◇ 「ウォール街を占拠せよ」運動
若者と労働者が立ち上がる
◆ “1%が総資産の38%所有”に怒る
9月17日に、若者を中心とした数百人の、「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)という呼び掛けに応じて、ニューヨーク市のウォール街の近くにある「ズコッティ公園」に集合しました。
長い間に広がる格差に対する不満と少しも反省していない金融界に対する怒りが、この占拠運動の動機に結び付いています。
最初は人数が比較的少なく、マスコミにも完全に無視されて、徐々に消えてしまいそうだったのですが、参加者が粘り強く講演の占拠を続けました。そして参加者の数を大きく増やしたのはニューヨーク市警の愚かな過剰反応でした。とくに、無抵抗の若い女性たちに唐辛子スプレーを浴びせたシーンの映像がユーチューブで急速に広がって、占拠者に対する共感が高まりました。あっという間に、ニューヨークに限らず、全国の運動までに拡大したのです。
しかも、交通労働者を始め、主要労働組合も運動を支持することになりました。
◆ エジプトに学ぷ
普通のデモと違って、ある街を無期限に「占拠」するアイディアは、タハリール広場の占拠から出発したエジプトの偉大な社会変革の例から生まれました。
エジプト人から学んだもう一つは、警察の暴力的な挑発に落ち着いて対応することの大切さです。
2月からのウィスコンシン州公務員労働者の闘いも、このエジプト人から得た知恵が見られました。
長い間に、民主主義について中東地域の国々に説教するアメリカ(政府)が、逆にその国々の労働者から民主主義の基本を学ばされたことは、すばらしい「歴史の皮肉」ではないかと思います。
◆ 民主主義を重視
ウォール街の占拠者が民主主義を強く重視するのは、彼らのキャッチフレーズである、「私たちは99%!」にも反映されています。
つまり、アメリカの政治は、人口の圧倒的な大多数の意思を代表すべきなのに、現状では、わずかな少数派がほとんどの富を所有する一方、その残りの普通の人々の生活は苦しくなっています。
2001年の時点で、アメリカで人口の1%が総資産の38%を所有しています。失業者は9%を超えています。
その一人は、ニューヨークの現市長マイケル・ブルームバーグのケースです。フォーブス誌によると2010年世界長者番付で、彼は23位にランクされています。この大富豪は、その「99%」の気持ちと経験を理解したり、彼らの意思を代表できるはずはないのです。
社会の大部分を占めるアメリカの多くの労働者は今までに、自らの無力を感じました心ウォール街を占拠する運動の大きな貢献は、やはり、立ち上がって統一すれば、社会を変革できるぞ、という希望を大勢の人に与えたことです。絶望的なムードのなかで、展望をもたらしたのです。
◆ 大きく揺るがす
占拠運動の一カ月で、すでに多くの教訓を得ました。何よりも、アメリカの労働者に自らの強い潜在力を自覚させたのです。マスコミに無視されても、インターネットなどを利用して運動を切り開くことが十分にできることも明らかになりました。
しかも、民主党が動くまでに待つことの無意味さも意識するようになりました。社会を変革したいなら、自分の力でやるしかないのです。
リベラル派の解説者の間では、「ウォール街を占拠せよ」が、ある意味で民主党の「ティーパーティー」の役割になり、オバマの再選の勝利に貢献できると期待しているようです。
その可能性を完全に否定できないのですが、今の運動は逆に民主党の中途半端さと優柔不断さを暴露するポテンシャル(可能性)も十分あります。
民主党にとって何よりも怖いのは、4年前にオバマ候補を支持した若者と労働者が民主党から離れて、独自の社会運動を切り開くことです。
今から、全国の「占拠運動」が、人数的だけではなく思想的に、どこまで成長するかは、非常に予想し難いものがあります。しかし、たったーカ月で、この運動がすでにアメリカの現状を大きく揺るがし、新しい可能性を切り開いています。
(在日アメリカ人ジョン・ネルソン)
『週刊新社会』(2011/10/18)
若者と労働者が立ち上がる
◆ “1%が総資産の38%所有”に怒る
9月17日に、若者を中心とした数百人の、「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)という呼び掛けに応じて、ニューヨーク市のウォール街の近くにある「ズコッティ公園」に集合しました。
長い間に広がる格差に対する不満と少しも反省していない金融界に対する怒りが、この占拠運動の動機に結び付いています。
最初は人数が比較的少なく、マスコミにも完全に無視されて、徐々に消えてしまいそうだったのですが、参加者が粘り強く講演の占拠を続けました。そして参加者の数を大きく増やしたのはニューヨーク市警の愚かな過剰反応でした。とくに、無抵抗の若い女性たちに唐辛子スプレーを浴びせたシーンの映像がユーチューブで急速に広がって、占拠者に対する共感が高まりました。あっという間に、ニューヨークに限らず、全国の運動までに拡大したのです。
しかも、交通労働者を始め、主要労働組合も運動を支持することになりました。
◆ エジプトに学ぷ
普通のデモと違って、ある街を無期限に「占拠」するアイディアは、タハリール広場の占拠から出発したエジプトの偉大な社会変革の例から生まれました。
エジプト人から学んだもう一つは、警察の暴力的な挑発に落ち着いて対応することの大切さです。
2月からのウィスコンシン州公務員労働者の闘いも、このエジプト人から得た知恵が見られました。
長い間に、民主主義について中東地域の国々に説教するアメリカ(政府)が、逆にその国々の労働者から民主主義の基本を学ばされたことは、すばらしい「歴史の皮肉」ではないかと思います。
◆ 民主主義を重視
ウォール街の占拠者が民主主義を強く重視するのは、彼らのキャッチフレーズである、「私たちは99%!」にも反映されています。
つまり、アメリカの政治は、人口の圧倒的な大多数の意思を代表すべきなのに、現状では、わずかな少数派がほとんどの富を所有する一方、その残りの普通の人々の生活は苦しくなっています。
2001年の時点で、アメリカで人口の1%が総資産の38%を所有しています。失業者は9%を超えています。
その一人は、ニューヨークの現市長マイケル・ブルームバーグのケースです。フォーブス誌によると2010年世界長者番付で、彼は23位にランクされています。この大富豪は、その「99%」の気持ちと経験を理解したり、彼らの意思を代表できるはずはないのです。
社会の大部分を占めるアメリカの多くの労働者は今までに、自らの無力を感じました心ウォール街を占拠する運動の大きな貢献は、やはり、立ち上がって統一すれば、社会を変革できるぞ、という希望を大勢の人に与えたことです。絶望的なムードのなかで、展望をもたらしたのです。
◆ 大きく揺るがす
占拠運動の一カ月で、すでに多くの教訓を得ました。何よりも、アメリカの労働者に自らの強い潜在力を自覚させたのです。マスコミに無視されても、インターネットなどを利用して運動を切り開くことが十分にできることも明らかになりました。
しかも、民主党が動くまでに待つことの無意味さも意識するようになりました。社会を変革したいなら、自分の力でやるしかないのです。
リベラル派の解説者の間では、「ウォール街を占拠せよ」が、ある意味で民主党の「ティーパーティー」の役割になり、オバマの再選の勝利に貢献できると期待しているようです。
その可能性を完全に否定できないのですが、今の運動は逆に民主党の中途半端さと優柔不断さを暴露するポテンシャル(可能性)も十分あります。
民主党にとって何よりも怖いのは、4年前にオバマ候補を支持した若者と労働者が民主党から離れて、独自の社会運動を切り開くことです。
今から、全国の「占拠運動」が、人数的だけではなく思想的に、どこまで成長するかは、非常に予想し難いものがあります。しかし、たったーカ月で、この運動がすでにアメリカの現状を大きく揺るがし、新しい可能性を切り開いています。
(在日アメリカ人ジョン・ネルソン)
『週刊新社会』(2011/10/18)
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