パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「実教出版教科書裁判」公開メール

2014年06月08日 | 暴走する都教委
 ◆ 教科書採択をめぐる都教委と文科省のやりとりメール
 「実教出版教科書裁判」第1回口頭弁論後の記者会見で、原告側から興味深いメールが公開された。学校採択に先立って、都教委が文科省に特定教科書を排除することの問題点の問い合わせをしていたのである。日付は、昨年6月10日付。実教日本史教科書の不採択を校長に通知した「6.27都教委見解」(リンク)の直前である。
 同年8月の全国学習交流集会文科省交渉における同じ岩岡寛人係長の回答(リンク)と併せて読むと、a,採択権限について、b,採択手続について、c,採択理由について、文科省対都教委間の微妙な距離が垣間見えてくる。
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 ■ 都教委の問い合わせに文科省が回答したメール
 【回答】ご質問の件について
岩岡寛人(文部科学省初等中等教育局 教科書課企画係長)


 東京都教育庁 指導部管理課 高木課長

 いつもお世話になっております。
 ご質問の件、先ほどお電話にて回答いたしました通りですが、ご要望がありましたので、メールでも回答いたします。
 (ご質問)
 ①目録に載っている教科書について、学校による選定前に絞り込んで排除することに問題ないか。
 ②不採択を採択前に決定することは可能か。
 ③正式な採択をするのは、8/21を予定しているが、事前に一部を不採択とすることは二重の採択にあたらないか
 (回答)
 ①及び②について

 教科書の採択は、十分な調査研究に基づいて、採択権者の判断と責任により、適正かつ公正に行っていただく必要がある。
 採択権者である教育委員会の判断により、学校による調査研究に先立って、教育委員会が一部の教科書の不採択を決定し、調査研究の対象から特定の発行者の教科書を除外することは、法令上禁止されるものではないが、十分な調査研究による合理的な理由を備えた上でご判断いただく必要があると考ている。
 なお、一般的に高等学校用教科書の採択の調査研究は、通常教育委員会における調査研究と学校による選定のための調査研究の両方を行っているものと考えられる。
 これは、高等学校は学校単位で教科書の採択が可能であることと、高等学校は学校種も様々であり、生徒の実態も学校毎に異なることから、各学校の調査研究も採択の判断材料として重要であることから行われているものである。
 学校による調査研究に先立って教育委員会が一部の教科書の不採択を決定し、調査研究の対象から特定の発行者の教科書を除外した場合、高等学校の性質を踏まえた教科書の十分な調査研究が行われていないのではないかという観点からの指摘が予測されるため、こうした指摘にはきちんと説明責任を果たしていただく必要がある。
 ③について
 教科書の採択とは、翌年度に使用する教科書を決定する行政行為を指すため、一部の教科書を採択しない方針を示すことは採択に当たらず、二重の採択に当たることはない。
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 ■ 全国学習交流集会文科省交渉記録から
※文科省交渉(2013/8/26)の記録<5/6>(パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2)
http://wind.ap.teacup.com/people/8152.html
 (2)東京都教育委員会の教科書採択介入に関して
 ① 当該教科書中の「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という記述は、事実か事実に反しているか。
 ② 最高裁判決で「職務命令」が合憲と認められたとあるが、命令とは「強制」にあたらないとする解釈は適正か。
 回答(岩岡) ①②合わせて回答する。国旗掲揚及び国歌斉唱については、『学習指導要領』に基づいて、教育委員会、学校において適切に指導すべきもので、教職員に対して権限のある校長が職務命令出した場合、それに従うべきものである。こうした権限のあるものによる職務命令は当然一定の強制性がある。我々も上司から、何かの資料をつくりなさい、会議に出席しなさい、と言われたら当然それは、強制性がある。こうした事例について、強制という表現を使用することは、必ずしも誤りでない、ということから、検定では、許容されたということである。
 命令は強制当たらないとする東京都の立場が適正かに関しては、我が国においては、検定で合格した複数の図書の中からどれが最も都道府県またその自治体の実情に添っているか採択するのを自治体に委ねている制度なので、検定合格した教科書の個々の記述を採択に当たってどう評価するか、ということは採択権者の判断なのので、コメントを控えさせていただく。
 Q(東京A2): 実教出版の教科書は、文科省が定めている高等学校教科用図書検定基準に違反している部分はない、というふうに確認していいか、イエスかノーかで答えられたい。
 A(岩岡): 実教の教科書について、検定に合格した、検定基準に照らせば問題のない記述であると考えている。
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 a,採択権限については、一応一致している。
  採択権限は、教育委員会にあるという、これはお決まりの公式見解。

 b,採択手続について、やや距離感を感じる。
  岩岡氏は、抽象的表現ではあるが「十分な調査研究」による「合理的な理由」が必要としている。
  そして、高校は学校種も様々で生徒の実態も学校毎に異なるから、「各学校の調査研究」も採択の判断材料として重要であるとしている。
  それに対し都教委は、「各学校の調査研究」を尊重するどころか強引に書き換えさせているし、「合理的説明」で地域住民を納得させることに成功しているとは思えない。裁判まで起こされてしまっているのだから。
 c,不採択理由である記述内容については、完全に食い違っている。
 都教委が問題にする「一部自治体で『強制』の動きがある」の記述について、岩岡氏は、8/26の文科省交渉での回答で、「検定基準照らせば問題のない記述である」と、問題性を否定している。
 いずれにしろ、ご本人達は「行政行為」の帳尻合わせに熱を上げているが、コップの中の嵐のみたいに重箱の隅をつつくようなやりとりで、肝心の子どもたちへの教育的配慮や教育効果についてはまるっきりそっちのけであるのは、情けなさを通り越して滑稽ですらある。
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