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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国連の日本審査 第2回

2009年02月23日 | 人権
 <国連の日本審査 私が見て感じたこと> 第2回
 ■ 役割果たしたNGO

鈴木亜英(国際人権活動日本委員会代表)

 ■ 政府の硬直した姿勢

 政府は人権の状況を率直に語る義務があります。しかし日本政府にはこの率直さを期待できません。この間、5たびの審査がそのことを示しています。
 分厚い報告書、大勢の政府代表団、いわば重装備で審査に臨みながら、わずか数時間のやり取りで、この脆弱さを露呈してしまうにはそれなりの訳があります。それは世界の人権水準から遅れていることに気づかず、自説に固執し硬直した姿勢に終始するため、そこに率直さを見出すことが困難だからです。
 ■ 政府と国民の緊張関係
 人権の加害者に人権の被害を語らせる政府報告そのものにもひとつの限界があります。自由権規定は近代市民社会の成立の過程で生まれ、フランス革命の人権宣言として結実したものです。自由と権利をめぐる政府と国民の緊張関係のなかで、国家権力を縛るものですから、人権侵害の本当の告発は国民の側において初めてなし得るといえます。ここにNGO(非政府組織)の果たす役割があります。
 審査を効果的に行い、内容を深めるためにもNGOからの報告は大切です。NGOの役割は審査システムの中に組み込まれているといっても過言ではありません。委員会はこれまで日本のNGOを高く評価してきました。正確な人権レポートを提出し、はるか何千キロもの道のりをものともせず、大勢駆けつけて審査を見守るからでしょう。
 ■ 4団体のレポート
 日本国民救援会は、国際人権活動日本委員会、自由法曹団、治安維持法犠牲者国賠要求同盟の4団体でレポートを委員会に提出しました。26項目、90頁余りの報告書を実に2年余りかけて作り上げました。それぞれの団体が闘いのなかから掘り下げた人権課題を規約との関連で明らかにすることを心掛けました。
 そのなかで私たちは日本国内では規約の存在が充分認識されておらず、規約違反を明確にした裁判例がないこと、それは裁判官への人権教育が不徹底であること、このため「公共の福祉論」が大手を振り過度に人権を抑圧していること、それをとり除くために国連から求められている国内人権機関を創設し、個人通報制度を早期に批准すべきことなど、従来からの問題を改めて明らかにしました。
 そのうえで政治ビラの配布に対する弾圧や日の丸・君が代のいわれのない強制なども取り上げて今日の日本社会の遅れた人権状況を明らかにしました。私たちが提出したレポートは審査に関わる委員によって事前によく読まれており、事実を知った委員が政府を追い詰める姿を私たちは何度も目にしました。今回のNGOの果たした役割は大きなものがありました。(つづく)
 日本国民救援会「救援新聞」(2009/1/15)より

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