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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

16%まで増えた非正規教員

2012年07月08日 | こども危機
  『東京新聞』<はたらく>
 ◆ 不安定な非正規教員に反響 教育の質に関わる悩みも


 6月15日の本欄で公立学校で働く非正規教員の不安定な生活実態を取り上げたところ、同じような立場の人たちから多くの反響が寄せられた。臨時教員や非常勤講師が置かれている状況は、同じ働き方で待遇が悪いという問題だけでなく、継続的な教育の提供や、研修による資質向上に支障が出るといった、教育の質に関わる問題がある。 (稲田雅文)

 声1 小学校特別支援学級の担任です。現在五十代半ば。ずっと任用試験を受けてきて「年齢差別」が身に迫る思いです。残り四、五年だけでも正規教員として一つの学校に腰を据え、子どもとじっくり向き合いたい。一年目と二年目では教育実践のダイナミックさが全く違います。=東海地方、女性
 声2 臨時教員で勤めて二十二年目で正規教員に採用され、現在二年目です。臨時教員時代は年収百万円ほどで、貯金を崩し生活していました。安心して仕事ができれば、子どもへの支援もより良くなります。一年間の子どもとの付き合いでは分からないことも、複数年いたら理解し、支援できます。この環境を改善してほしいです。=東海地方、四十代男性
 声3 小学校の臨時教員として働いていました。今年四月に五十代半ばで雇い止めとなり、現在はパートの学習サポーターとして、時給八百円で働いています。若い人も大切ですが、何年も働いている人の立場も守ってもらいたい。いろいろな働き方を認めてほしい。=北陸地方、女性
 声4 高校の非常勤講師です。責任を持って仕事をしていますし、資質や力量も必要。どれだけ勤めても教職経験として認められず、納得がいきません。公の分野が働く場を奪い、希望を持てない人をつくりあげていく。強く矛盾を感じます。=東海地方、三十代男性
 ◆ 「じっくり子と向き合いたい」

 「無給の夏休みはアルバイトをする。不安だ」「毎年一月ごろになると(翌年度も採用されるかどうか)心配で夢を見ることが増える」-。
 寄せられた手紙で、臨時教員たちは自らの不安定な生活をこのように記しながら、声1や声2のように、子どもたちとの付き合いが短期間に限られ、腰を据えた教育ができないもどかしさを訴える。
 文部科学省によると公立小中学校の正規教員数五十八万七千人に対し、非正規教員は十一万二千人で、全体の16%を占める(二〇一一年五月一日現在)=グラフ。
 内訳を見ると、一、二年程度の期限付きでフルタイムで働き、学級担任にも就く臨時的任用教員(常勤講師)が六万二千人、決まった授業だけに来て時給が支払われる非常勤講師が五万人。
 〇五年以降、正規教員が九千六百人減った半面、非正規教員は二万八千人増加財政難で地方自治体が定員削減計画を進めた一方で、少人数学級や習熟度別授業など、教育の充実を図ってきたことが背景にある。
 「労働者の問題だけでなく、不安定な教育を子どもが強いられていることが問題だ」と話すのは、「臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会」の山口正会長。
 一学期だけ学級担任をするといったケースも多く、正規教員が受ける研修も臨時教員は受けられない。
 臨時教員をめぐるもう一つの問題が、声3や声4のように、臨時教員で経験を積んでも採用では経験として認められていないことだ。山口さんは「今の採用試験は筆記重視。教員としての職務能力を適正に判断する選考基準がない」と批判。加えて臨時教員の割合を低くしていくよう求めている。
 文科省も、非正規の教員の割合が大きくなっていることを問題視。学校運営や教育内容の質の維持・向上の面で問題だとして、六月に開いた有識者会議で、計画的な教職員定数の改善を検討する方針を示している。
『東京新聞』(2012年7月6日【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2012070602000123.html
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