◆ <多くの教育関係者、若者たちに読んでもらいたい本>
<転送歓迎>(重複ご容赦)・「新芽ML」・「ひのきみ全国ネット」・「戦争をさせない杉並1000人委員会」・「杉並コモンズ」の渡部です。
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「新たな戦前」と言われるような時代になってきました。
そうした時代に、学校現場での「日の丸・君が代」強制に一貫して反対し、「停職6か月処分」を三回受け長い裁判闘争を闘い、最後に処分取消の高裁逆転判決(2020年3月)と最高裁決定(2021年2月)を勝ち取った根津公子さんがこのたび、
『自分で考え判断する教育を求めて
~「日の丸・君が代」をめぐる私の現場闘争史~』
(2023年10月30日初版。影書房(03-6902-2645)。2000円+税)
を出版しました。
この本は根津さん渾身の書とも言っていいものです。
大きな目次は、以下のようになっています。
はじめに
1,私の教育観と教育実践
2,「君が代」不起立以前に受けた処分
3,私が受けた6回の「君が代」不起立処分
4,戦後の教育行政
5,「日の丸・君が代」強制のねらいは
6,なぜ重い?「君が代」不起立処分
7,処分によって私は
8,「君が代」不起立裁判は
おわりに
根津さんは<はじめに>のところで次のように述べています。
「1945年の敗戦までの日本の学校教育は、『天皇のためには身を挺す』ことを教え込み、子どもたちを戦場に駆り立てました。
それと同じことが『日の丸・君が代』尊重、『君が代』起立斉唱で行われてきたと、いまの政治状況下でとりわけ思います。
いまは『新たな戦前』です。」
そうして以下の諸項目でも、具体的な事実をもとに論理を展開し、その中での子どもたち、教職員たち、保護者達、市民たち、さらには管理職や都教委の役人たちの様々な言動が浮き彫りにされています。
要するに、どのようにして日本社会は教育面で「新たな戦前」になってきたのか、を赤裸々に語っていると言えるでしょう。
そのなかで、<5,「日の丸・君が代」強制のねらいは>のところで、根津さんは次のように述べています。少し長いのですが、重要な所だと思うので紹介します。
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04年4月に都教委が主催した教育施策連絡会(・・・)で、鳥海巌教育委員(元丸紅会長)は、こう言い放ちました。
「あいまいさを改革のときには絶対残してはいけない。この国旗・国歌問題、100%やるようにしてくれということを事務局にも教育長にも言っているわけなのですけれども、改革というのは、何しろ半世紀のあいだつくられたがん細胞みたいなものですから、(略)がん細胞を少しでも残すと、またすぐ増殖してくるということは目に見えているわけです。徹底的にやる。あいまいさを残さない。」
そう、だから都教委にとっての「がん細胞」の私は記録を残すのです。まちがった施策をただす教員が「増殖してくる」ように。
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また、<7、処分によって私は>は、以下のような項目からなっており圧巻です。
I 2003年度 調布市立調布中学校で
Ⅱ 2004・05年度 立川市立立川第二中学校で
Ⅲ 2006年度 町田市立鶴川第二中学校で
Ⅳ 2007年度 都立南大沢養護学校で
Ⅴ 2008年度 都立あきる野学園で
ここには、都教委・管理職の対応と根津さんの闘い(停職「出勤」など)、さらに子どもたち・教員たち・保護者・市民たちの反応、が具体的に描かれています。感動的です。
そして最後の方では次のように述べています。
「都教委がものを言う教員を攻撃し弾圧し続け、教育を破壊するなか、逆説的な物言いは適切ではないでしょうが、都教委のそれによって私は常に行動の選択を迫られ考え続け、苦しいことも多くありましたが、いまとなれば、私を鍛えてくれたとさえ思えます。
管理・支配が穏やかだったら、教育について、生き方について、これほどまでに考えずに、私は安易に生きてしまっただろうと思うのです。」
さらに<8,「君が代」不起立裁判は>では、裁判では何が争われたのかが簡潔にまとめられています。
現在、日本社会は新自由主義の下、貧富の格差が広がり若者の4割は無権利状態の非正規労働者だと言われます。
そして、岸田政権下、軍拡と戦争準備が急ピッチで進んでいます。
まさに「新たな戦前」です。
今回の根津さんの書は、現在の日本がどのような社会なのか、またその中で私たち(特に苦しんでいる多くの若者たち)がどう生きるべきか(どう闘うべきか)を考える上で、極めて示唆に富んだ書であると思います。
読めばきっと力になると思います。
全国の多くの皆さん、是非読まれて、一緒に広げましょう。
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