パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

先進国随一の自殺大国

2010年05月23日 | 格差社会
 ◎ 生きにくい社会
鎌田慧(ルポライター)

 三万二千八百四十五人ー。昨年一年間の自殺者の数である。
 三万人という数字は、もう十二年間もつづいていて、日本人の常識となっている。
 通算すると四十万人以上、戦争状態である。
 原因はいつも健康問題が第一位を占め、経済・生活問題がそれにつづいている。
 が、病気が将来の不安にのし掛かっているだろうから、七割以上のひとたちが、生活不安から自殺したことになる。
 その数は前年よりも増え、歯止めがかかっていない。不況が長引いているだけではない。弱者を救う手だてがたてられていないからだ。
 わたしは、いじめられて自殺した小中学生を十数家族、夫や子どもに「過労自殺」された遺族をやはり十数家族、かつて取材して本を書いたことかあるのだが、その気配を感じられなかった、と遺族たちは嘆き、自分を苛んでいた。
 いじめは学校がキチンと対応するとか、過労自殺なら労働組合が職場を点検するとかすれば、かなり防ぐことができる。
 が、健康や経済生活の不安は、構造的な社会問題でもあるから、家族が気をつけるぐらいでは解決できない。生活上の不安を解消するのは、政府の重要な役割でもある。
 日本は先進国随一の自殺大国だが、さらに二十代、三十代にも増えている。
 この希望なき社会の原因は、雇用の不安定だ。企業の責任が問われている。
 『東京新聞』(2010/5/18【本音のコラム】)

 ●『いじめ自殺―12人の親の証言』(岩波現代文庫) (2007/2) 鎌田 慧
 ●『家族が自殺に追い込まれるとき』(講談社文庫) (2002/8) 鎌田 慧

コメント    この記事についてブログを書く
« 消防職員の団結権 | トップ | 日本教育法学会 公開シンポジ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事