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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

板橋高校藤田裁判第四回公判(6/21)速報

2005年06月22日 | 板橋高校卒業式
自らの証拠と証人でこける検察~弁護団圧倒、検察を追いつめる

1,傍聴券を待つ行列~今回も先着順

幸い雨の予報は外れ、薄日の差す風の強い一日。傍聴券を待つ行列は今日も長く連なり、延べ百名を超える傍聴者が駆けつけて、傍聴席はほぼ満席となった。そして前回澤藤弁護士が予告した如くまさしく「山場」の攻防が繰り広げられた。

2,争点

検察側申請の証拠に、卒業式の全模様を録音したという「ICレコーダの記録」がある。「威力業務妨害」があったという、客観的・物理的証拠となるはずのもの。録音したのは鯨岡指導主事。証拠として預かったのが加治司法警察員。(ビデオの記録は、板橋高校職員撮影のものには、卒業式本体の感動的な様子は撮影されているものの、開式前のやりとりはなく、TBS報道特集は編集されているので全体像は分からない。)
ところが、デジタルデータは、容易に「編集」できるので、それが行われたかもしれない。もう一つは、録音は「個人」の裁量か、都教委の組織的指示かの疑惑。この辺を、書面化された「ICレコーダ解析表」をもとに、証人尋問が繰り広げられた。
最大の疑問は、検察から提出された、ICレコーダには「板橋高校の卒業式」の録音しかないはずだった。(「資料入手報告書」には、B・Cフォルダにはデータはないと明記)
ところが、Bフォルダには3/16杉並高校卒業式の様子が、Cフォルダには3/16都議会質疑(土屋vs横山)が録音されていることが、偶然のきっかけから分かってしまった。客観的なはずのデータの明白な虚偽、この矛盾から、①「資料入手報告書」の不実記載と、②ICレコーダが組織的に使われていた疑惑、さらに③高度な技術によるデータ改ざんの疑惑が生じる。その解明が、今回の証人尋問の焦点となった。

3,午前の証人尋問(対鯨岡指導主事)

(1)加藤弁護人による追加反対尋問
Q:<藤田・校長・教頭の写っている写真を示し>藤田氏は、手に何か持っているか。
A:持っていない。
Q:藤田氏に最初に近づいたのは誰か。
A:配布されたコピーを読んでいたので、気がつかなかった。
Q:誰の声が最初に聞こえたか。
A:藤田氏の演説と、教頭の止めに入る言葉を聞いた。
Q:教頭の声は、大きかったか。
A:かなり大きかった。
Q:「解析表」には、その言葉はない。
A:解析表は逐語訳のようなものではない。文字化されていないが、音として記憶にある。
Q:ICレコーダでは、聞き取れない。
A:教頭がかなり大声で注意したのは聴いている。

(2)小沢弁護人による反対尋問
Q:控え室から会場に向かう時の記録で、足音が聞こえる。
A:渡り廊下ではよくひびき、コンクリの通路ではあまり聞こえない。
Q:藤田氏が保護者席に訴え始めた直後に、20歩ほどの足音が聞こえる。
A:私が近づいていったのは、もっと後のことと思う。
Q:藤田氏が保護者席に向かって訴えている時、「椅子の数が14で1つ違う」などの会話をしたか。
A:したかもしれない。
Q:コピー配布を、教頭が制止するのを見ていたか。
A:見ていない。
Q:藤田氏が、会場出入り口まで押し出されそうになった時、「おとなしくしている」条件で一旦来賓席に向かう。その時、鯨岡氏が藤田氏について行かなかったわけは。
A:特に理由はない。

(3)大山弁護人による反対尋問
Q:3/30に、加治司法警察員から事情聴取を受けた時間は。
A:はっきり覚えていないが、10~15分と言うことはなかった。
Q:同席した人は。
A:私一人。警察は2名のこともあった。
Q:B・Cフォルダについて何か説明したか。
A:語っていない。
Q:杉並高校の卒業式に出席したか。指導主事は何人参列したか。
A:出席した。4人参加した。
Q:他の名前は。         A:覚えていない。
Q:座った座席は。        A:保護者席、ではなく教職員の後ろの方。
Q:録音開始時間は。開式の時刻は。 A:いずれも覚えていない。
Q:開式は、10:04~05頃ではなかったか。
A:記憶にない。

(4)只野弁護人による反対尋問
Q:自分で保存しているデータがあるか。
A:ICレコーダからパソコンに落としたものを持っている。それをCD-Rに焼いた。
Q:それを誰かに渡したか。
A:他の指導主事に聴かせたこともない。

(5)左陪審(杉山正明裁判官)からの質問
Q:教頭の制止の声は。        A:相当大きい。
Q:ICレコーダでは聞き取れるか。 A:はい。
鯨岡証人に対する尋問終了。

[昼食休憩]11:50~13:30

4,午後の証人尋問(加治俊之司法警察員)
(1)検察(鈴木祐治)による主尋問

 3/30に鯨岡氏がICレコーダの記録を持っていることを知り、4/5に任意提出を受けた。最初はCD-Rでもらう予定が、焼き方が分からなかったので、ICレコーダ本体一式を受け取った。板橋高校卒業式以外の録音の件は、買ったばかりの「あああ」などのテスト録音以外はしていないと言っていた。
 本体の記録が消失するのを警戒し、自分のパソコンに転送し、それをCD-Rに焼いて分析を行った。転送の際、Aフォルダだけ自動的に生きることを知らずに、B・C・Dフォルダはデータが無いものと思い込んだ。
 結果として「資料入手報告書」に、誤った記載をしたと言われても仕方がない。

(2)弁護(大山・只野)による反対尋問
 加治証人の所属する「警視庁公安部公安二課」とは、刑事犯罪の取り締まり・警備情報の収集をする部署。3/26の板橋高校職員に対する事情聴取は、6~7名が出向き、所轄板橋警察署の4~5名より多い。供述調書はすべて、公安二課があたっている。卒業式に、公安二課が関わった経験は初めて。
 3/30の鯨岡事情聴取は、都庁で、3時間前後行った。4/5のICレコーダ提供の折にも、同じくらいの時間を費やした。その時、鯨岡氏が休暇を取ったかは分からない。
 ICレコーダの保管は、4/7に、板橋警察署に。必要な時は借り出した。CD-Rも同じ場所に保管。他の誰にも複写を渡していない。
 分析の作業は、すべて一人で行った。パソコン操作は、署内では上手な方。科学捜査研究所などには一切依頼していない。アプリケーションソフトを使うと、音量を自在に変えることが出来ることは知らなかった。
 「資料入手報告書」の記載は、今となってみれば誤っていた。
 「ICレコーダ解析表」は4/22に提出しているが、その前に鯨岡氏と丸一日くらいかけて分析している。
 1/18に改めて「ICレコーダ解析表」を出しているのは、検察からの依頼で、映像的なものを加えて作ってほしいと言われたから。4/22と1/18で、多数の食い違いがあるのは、写真等を入れたため配置がずれたので、意図的に変えたわけではない。
 TBSの報道特集は、ビデオを不明の誰かから提供を受け、参考にした。
 鯨岡氏以外に、卒業式の模様を聞いた者があるかどうかについては、今後に影響するので答えは控えたい。土屋都議からの事情聴取には同席した。土屋都議が「何やっているんだ」「この男を排除せよ」といったことは、記憶にある。(ICレコーダには実はない)
 時間の特定は、鯨岡氏の腕時計を見てのcallに基づいているが、7回のcallのどれを基準にしたというわけではない。終了後の11:15のcallを基準に逆算すれば、録音開始は9:34になり、調書にもその時間が記載されているが、「ICレコーダ解析表」で9:37となっているわけについては説明できない。

※検察側の証拠から、自滅的なほころびがボロボロ出てきている。弁護側は労せずして有利な立証が展開できている。ここまで鋭く敵を追い込んでいる弁護団の努力に敬意を表したい。


5,次回(7/19火10:00~地裁425法廷)では、

ICレコーダの、A・B・Cフォルダの全データを聴くことになった。
A(板橋高校卒業式3/11)では、都教委に都合の良い改ざんが明るみにでるかどうか、
B(杉並高校卒業式3/16)では、検察は「被告人が出ない卒業式が正常に行われた様子を立証する証拠」と言うが、板橋高校の卒業式も正常に行われており、むしろ「開式の数分遅れ」が都立高では珍しくないことの立証になることがの方が重要。
既に、争点の重要な部分は出そろってきていると思われる。

(刑事裁判は、法廷ドラマを見ているような、独特の面白さがある。反対尋問が壺に嵌った時は、証人が太々しい程、どんでん返しの快感が。これからも…)
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