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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

もっと学校に予算を

2007年04月24日 | 平和憲法
 ★学校再生 ☆教師に聞け!
 もっと学校に予算を!


 公立学校には「限られた予算内で学力を上げろ」という厳しい要求が突きつけられている。だが、先進国の中で日本の教育費の国内総生産(GDP)比は最下位だ。日々、現場の節約に加え、教員にも経済的負担がのしかかる。


 東京都西部のある公立中学校。教室の壁の穴はベニヤ板で補修、廊下と教室を仕切るガラスのヒビ割れには粘着テープ、トイレのドアは壊れっぱなしだ。
 副校長は「校長が教育委員会に頼んでも修繕費が出ない。放置すれば校舎は荒れ、生徒の心もすさむ。精神の安定は勉学に集中するための大前提なのに」と話す。

 教育予算は自治体間の差が激しい。各学校に配分される修繕費も都内で年十数万-約二百万円と幅がある。全教員にパソコンが行き渡った自治体もあれば、副校長にすらない自治体もある。

 都内の別の中学校副校長は「全館冷房の前任校では、二週間の夏季補習に八割の子が参加した。環境さえ整えば生徒は来る。人を頼んできめ細かい指導をするにもお金は必要」と訴える。

 ● プール・調理実習も節約優先

 神奈川県の公立小教員は「光熱費節約のため調理実習を一学年合同で行う。学年によって必要な水位が違うプール指導も、水道代節約のため水位調節が最小限で済むよう全学年の時間割が水道代で決まる」と学校を挙げての倹約ぶりを語る。

 飼育していたウサギが病気になり「病院に連れて行く」と言う飼育委員の児童に、教頭が「そんなお金はない」と答えて問題になった話を例に挙げ「『私たちのこともそう見てるんでしょ』と子どもたちに見切られても仕方がない」と嘆く。

 教員の給与は「夏休みなど長期休暇がある割にいい」と思われがちだ。教育水準維持のため一九七四年に施行された人材確保法により、教育公務員は行政職に比べ給与が2・76%高い。だが、行政職には出る超勤手当はなく、休日の部活指導手当も一日千二百-千七百円。東京都は同法によるこの優遇分の削減も検討している。

 逆に教員個人も負担を迫られるケースがある。都内の公立小教員は「卒業壁画制作のペンキ、理科実験の塩、ポリ袋、メダカ、教室で飼う金魚のエサやポンプなど、自己負担は日常茶飯事」と言う。学芸会の小道具を求めて百円ショップをはしごした教員もいる。

 バレー部顧問の中学教員は「部員への差し入れや急な通院時の送迎など、年十万円以上は自腹を切る」と話す。備品購入などの手続きは二週間前までに申請書の提出が必要で、「業務に忙しく書類を書く暇がない」のが実情のようだ。

 ● 国庫負担減り、窮状に拍車

 文部科学省によると、学校教育費は九六年度をピークに減少傾向が続く。経済協力開発機構(OECD)の調査では、二〇〇三年の公的教育支出のGDP比は二十九カ国中、日本はトルコと並び3・7%で最下位だった。

 小泉政権の三位一体改革で、〇六年度から公立小中学校の教員給与の国庫負担が二分の一から三分の一に減り、減額分八千五百億円は一般財源として地方自治体に移譲された。財政が苦しい自治体では、教員給与の削減、部活指導手当の廃止を始めたところもある。当初から自治体負担の学校運営費、光熱費、営繕費などは真っ先に削減対象になった。

 「金はかけない、やる気は出せ-では人材も集まらない。影響は子どもに返ってくる」と冒頭の副校長は危ぶむ。

 教育予算は自治体の首長が決める。教育方針を決める教委委員の任命権も首長。そして予算案も同委員の人事案も承認するのは議会だ。明日、統一地方選挙の投票日を迎える。 (井上圭子)

『東京新聞』(2007年4月21日朝刊【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2007042102010445.html

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