《たたかいの現場から【労働情報】》
◆ 関生弾圧 国際人権法等から反抗の糸ロ探る
「検証シンポジウム『関西生コン事件』を考える」が、2月16日、大阪・阿倍野市民学習センターで開催された(15日には東京で開催)。定員150人の会場はすぐに満席になり、70名以上の方が入れなかった。
シンポジウムでは、海渡雄一弁護士がコーディネーターを務め、3人のシンポジストがそれぞれの専門性に基づき関西生コン事件の捉え方、弾圧を跳ね返す方向性を提示した。
労働法学専門の吉田美喜夫立命館大学名誉教授は、「本来、労働争議において刑事・民事免責は当然。にもかかわらず中立を守るべき国家権力が刑罰権を行使して介入してきている」と本件の基本的な問題点を確認された。
企業別労組中心、ユニオンショップ協定の拡大、非正規労働者を組織化しない労働運動の在り方が、労働組合の組織率・ストライキの低下を招き、
原則的な労働運動を実行しているに過ぎない関西生コン支部の運動が目立つ、国家のターゲットになっていると指摘した。
シンヘボン青山学院大学教授は、国際人権法の視点から見ても本件が、「労働基本権の侵害」と「認められた人権(この場合、労働基本権)の行使を理由とする恣意的拘禁」の双方で重大な権利侵害に該当していると、参加者に新しい視点を示してくれた。
日本も批准しているILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護)にもとづく委員会の先例法理では、「労働組合活動を行ったことに対する労働組合指導者や構成員の拘禁は結社の自由の原則に反する」と確定している。
国連人権理事会内に「恣意的拘禁作業部会」があり、個人通報制度もあるので、入管に長期勾留されている外国人や精神障害者等への拘束問題とともに、関西生コン事件の長期勾留についてもアプローチしていくと良いだろうと提案した。
ジャーナリストの竹信三恵子さんからは、当初、本件に関し警察発表そのままの報道を行っていたメディアが、どんな「事情」を抱えていたのか説明があり、本件を刑事事件として扱うのではなく、「労働基本権の側から取材して欲しい」とユーザーの声をメディアに上げていこうと呼びかけられた。
SNS上で「関生」と検索をかけると、「反社会勢力」という言葉が目につき、デマとヘイト記事がずらりと並ぶ。ネット情報空間によって醸成されたこの空気を変えていくことが急務だ。
弾圧に立ち向かう具体的な提起がされたシンポジウムだった。
支援の輪も全国に広がり始めた。ありとあらゆる方向から、このすさまじい労働組合弾圧をはね返そう。
(大阪教育合同労働組合執行委員 大椿裕子)
『労働情報』(2020年3月)
◆ 関生弾圧 国際人権法等から反抗の糸ロ探る
「検証シンポジウム『関西生コン事件』を考える」が、2月16日、大阪・阿倍野市民学習センターで開催された(15日には東京で開催)。定員150人の会場はすぐに満席になり、70名以上の方が入れなかった。
シンポジウムでは、海渡雄一弁護士がコーディネーターを務め、3人のシンポジストがそれぞれの専門性に基づき関西生コン事件の捉え方、弾圧を跳ね返す方向性を提示した。
労働法学専門の吉田美喜夫立命館大学名誉教授は、「本来、労働争議において刑事・民事免責は当然。にもかかわらず中立を守るべき国家権力が刑罰権を行使して介入してきている」と本件の基本的な問題点を確認された。
企業別労組中心、ユニオンショップ協定の拡大、非正規労働者を組織化しない労働運動の在り方が、労働組合の組織率・ストライキの低下を招き、
原則的な労働運動を実行しているに過ぎない関西生コン支部の運動が目立つ、国家のターゲットになっていると指摘した。
シンヘボン青山学院大学教授は、国際人権法の視点から見ても本件が、「労働基本権の侵害」と「認められた人権(この場合、労働基本権)の行使を理由とする恣意的拘禁」の双方で重大な権利侵害に該当していると、参加者に新しい視点を示してくれた。
日本も批准しているILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護)にもとづく委員会の先例法理では、「労働組合活動を行ったことに対する労働組合指導者や構成員の拘禁は結社の自由の原則に反する」と確定している。
国連人権理事会内に「恣意的拘禁作業部会」があり、個人通報制度もあるので、入管に長期勾留されている外国人や精神障害者等への拘束問題とともに、関西生コン事件の長期勾留についてもアプローチしていくと良いだろうと提案した。
ジャーナリストの竹信三恵子さんからは、当初、本件に関し警察発表そのままの報道を行っていたメディアが、どんな「事情」を抱えていたのか説明があり、本件を刑事事件として扱うのではなく、「労働基本権の側から取材して欲しい」とユーザーの声をメディアに上げていこうと呼びかけられた。
SNS上で「関生」と検索をかけると、「反社会勢力」という言葉が目につき、デマとヘイト記事がずらりと並ぶ。ネット情報空間によって醸成されたこの空気を変えていくことが急務だ。
弾圧に立ち向かう具体的な提起がされたシンポジウムだった。
支援の輪も全国に広がり始めた。ありとあらゆる方向から、このすさまじい労働組合弾圧をはね返そう。
(大阪教育合同労働組合執行委員 大椿裕子)
『労働情報』(2020年3月)
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