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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

加戸前愛媛県知事の「虎の威」発言とは、「官邸の圧力」そのもの

2017年08月12日 | 平和憲法
 ◆ <全マスコミに喝!>「虎の威を借る」手法を活用した官邸を絶賛
   皆さま   高嶋伸欣です


 ようやく社会科教育関係研究会の一連の全国大会が終わりました。関係の皆さまお疲れさまでした。
 この間、成り行きを気にしていたことで、全マスコミ関係者や野党政治家などに問いたいことがあります。
 1 それは一連の閉会中審査に連続して呼ばれた加戸守行・前愛媛県知事が念願だった今治市への獣医学部設置について「内閣府の『虎の威を借るキツネ』の発言を用いて強行突破してくれたことを大変喜んでいる」(7月25日、参議院予算委員会。「東京新聞」が26日朝刊の「詳報」欄で報道)と、評価する発言をした点について、ほとんど話題にされていないことです。
 2 この「『虎の威を借るキツネ』の発言」こそ、前川・前文科省事務次官の言う「官邸の圧力」を意味しています。そのことを自民党推薦の参考人が裏付けた発言なのです。
 やはり官邸が不当な手法でことを進めていたと、事情を知る参考人が明言しているのですから、これで「勝負あった!」となってもおかしくないはずです。
 3 けれどもそのことを指摘する報道野党政治家の発言が見当たらないのです。
 「虎の威を借るキツネ」の手法は政治の世界・政党間あるいは官僚世界では日常茶飯事(加戸氏自身は多用したと自慢げに発言しています)だから、今さら騒ぐ事柄ではないとして、記者や政治家は聞き流したのでしょうか。
 4 私(高嶋)は、自分の主張を貫くために「虎の威を借るキツネ」の手法を用いるのは、不公正で卑怯なことだと認識しています。従って、自身もこの手法を多用したことを含め、「虎の威を借るキツネ」の行動を肯定的なものとする発言を、この間に繰り返し国会という場で自慢げに披歴した加戸氏について、驚きの目を向けていました。
 5 何しろ国会に限らず公開の場で、「虎の威を借りて上手くやってのけたよ。しめしめ」などと平然と言ってのけているのです。しかも今回の場合、加戸氏は同種の発言を7月10日、24日、25日と何度も繰り返しているのです。同氏の社会規範意識、道徳観が疑われて当然と、私は思っています。
 6 中央の官僚だった30年間、この手法を自身が用いていたと公言した加戸氏に、今さらその反道徳性の自覚を求めるのは無いものねだりでしょう。
 けれども、7月10日の参考人発言で「省庁間折衝では激しい言葉も使い、虎の威を借る狐のような発言もあった」と言い切ったのを聴いてもなお、自民党はその後にも加戸氏をなぜ参考人に指名したのか。質問者の青山繁晴議員の社会的道徳観と政治的センスを疑いたくなります。
 7 その一方で、これらの問題発言を聞き流したジャーナリストや野党の政治家たちの無反応も心配です。テレビのニュースショー番組のコメンテイターも同様です。
 8 一例を挙げれば、池上彰氏の『朝日新聞』7月28日朝刊の紙面批評コラム「池上彰の新聞ななめ読み」があります。
 同氏は、7月10日の閉会中審査で、『読売新聞』が前川氏の出会い系バー通いを報道した件でのやり取りがあったのに、『読売』は紙面で全く触れていないと批判しました。
 その次に今度は『朝日』と『毎日』に矛先を向けて、加戸発言を「詳報」欄には載せても本文記事では触れていないとしています。
 9 でも池上氏が強調しているのは、加戸氏が獣医学部設置が念願だったという発言の部分です。そのことと2年前になって急きょ官邸がことを強引に進めだしたことの不明朗さとは、本来無関係のはずです。池上氏は、『読売』批判に合わせて見かけ上のバランスをとったかのようです。
 10 池上氏は、本当に10日の国会中継全部を視聴していたのでしょうか。同氏は各紙に目を通しているそうですが、上記6の加戸氏の発言が11日の『産経』に掲載されているのを見ても、問題発言とは思わなかったのでしょうか
11 私は、加戸氏の本筋ではない事柄の発言よりも、日本社会の民主主義の原則をないがしろにしている発言が国会で公然と展開され、それを野党どころかマスコミも問題視していないことこそ重大かつ深刻な事態だと思っています。
 池上氏は『朝日』がこの発言を問題視しなかったことについて批判すべきだったのに、池上氏に自身にあの発言を問題視する姿勢がなかったのだろうと想像しています。
 12 ところで「虎の威を借る(狐)」とは「他の権勢に頼って威張る小人物のたとえ」(日本国語大辞典 第2版・小学館、2001年)と国語辞典にはあります。
 この手法を用いる人物は「小人物」ということになります。当然の事として、自慢の対象ではないはずですが、加戸氏は自身がこの手法を多用したかの如く、繰り返して発言しています。自らを貶めていることにに気付いていないのでしょうか。
13 加えて、この手法を用いた人物は「小人物だ」と、聞いた側が受け取るわけですから、加戸氏が「内閣府の『虎の威を借るキツネ』の発言を用いて強行突破してくれたことは大変喜んでいる」と発言したことで、内閣府の発言者は「小人物」とみなされることになります。
 自らだけでなく他人まで、それも加戸氏の念願達成に貢献してくれた人物までを貶める言動を繰り返しているわけです。
14 幸か不幸か、記者も野党政治家もこの切り込みどころに気付いている気配がありません。
15 8月10日の閉会中審査や日々の報道で、民主主義の原点からの議論が展開されるのか。
 後期高齢者としては、「もうどうでもいいかなー」という気分もありますが、やはり腹ふくるる思いは未だ耐えられずに、また長い繰りごとになりました。ご容赦ください。
  転載・拡散は自由です

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