◆ 大阪市長 学力調査を乱用するな
『朝日新聞』(2018年8月28日【社説】)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13653441.html
小6と中3が対象の全国学力調査の成績を、校長や教員の人事評価とボーナスに反映させる。各学校への予算配分も、結果にあわせて増減させる。
大阪市の吉村洋文市長が、こんな方針を打ち出した。
学力を底上げするのが狙いだというが、理解できない。
成績が振るわない学校・地域を置き去りにし、格差を広げかねない。子どもの弱点をつかんで授業の改善に役立てるという調査の趣旨を逸脱し、過度な競争や序列化を招く恐れが強い。
市長は方針を撤回すべきだ。
大阪市は、全国20の政令指定都市のなかで、学力調査の平均正答率が2年続けて最下位だった。
市長は危機感を示し、順位を上げると宣言。人事評価の具体的な仕組みは市教育委員会とともに協議するとしているが、数値目標を示し、達成したかどうかを目安にする考えだ。
あまりに短絡的で乱暴だ。
子どもの学力は家庭の経済状況と強い関係があることが、学力調査に伴う研究でわかっている。行政による支援は、貧困や不登校といった問題を抱える児童・生徒が目立つ学校や地域にこそ手厚くする必要がある。
大阪市は昨年度、学力調査で課題があると判断した小中70校を対象に、独自の支援策を始めた。それを改善・充実させていくことに集中するべきだ。
そもそも、学力調査で把握できるのは学力の一つの側面にすぎない。結果を絶対視すれば、さまざまなゆがみを生む。
かつて東京都足立区では、都や区の試験中に先生が誤答している児童に合図をしたり、障害児の成績を集計から外したりする不正が生じた。
その背景には、学校同士を競わせ、成績の伸び率を各校への予算配分に反映させる仕組みがあった。
吉村市長は「結果に責任を負う制度に変える」「市長の予算権をフルに使って意識改革したい」と語った。
しかし、テストの点数で先生を競争させるような仕組みを入れると、先生は教科指導に集中できる学校に赴任したがり、様々な課題に直面している学校を嫌う風潮を強めかねない。多様な子どもたちと粘り強く向き合う、そんな数値では測りにくい努力を軽視すれば、教育の根本が危うくなる。
市長の方針に対し、学校の現場からは懸念や反発が噴き出している。当然だろう。
まずはその声に耳を傾ける。学力調査の目的を再確認した上で、必要な対策を検討するよう指示する。
それが市長の役割だ。
=全国学力テスト=
◆ 大阪市長発言 市の市民団体が市教委に抗議文 /大阪
『毎日新聞』(2018年8月25日 地方版)
https://mainichi.jp/articles/20180825/ddl/k27/100/302000c
大阪市の吉村洋文市長が、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果に応じ、教員の手当を増減させる人事評価の導入検討を表明した問題で、教員や教員OBらでつくる市民団体が抗議声明文を市教委に提出した。
約20人が市役所を訪問。「テスト結果の向上だけを求めるゆがんだ学校にすることは必至。最も犠牲を被るのは子どもたち」とし、市長の方針撤回を求めている。
大阪市東住吉区の「こどもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」事務局の伊賀正浩さん(51)は「テストの点数向上が学校教育のメインになってしまうのではないか。その結果だけで子どもたちも評価されてしまう心配がある」と話している。【岡村崇】
◆ 吉村大阪市長、全国学力テスト最下位なら賞与返上
『日刊スポーツ』(2018年8月16日18時54分)
https://www.nikkansports.com/general/news/201808160000712.html
全国学力テストの結果を教員の給与に反映させる方針を示している大阪市の吉村洋文市長は16日、来年のテストで全政令指定都市中最下位を脱することができなければ、自身の夏の賞与を全額返上すると明らかにした。
吉村市長は「教員らに対して結果に責任を負うよう求める以上、自身もそうあるべきだ」と述べた。学力向上の指導をする教育委員会の担当者にも責任を持ってもらうとして、教員と同様にテスト結果が給与に反映する制度の構築を検討するとした。
各学校の目標については一律に決めたいとしていたが、学校の実情や地域の特性なども考慮して個別に決める可能性にも言及した。
大阪市は小学6年と中学3年を対象とした全国学力テストで、2年連続で全政令指定都市中最下位。市長は改善に向けた制度改革を進めるとしており、詳細は市長と市教委などでつくる「総合教育会議」で本年度内に結論を出す予定。(共同)
『朝日新聞』(2018年8月28日【社説】)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13653441.html
小6と中3が対象の全国学力調査の成績を、校長や教員の人事評価とボーナスに反映させる。各学校への予算配分も、結果にあわせて増減させる。
大阪市の吉村洋文市長が、こんな方針を打ち出した。
学力を底上げするのが狙いだというが、理解できない。
成績が振るわない学校・地域を置き去りにし、格差を広げかねない。子どもの弱点をつかんで授業の改善に役立てるという調査の趣旨を逸脱し、過度な競争や序列化を招く恐れが強い。
市長は方針を撤回すべきだ。
大阪市は、全国20の政令指定都市のなかで、学力調査の平均正答率が2年続けて最下位だった。
市長は危機感を示し、順位を上げると宣言。人事評価の具体的な仕組みは市教育委員会とともに協議するとしているが、数値目標を示し、達成したかどうかを目安にする考えだ。
あまりに短絡的で乱暴だ。
子どもの学力は家庭の経済状況と強い関係があることが、学力調査に伴う研究でわかっている。行政による支援は、貧困や不登校といった問題を抱える児童・生徒が目立つ学校や地域にこそ手厚くする必要がある。
大阪市は昨年度、学力調査で課題があると判断した小中70校を対象に、独自の支援策を始めた。それを改善・充実させていくことに集中するべきだ。
そもそも、学力調査で把握できるのは学力の一つの側面にすぎない。結果を絶対視すれば、さまざまなゆがみを生む。
かつて東京都足立区では、都や区の試験中に先生が誤答している児童に合図をしたり、障害児の成績を集計から外したりする不正が生じた。
その背景には、学校同士を競わせ、成績の伸び率を各校への予算配分に反映させる仕組みがあった。
吉村市長は「結果に責任を負う制度に変える」「市長の予算権をフルに使って意識改革したい」と語った。
しかし、テストの点数で先生を競争させるような仕組みを入れると、先生は教科指導に集中できる学校に赴任したがり、様々な課題に直面している学校を嫌う風潮を強めかねない。多様な子どもたちと粘り強く向き合う、そんな数値では測りにくい努力を軽視すれば、教育の根本が危うくなる。
市長の方針に対し、学校の現場からは懸念や反発が噴き出している。当然だろう。
まずはその声に耳を傾ける。学力調査の目的を再確認した上で、必要な対策を検討するよう指示する。
それが市長の役割だ。
=全国学力テスト=
◆ 大阪市長発言 市の市民団体が市教委に抗議文 /大阪
『毎日新聞』(2018年8月25日 地方版)
https://mainichi.jp/articles/20180825/ddl/k27/100/302000c
大阪市の吉村洋文市長が、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果に応じ、教員の手当を増減させる人事評価の導入検討を表明した問題で、教員や教員OBらでつくる市民団体が抗議声明文を市教委に提出した。
約20人が市役所を訪問。「テスト結果の向上だけを求めるゆがんだ学校にすることは必至。最も犠牲を被るのは子どもたち」とし、市長の方針撤回を求めている。
大阪市東住吉区の「こどもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」事務局の伊賀正浩さん(51)は「テストの点数向上が学校教育のメインになってしまうのではないか。その結果だけで子どもたちも評価されてしまう心配がある」と話している。【岡村崇】
◆ 吉村大阪市長、全国学力テスト最下位なら賞与返上
『日刊スポーツ』(2018年8月16日18時54分)
https://www.nikkansports.com/general/news/201808160000712.html
全国学力テストの結果を教員の給与に反映させる方針を示している大阪市の吉村洋文市長は16日、来年のテストで全政令指定都市中最下位を脱することができなければ、自身の夏の賞与を全額返上すると明らかにした。
吉村市長は「教員らに対して結果に責任を負うよう求める以上、自身もそうあるべきだ」と述べた。学力向上の指導をする教育委員会の担当者にも責任を持ってもらうとして、教員と同様にテスト結果が給与に反映する制度の構築を検討するとした。
各学校の目標については一律に決めたいとしていたが、学校の実情や地域の特性なども考慮して個別に決める可能性にも言及した。
大阪市は小学6年と中学3年を対象とした全国学力テストで、2年連続で全政令指定都市中最下位。市長は改善に向けた制度改革を進めるとしており、詳細は市長と市教委などでつくる「総合教育会議」で本年度内に結論を出す予定。(共同)
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