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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

子どもに優劣なんて付けられない「安心して不登校でいられる」福岡県の学校

2017年02月10日 | こども危機
 ◆ 名前さえ書けば入れる高校 (都立A高 本部委員のつぶやき)

 色々な学校があるけれど、「学校へ来て、入試で名前を書ければ入学出来る」学校が、福岡にある。私立立花高校は1957年、「一人の子を粗末にする時、教育はその光を失う」を理念に、公立高校教員有志が退職金で建学した学校。紆余曲折あったが、「一人一人を大切にする」理念で運営し続け、合言葉は「パイルアップ(積み上げる)」今は定員超の生徒が在籍している。
 齋藤眞人校長の話では、生徒の約8割は小中学校で不登校。貧困家庭の生徒も障害児もいる。
 子どもに優劣なんて付けられない。不登校生徒が外出するって、親子にとってどんなに大きな一歩か。登校してくれるだけで素晴らしいじゃないか
 入試の朝、「どうしても子どもが家を出ない」という保護者の電話に、「本人が来ようと思うまで待ちましょう。私達はいつまでも待ってます」と伝える。
 保護者も本人も辛いんです、頑張っているんです。だから入試日、「頼むから学校に来て、そして名前を書いて」と祈ります。
 あとは一緒にやって行く思いです。

 校長自身がそれまでの教育実践に疑問を感じ始め、「厳しいだけではダメだ。力じゃなく、生徒と心が通ったとき、想像以上のことが起こるんだ。」と実感していた。
 一生懸命だが、生徒の思いを顧みないで、多くの生徒を傷つけていたことを後悔する。2004年に教頭、2年後に校長になる。
 北海道や沖縄・北欧など学校視察をし、家族的な学校の雰囲気等に感銘を受けた。学校に癒やしやゆるやかさ、大らかさがある。我々がやろうとしていることは間違ってないと確信した。
 それまで経験した教育環境と違い、生徒と教職員の距離の近さや考え方にショックを受けた。
 厚化粧してくる女子生徒、校則ではNGだが「あれは自己防衛やけんね~、あの子は化粧外したら来れんくなるけん、どうしたもんかね~」と話す。
 一人ひとりに寄り添う教育ってこういうことだと思った。
 不登校生徒の自立支援体制で、全日制・単位制・2学期制。留年がなく、取得した単位を積み上げ、何年かかっても卒業を目指す。
 2学期制で春夏に入学・卒業できるため、春まで待たずに入り直せる。

 通常クラスの他、全学年混成の学び支援サポート教室があり、ここを居場所に元気に登校できるようになった生徒もいる。
 また教師が出向いて授業する「学校外教室」も出席日数とする。
 それでも不登校生徒がいるが、「無理して登校しなさい」とは言わない。
 変な言い方だが、安心して不登校でいられる学校でありたい。
 学校を休む生徒をどのタイミングでフォローするか、そこはいつも試行錯誤で、永遠の課題だ。
 進路サポートは、弁当屋や校内カフェラウンジで働き、自信がついたら社会へ出る仕組み。学校敷地内の作業所で、卒業生の自立訓練も。
 「おたがい様コミュニティー」では地域の方と会議を開き、授業で講師を務めてもらったり、高校や地域の行事に相互参加したりしている。
 高齢者住宅での除草や、手芸・洗車などを学ぶ10種類のメニューがある。

 以前は「生徒が煙草を吸っとった」とクレームも。
 最近は地域のお婆ちゃんから「おたくの子が朝から元気に挨拶してくれて、とても気持ちよかった」と電話。
 みんな認められると嬉しいんです。
 「できないことを嘆くより、できていることを認め合う」、これが原点。
 厳しく「挨拶しなさい」なんて指導しません。愛おしい気持ちで教職員が声かけすれば、生徒達も自然と挨拶してくれる。苦労してきたこの子達に、世の中を大らかに変えていく光になってほしい。
 今は厳しい社会で、何かあると「努力が足りない」と責められる。
 学校や仕事は当たり前。毎日学校で6時間も授業受けるなんて、実はすごいこと。
 社会全体に寛容の精神が広まることを願います。
 そして、人知れず苦しむ子ども達に「キミはキミのままで良いんだよ」と伝えたい。
 卒業生は
「色んな人から褒めてもらったことが心から嬉しかった」
「立花では遅れて行っても『よく来たね』と言われ、まわりの友達の目も温かく3年間があっという間だった」
「何事も自由に挑戦させてくれて悩み事も先生と連携を取ることで解消できた。卒業した今だから、愛されていたなと感じます」
 などと言葉を残している。
 教育観は人それぞれだから、賛否両論はあると思いますが、私はこんな学校で仕事をしてみたいと心から思います。
 「あれだめ」「これだめ」の指導は、言われる方も嫌だろうけど、言う方も疲れます。ゆるやかさやおおらかさがないのは学校だけではありませんが…。
『都立A高 本部委員報告』

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