《エデュカシオン エ リベルテ》から
◆ 新能力主義に基づく『学力』の格差固定化に抗するために
◆ 東京の小中学校の現状
品川区の小学校からの報告、特別支援校の格差・格付けの報告、都立高校の「学力スタンダード」問題、それぞれの報告の流れを追っていくと、本当に許せない事態に至っていることを改めて認識しました。
品川区では、小学校の4年生から中学3年生まで、区の学力テスト(小4中1)・都の学力テスト(小5中2)・国の学力テスト(小6中3)という形で順次学力テストが行われ、小4以上になると、生徒たちは、毎年学力テストを受けなければならない。
テスト結果の学校間での順位は公表しないといいながら、各学校のホームページに「定着度」として公表させられている。校長は順位を気にし、教員へは暗黙のプレッシャーがかかり、当然保護者への影響、生徒へのプレッシャーとなって現れる。
「生徒は、一生懸命、一生懸命受けるので、テスト中に問題が分からないと泣き出す子までいるんです」と報告したT先生も泣き出しそうな表情だったことが忘れられません。
品川の公立学校で9年間義務教育を受けたら、追いつめられた子どもたちはどうなってしまうのだろうか。大きな不安感を持ちました。
◆ 特別支援学校では
そして、今、特別支援校でも、大変なことが起こっていました。
義務教育期間中に、何らかの理由で排除された子どもたちが特別支援校に集まってきているのです。
少子化にもかかわらず、生徒数が増加し、教室が足りずに、廊下や玄関を仕切って教室を増やしているという最悪の環境。
そんな状況の中で、知的障害が軽度の生徒を就労させ納税者となれるように教育するという目的の職業学科(就業技術科)なるものが、特別支援校につくられだした(永福学園・青峰学園・南大沢学園・志村学園)。
そして、知的障害をも軽度・中度・重度に分けて、それぞれに適した企業就労を目指した教育を行うという構想が出来上がっている。人をランク付けることしか考えない教育行政のステレオタイプの頭には驚かされます。
◆ 都立高校の学力スタンダード構想とは
都立高校では、このステレオタイプ頭が考えた「学カスタンダード」構想が進行しています。
普通の普通校を、上(発展〉・中(応用)・下(基礎)の3段階にランク付け、各学校に自校のランクを設定させて、それぞれのランクで統一学力テストを行い、学力の定着度を測って点検して、公表させ、学校ごと管理職・教員・生徒を締め上げようというものです。
3つのランク付けをした統一テストは、都教委が作成するものなのですが、実際には企業に発注されている(今年はベネッセコーポレーション)。
そして、この上・中・下のランク付けから、進学指導重点校・中高一貫校・夜間定時制高校は、すでに除外されています。
これまでも、入試における偏差値ランクは取り沙汰されていたものの、公には、一般の普通校とされていた普通高校を、公式に3つにランク付けて、教育内容が違うと公言しているのです。こんな暴挙がスムーズに進行していくことに驚愕するばかりです。
◆ その中で生徒と教員は
こんな一連のシステムの中にたたき込まれれば、生徒たちは自分の能力を見くびり、自分に嫌気が差し、自分の未来を簡単に諦めてしまう。すでに、そのような事態は進行しています。
品川区や大田区の生徒たちが多く通っている0高校の教員は、以下のような発言をしました。
「生徒たちに変化が起こっています。赤点を取った生徒たちが、すぐに進級を諦めてしまい、補習にも来ない、追試も受けない、何の努力をしようともせず、『もういい、退学する』と言って学校を去っていってしまう。以前には、こんな事はなかつたのに」
このようなシステムの中で、生徒も教員も、抵抗する術を失っています。
市川須美子教授は、「生徒は、学カテストを拒否する権利を持っていることを明らかにすべきです。小学校低学年の場合は、保護者がその権利を代行することになりますが」と助言しました。
この権利を教員が個別に生徒に伝えたら、学力テストのクラス平均点を上げるために、できない生徒を休ませた教員の不正に繋がる発言と取られるかも知れません。
一斉学力テストのために、学校が丸ごと疲弊し、生徒たちが正常に育つ権利を奪われていく現状を明らかにしながら、生徒が自分の幸せを求めて学ぶ権利を奪う一斉学力テストを拒否する権利を明らかにしていくべきだと思いました。(片山むぎほ)
『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース 第35号』(2014年4月26日)
◆ 新能力主義に基づく『学力』の格差固定化に抗するために
◆ 東京の小中学校の現状
品川区の小学校からの報告、特別支援校の格差・格付けの報告、都立高校の「学力スタンダード」問題、それぞれの報告の流れを追っていくと、本当に許せない事態に至っていることを改めて認識しました。
品川区では、小学校の4年生から中学3年生まで、区の学力テスト(小4中1)・都の学力テスト(小5中2)・国の学力テスト(小6中3)という形で順次学力テストが行われ、小4以上になると、生徒たちは、毎年学力テストを受けなければならない。
テスト結果の学校間での順位は公表しないといいながら、各学校のホームページに「定着度」として公表させられている。校長は順位を気にし、教員へは暗黙のプレッシャーがかかり、当然保護者への影響、生徒へのプレッシャーとなって現れる。
「生徒は、一生懸命、一生懸命受けるので、テスト中に問題が分からないと泣き出す子までいるんです」と報告したT先生も泣き出しそうな表情だったことが忘れられません。
品川の公立学校で9年間義務教育を受けたら、追いつめられた子どもたちはどうなってしまうのだろうか。大きな不安感を持ちました。
◆ 特別支援学校では
そして、今、特別支援校でも、大変なことが起こっていました。
義務教育期間中に、何らかの理由で排除された子どもたちが特別支援校に集まってきているのです。
少子化にもかかわらず、生徒数が増加し、教室が足りずに、廊下や玄関を仕切って教室を増やしているという最悪の環境。
そんな状況の中で、知的障害が軽度の生徒を就労させ納税者となれるように教育するという目的の職業学科(就業技術科)なるものが、特別支援校につくられだした(永福学園・青峰学園・南大沢学園・志村学園)。
そして、知的障害をも軽度・中度・重度に分けて、それぞれに適した企業就労を目指した教育を行うという構想が出来上がっている。人をランク付けることしか考えない教育行政のステレオタイプの頭には驚かされます。
◆ 都立高校の学力スタンダード構想とは
都立高校では、このステレオタイプ頭が考えた「学カスタンダード」構想が進行しています。
普通の普通校を、上(発展〉・中(応用)・下(基礎)の3段階にランク付け、各学校に自校のランクを設定させて、それぞれのランクで統一学力テストを行い、学力の定着度を測って点検して、公表させ、学校ごと管理職・教員・生徒を締め上げようというものです。
3つのランク付けをした統一テストは、都教委が作成するものなのですが、実際には企業に発注されている(今年はベネッセコーポレーション)。
そして、この上・中・下のランク付けから、進学指導重点校・中高一貫校・夜間定時制高校は、すでに除外されています。
これまでも、入試における偏差値ランクは取り沙汰されていたものの、公には、一般の普通校とされていた普通高校を、公式に3つにランク付けて、教育内容が違うと公言しているのです。こんな暴挙がスムーズに進行していくことに驚愕するばかりです。
◆ その中で生徒と教員は
こんな一連のシステムの中にたたき込まれれば、生徒たちは自分の能力を見くびり、自分に嫌気が差し、自分の未来を簡単に諦めてしまう。すでに、そのような事態は進行しています。
品川区や大田区の生徒たちが多く通っている0高校の教員は、以下のような発言をしました。
「生徒たちに変化が起こっています。赤点を取った生徒たちが、すぐに進級を諦めてしまい、補習にも来ない、追試も受けない、何の努力をしようともせず、『もういい、退学する』と言って学校を去っていってしまう。以前には、こんな事はなかつたのに」
このようなシステムの中で、生徒も教員も、抵抗する術を失っています。
市川須美子教授は、「生徒は、学カテストを拒否する権利を持っていることを明らかにすべきです。小学校低学年の場合は、保護者がその権利を代行することになりますが」と助言しました。
この権利を教員が個別に生徒に伝えたら、学力テストのクラス平均点を上げるために、できない生徒を休ませた教員の不正に繋がる発言と取られるかも知れません。
一斉学力テストのために、学校が丸ごと疲弊し、生徒たちが正常に育つ権利を奪われていく現状を明らかにしながら、生徒が自分の幸せを求めて学ぶ権利を奪う一斉学力テストを拒否する権利を明らかにしていくべきだと思いました。(片山むぎほ)
『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース 第35号』(2014年4月26日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます