
May there be peace on Earth,
2014年5月17日 ノーベル委員会御中
私ども、下記したる日本国国会議員は、本日貴国憲法制定200年の記念日に、謹んでお祝いを申し上げます。
我が国は、戦争の放棄と戦力の不保持を定めた憲法第九条のもと、68年間にわたり平和国家としての道を歩んできました。
この度、我が日本国民の平和憲法が、2014年度の栄えあるノーベル平和賞にnomination(推薦受理)されたと伺い、誠に光栄に存じます。
全ての推薦者の方々からの本推薦に係る政治的中立を表明しつつ、是非の授与をお願い申し上げます。
共に世界の平和を願いつつ
(参考)5月17日に制定200周年を迎えたノルウェー憲法への祝意を添えています。
ノーベル委員会とは、アルフレッド・ノーベルの遺言によりノルウェー国会が任命する5名からなるノーベル平和賞の授与を決定する委員会(現委員長は元ノルウェー国総理)です。
ノーベル平和賞の候補の推薦は大学教授等の特定の立場の者しか資格がなく、憲法第9条の推薦に当たっては、国内外から複数の推薦がノーベル委員会に対してなされ、その結果、ノーベル委員会において278候補の一つとして受理されたとされています。
この度の有志の国会議員によるノーベル委員会への平和賞授与の陳情は、こうした国内外から行われている推薦行為のいずれにも関わることなく、既に受理が表明されている憲法9条に関わるノーベル平和賞の授与について陳情を行ったものです(※1)。
陳情文書への署名は、個々の議員の判断によるものであり、「憲法9条がノーベル平和賞にふさわしい」とするそれぞれの見解によるものです。
私個人の意思としては、恒久平和主義の理念のもと主権国家として専守防衛に徹するとともに世界平和創造の活動を積み重ねてきた基盤である日本国憲法は、現時点で、また、今後の世界の平和創造への貢献の観点からノーベル平和賞に相応しいと考えたものです。
(私のこの取り組みは、世界で最も権威がある政治経済誌の一つであるThe Economistでも紹介されました。http://www.economist.com/blogs/banyan/2014/05/japans-pacifist-constitution)
また、現在、安倍総理による解釈改憲により、日本国民の平和憲法が大きく変質(=破壊)されようとする中、ノーベル委員会に世界の平和創造におけるそのかけがえのない価値をぜひ判断してもらいたいと考えたものです。
取り組みの発起人の一人として署名活動の共同事務局を務めさせて頂きましたが、短期間のうちに自民党を含む8会派閥(政党)の60名の衆参議員の賛同を得ることができました。
この度の活動は、ノーベル委員会において5月中に行われる第一次審査(ショートリスト作成)を念頭においたものですが、10月の最終決定までに、引き続きさまざまな活動を行っていくつもりです。
なお、仮に、10月までに安倍総理に解釈改憲を強行された場合にも、①その解釈改憲の行為自体が憲法前文の明文に違反する無効行為であるとともに(※2)、②いずれにしても、その変わらない条文とともに存在し続ける「日本国民の平和憲法」(※3)への意義ある世界的評価の一つとして、ノーベル平和賞が授与される価値があると考えています。
なお、ノーベル委員会の規則上、受賞資格者は「個人又は団体」とされているところ、憲法9条に関する受賞資格者は、「主権者たる日本国民」、「国会(衆参議院)」、安倍総理の内閣は当然資格外として、2012年のEU受賞の例なども踏まえると「日本国」というのもあり得るのかもしれませんが、この度の陳情文書の中では特に明示を行ってはおりません。
(憲法9条に反対の日本国民の方もいらっしゃると考えられますが、これまで憲法改正を行ってこなかった「主権者である日本国民の総体」という考え方は可能ではないかと思慮します)
最後に、重要なことはノーベル平和賞が授与されることではなく、日本国民と衆参の国会議員が、憲法9条の価値を専守防衛という軍事的な機能に止めることなく、憲法前文の理念と相まって、より積極的かつ主体的な国際平和創造の基盤として、その具体的な取り組みと成果をいっそう積み重ねていくことです。
もちろん、この平和創造の取り組みは、中国の超大国化などの安全保障環境の変化の中における、戦略的かつ堅実な安全保障政策と外交政策の総合的取り組みによるものでなければなりません。
例えば、中国に対しては、堅実な個別的自衛権(日米安保含む)による抑止力を保持しつつ、他方で、中国の最大の国政課題である環境や社会格差などの国内問題への協力などにより、もう一つの強力な抑止力たる互恵的な社会経済関係を構築していく必要があります。
(この点、安倍総理の解釈改憲は、「外交なき誤った軍事路線」と考えています)
私の、「積極的平和創造主議」による「平和創造会議Peace Creation Conference」構想は、恒久平和主義を国是とする我が国における、社会の総力を挙げたこれらの外交・安全保障の総合的戦略を実行していくための基盤となる仕組みであり、その立法化を目指して参ります。
http://konishi-hiroyuki.jp/heiwa/(※4)
※1 こうした中立的立場を明らかにするため、陳情文書の中にも、「全ての推薦者の方々からの本推薦に係る政治的中立を表明しつつ、」という断り書きを明記させて頂きました。
この点、一部の報道に、「文書の提出は、9条へのノーベル平和賞授与を求め推薦運動を進めている神奈川県の主婦らの運動を後押しするのが目的」とありますが、この度の陳情はいずれの推薦にも関わることなくノーベル委員会の主体的な判断のみに働きかけるものであり、この報道内容は誤報です。
※2 2014年5月12日決算委員会質疑の説明と資料を参照下さい。
http://konishi-hiroyuki.jp/2014%e5%b9%b45%e6%9c%8812%e6%97%a5%ef%bc%88%e6%9c%88%ef%bc%89%e5%8f%82%e8%ad%b0%e9%99%a2%e6%b1%ba%e7%ae%97%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a/
※3 恒久平和主義の発展を党綱領とする民主党が政権を奪還した時に解釈を再変更して戻します
※4 もっと以前に、我が国にこの「平和創造会議Peace Creation Conference」が設置されていたら、これ自体に(あるいは日本国に)ノーベル平和賞が授与されていたと考えます。
意見をつなぐ 日本が変わる 『BLOGOS』(2014年05月23日【小西洋之】)
http://blogos.com/article/86933/
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