『ほっととーく 100号』より
◆ 停職6ヶ月処分おかしいぞ
● 「処分糾弾」
2011年3月30日,東京都教育委員会は,渡辺に対し,停職6ヶ月の処分を下した。卒業式における「君が代」時の不起立に対する制裁である。
国家シンボルである「日の丸・君が代」を強制することこそが思想良心の自由を侵すものであり,許すべからざることである。まして学校教育の中で,このような国家への忠誠を誓わせる行為を子どもたちに強要することはあってはならない。
信念に基づき不服従を貫いた,この40秒間の不起立をもって,停職6ヶ月という大変に重い処分を下すなど,断じて許せない。到底納得できない。不当処分に抗議する。今後,人事委員会,裁判に申し立て争っていく。近日中に,人事委へ不服審査請求する。
人事委は都教委と一体化し,一つの公正さも保たれない機関であるが,公務員は一旦ここへ申し立てないと裁判には訴えられない。都教委・人事委の一挙手一投足を許さず見つめていることを示すために,また処分を受けた教職員一人一人の生の声を知るために,今後始まる審理への傍聴をお願いしたい。
● 「卒業式」てんまつ
3月23日は都立北特別支援校中学部の卒業式であった。18日には高等部,24日は小学部のそれであった。担任した生徒が卒業を迎えるため,高等部参列を希望したが,校長より不許可であった。
校長には2月に不起立の意志を伝え,卒業式をひかえ,職場では毎朝のように話した。3月10日勝訴報告には拍手がおきた。現職最後の発言と思うのか,よく聞いてくれた。
23日は,中1担任として式場に入った。全員座ったまま卒業生入場を迎え,「立てる方は立ってください」に続き,「国歌斉唱」となった。私の2m後方で待機していた副校長が直ちに側に来て「渡辺先生,起立してください」「起立しません」「9時▲分現認しました」と言って去った。
40秒がひたすら長い。背筋を伸ばし,終わるのを待つ。終了後,ふりむくと,都教委指導部の人間がスクールバス乗務員席に座り,私の方を凝視していた。校門の外では,朝8時から,地域や支援の人たちが20名も来てビラをまいてくれていた。様々な困難を抱えながら闘っている人たちなのに,時間を割いて駆けつけてくれたのだ。ありがたい。
都教委は当日,挨拶に1名,校門ビラまき監視2名,式場監視1名の計4名を学校に派遣,あけて24日,事情聴取をするため学校に午後2名派遣。弁護士か組合の立会いの上で応じる,と校長を通して答えると私には会わずに帰った。
そして30日,処分を決定し,同日処分発令書を持って,私の自宅にまでやってきた。留守宅の郵便受けに東京都教育委員会人事部職員課のゴム印のある封書を突っ込んで帰った。
● 今春の処分
さて,今春の卒業式では,6名が処分された。高校4名,特別支援校2名であった。処分は,私が最も重い停職6ヶ月で1名,減給6ヶ月2名,減給1ヶ月1名,戒告2名である。うち,定年退職者が4名もいた。
アイム’89東京教育労働者組合の2名も不起立だった。しかし,処分はされなかった。1名は卒業担任として堂々と座ったが,現認されなかった。1名は市教委事情聴取までされたものの,職務命令,起立命令の不確かさのため,校長注意で終わった。
区・市では,できるならば処分なぞしたくない,とさめた目で見ているのではないだろうか。
都立の学校が異様なのだ。校長も都教委職員もどこまで飼いならされていくのか。
● 大災害
東日本の地震や津波は人知の及ぼぬ大惨事であり,痛々しく言葉を失うが,結局は原発人災が永く大災害を引き起こしている。生存者の生活はおろか,不明者捜索救助,遺体収容さえ放棄されている。いざとなると原発下の住民は国家の棄民として見殺しにされてしまうことをまざまざと見せつけられた。酷い。関東軍,大日本帝国の「満州棄民」とまったく同じではないか。
ところが「こんな時だから」と人の善意を逆手にとり,国家へ強力に統合し,国・国民のために死力を尽くしてくれたと,原発労働者を賛美(「英霊」と全く同じだ),日本軍たる自衛隊の有用性神話,沖縄米軍基地必要論へ意図的に人々の感情を誘導していこうとしている。
AC広告機構のトップは東電社長なのだそうだ。内閣参与は国民統合を一段と高めるチャンスだと語っている。自民の「国旗損壊罪」,天皇震災メッセージ,天皇・皇太子・秋篠宮の慰問,がまん強い国民性賞賛,「がんばれ日本」コール。
戦時社会を見る思いだ。私たちはいつでも「日の丸・君が代」の下に命をとられてしまう存在なのだ。あの時同様,責任を棚上げさせられるのか。
● 「こんな時だからこそ」
3.26集会講演の中で荻野さんは,運動のおかげで戦前と全く同じではないと話されていた。私たちは“こんな時だからこそ”,一人一人の権利と保障,責任所在追及を大きく厳しく叫び,一人一人の自分の生を闘いとらなければならないのだ。
1984年戦後政治の総決算,1999年戦前回帰諸立法化,イラク派兵を経た今,2011年,戦時国家化へ急速化させるのか,脱原発・もう一つの世界へ向かえるのか,すべての運動の踏んばり時だ。私は「日の丸・君が代」強制はおかしいのだと,より大きな声をあげ続けたい。
「日の丸・君が代」は“終わったこと”ではなく,日々強制のレベルが強められるホットで,国家の要の攻撃であり,現在,より一層に重要な局面にあることを自覚したい。みなさん,今後も共に闘い続けましょう。(渡辺)
『ほっととーく 100号』(2011/4/23)
「良心・表現の自由を!」声をあげる市民の会
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◆ 停職6ヶ月処分おかしいぞ
渡辺厚子
● 「処分糾弾」
2011年3月30日,東京都教育委員会は,渡辺に対し,停職6ヶ月の処分を下した。卒業式における「君が代」時の不起立に対する制裁である。
国家シンボルである「日の丸・君が代」を強制することこそが思想良心の自由を侵すものであり,許すべからざることである。まして学校教育の中で,このような国家への忠誠を誓わせる行為を子どもたちに強要することはあってはならない。
信念に基づき不服従を貫いた,この40秒間の不起立をもって,停職6ヶ月という大変に重い処分を下すなど,断じて許せない。到底納得できない。不当処分に抗議する。今後,人事委員会,裁判に申し立て争っていく。近日中に,人事委へ不服審査請求する。
人事委は都教委と一体化し,一つの公正さも保たれない機関であるが,公務員は一旦ここへ申し立てないと裁判には訴えられない。都教委・人事委の一挙手一投足を許さず見つめていることを示すために,また処分を受けた教職員一人一人の生の声を知るために,今後始まる審理への傍聴をお願いしたい。
● 「卒業式」てんまつ
3月23日は都立北特別支援校中学部の卒業式であった。18日には高等部,24日は小学部のそれであった。担任した生徒が卒業を迎えるため,高等部参列を希望したが,校長より不許可であった。
校長には2月に不起立の意志を伝え,卒業式をひかえ,職場では毎朝のように話した。3月10日勝訴報告には拍手がおきた。現職最後の発言と思うのか,よく聞いてくれた。
23日は,中1担任として式場に入った。全員座ったまま卒業生入場を迎え,「立てる方は立ってください」に続き,「国歌斉唱」となった。私の2m後方で待機していた副校長が直ちに側に来て「渡辺先生,起立してください」「起立しません」「9時▲分現認しました」と言って去った。
40秒がひたすら長い。背筋を伸ばし,終わるのを待つ。終了後,ふりむくと,都教委指導部の人間がスクールバス乗務員席に座り,私の方を凝視していた。校門の外では,朝8時から,地域や支援の人たちが20名も来てビラをまいてくれていた。様々な困難を抱えながら闘っている人たちなのに,時間を割いて駆けつけてくれたのだ。ありがたい。
都教委は当日,挨拶に1名,校門ビラまき監視2名,式場監視1名の計4名を学校に派遣,あけて24日,事情聴取をするため学校に午後2名派遣。弁護士か組合の立会いの上で応じる,と校長を通して答えると私には会わずに帰った。
そして30日,処分を決定し,同日処分発令書を持って,私の自宅にまでやってきた。留守宅の郵便受けに東京都教育委員会人事部職員課のゴム印のある封書を突っ込んで帰った。
● 今春の処分
さて,今春の卒業式では,6名が処分された。高校4名,特別支援校2名であった。処分は,私が最も重い停職6ヶ月で1名,減給6ヶ月2名,減給1ヶ月1名,戒告2名である。うち,定年退職者が4名もいた。
アイム’89東京教育労働者組合の2名も不起立だった。しかし,処分はされなかった。1名は卒業担任として堂々と座ったが,現認されなかった。1名は市教委事情聴取までされたものの,職務命令,起立命令の不確かさのため,校長注意で終わった。
区・市では,できるならば処分なぞしたくない,とさめた目で見ているのではないだろうか。
都立の学校が異様なのだ。校長も都教委職員もどこまで飼いならされていくのか。
● 大災害
東日本の地震や津波は人知の及ぼぬ大惨事であり,痛々しく言葉を失うが,結局は原発人災が永く大災害を引き起こしている。生存者の生活はおろか,不明者捜索救助,遺体収容さえ放棄されている。いざとなると原発下の住民は国家の棄民として見殺しにされてしまうことをまざまざと見せつけられた。酷い。関東軍,大日本帝国の「満州棄民」とまったく同じではないか。
ところが「こんな時だから」と人の善意を逆手にとり,国家へ強力に統合し,国・国民のために死力を尽くしてくれたと,原発労働者を賛美(「英霊」と全く同じだ),日本軍たる自衛隊の有用性神話,沖縄米軍基地必要論へ意図的に人々の感情を誘導していこうとしている。
AC広告機構のトップは東電社長なのだそうだ。内閣参与は国民統合を一段と高めるチャンスだと語っている。自民の「国旗損壊罪」,天皇震災メッセージ,天皇・皇太子・秋篠宮の慰問,がまん強い国民性賞賛,「がんばれ日本」コール。
戦時社会を見る思いだ。私たちはいつでも「日の丸・君が代」の下に命をとられてしまう存在なのだ。あの時同様,責任を棚上げさせられるのか。
● 「こんな時だからこそ」
3.26集会講演の中で荻野さんは,運動のおかげで戦前と全く同じではないと話されていた。私たちは“こんな時だからこそ”,一人一人の権利と保障,責任所在追及を大きく厳しく叫び,一人一人の自分の生を闘いとらなければならないのだ。
1984年戦後政治の総決算,1999年戦前回帰諸立法化,イラク派兵を経た今,2011年,戦時国家化へ急速化させるのか,脱原発・もう一つの世界へ向かえるのか,すべての運動の踏んばり時だ。私は「日の丸・君が代」強制はおかしいのだと,より大きな声をあげ続けたい。
「日の丸・君が代」は“終わったこと”ではなく,日々強制のレベルが強められるホットで,国家の要の攻撃であり,現在,より一層に重要な局面にあることを自覚したい。みなさん,今後も共に闘い続けましょう。(渡辺)
『ほっととーく 100号』(2011/4/23)
「良心・表現の自由を!」声をあげる市民の会
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