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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

OJTとは何か

2009年09月09日 | 暴走する都教委
 ◆ <OJTとは何か…> OJTガイドラインの分析

 今年の大会の発言の中で「OJTを逆に利用すれば、新採者の組合オルグに使える」と言う趣旨の発言があった。職場でOJTはまだ実働化していないが、都教委の資料を分析して、都教委の本当の意図を探ってみた。
 【OJTの狙いは職場のピラミッド型人間関係の組織化】
 今までの鍋ぶた式の学校組織は責任の所在が不明確で、保護者・都民の要望に応えられないと都教委は言う。そして、この10年間で業績評価、主幹教諭、そして主任教諭制度と矢継ぎ早に導入を強行した。
 その結果、教職員は個別に分断され、職場の、主に組合を中心とした民主的な人間関係や仕事上の協力関係は粉々に破壊されたと言っても過言ではない。OJTとは、ばらばらにされた職場の人間関係を、管理職を頂点としたピラミッド型の人間関係に再組織化するためのマニュアルであり、教職員を更なる競争と分断に追い込む道具である。
 OJTの役割は、主任教諭になる前の若手教員を徹底的にふるいに掛けて、将来の管理職候補(いわゆる企画立案層)につながる人材を一本釣りにする事と、授業と生徒指導を中心に働く(いわゆる実践層)教員をふるい分け、さらには、管理職の意に沿わない教員・あるいは指導力不足教員(一方的に管理職が判断するのだが)をあぶり出すために機能していくのは必至である。
 そう考えるとOJTは研修・人材育成に名を借りた、業績評価を超えた新しい教員評価制度に他ならない。そして、以下に書かれる「4つの力」という細かな評価項目を、主任教諭・主幹教諭そして管理職に常に監視され一方的に評価される。
 そのうえで、指導助言という関係で管理職に直結すると共に、出世コースに乗るというと、コースから外れるあるいは指導力不足教員に落とされるというムチで常に脅される事によって民主的な横の人間関係は絶たれ、縦に直結する人間関係が生み出される。結果として教諭は主任教諭に指導され、主任教諭は主幹教諭に指導され、さらには管理職・都教委にと網の目のような管理支配体制が確立していくのである。
 【「教員の身につける4つの力」とは】
 OJTガイドラインによると教員の身につけるべき基本的な力は、①学習指導力②生活・進路指導力③外部との連携・折衝力④学校運営・組織貢献力と4つに分類している。
 ①②の力はこれまでも必要とされている力だが、今の学校が抱える課題を解決するためにさらに③④の力が必要であるとしている。つまり、人事考課で評価される項目が増えると言うことなのだ。今後私たちは、この4つの力を仕事の中で事細かに評価されていく。
 全ての項目を得意とする教員は少なかろう。万能ティーチャーなどいないのだから、必ず苦手に感ずる項目が出てくるはずである。それを管理職が勝手に判断し評価することになる。そして、①②が出来る実践層か、③④の出来る管理職候補かの進路を、管理職が勝手に評価し振り分を行う。
 【OJTによる網の目のような管理支配体制の確立】
 OJTには、計画・実施・検証・改善というサイクルが有るという。
計画) 管理職・校長が一人一人の教員に対して、自己申告書に取り込まれたキャリアプランを使って具体的に身につけさせる力と目標を設定し、自己申告書の当初面接を利用して対象教員にOJTを確実に理解させる。そして、OJT責任者を決めて具体的な計画立案をさせ、進捗状況を報告させる仕組みを整える。
実施) 責任者は、目標や具体的な方法にい確認対象者と確認し合って進め、いつまで何をするかを明確にさせて期限を決めて実施させる。責任者は定期的に管理職に進捗状況を報告し、管理職は自己申告書の中間報告を活用し対象者に実施状況や自己評価を聞き取り評価指導と今後の方向性を確認し、必要なら方向性の修正を指導する。
検証) 管理職は、責任者から対象者の成果・課題・取組状況を聞き取り、目標にどれだけ近付いたか必ず評価する。その際に結果や課題だけでなく、意欲・姿勢・途中での変容もあわせて評価する。自己申告書の最終面接を活用して、対象者に評価を必ず伝える。対象教員自身にも原因を分析させ、改善点を見つけさせる事でOJTへの理解が深まる事もある。
改善) 管理職は、責任者がまとめた改善点を基に成果や課題について検証した結果を次のOJTサイクルに反映させる。OJTシートに次年度の目標や方法を整理して記入。
 【OJTは無意味な競争をまねき職場の同僚性を崩壊させる!】
 新しい書式となった自己申告書には、研究・研修欄に自己採点欄が加わり、評価の対象でなかった研修が評価項目に付け加わったと言うことだ。そしてここがOJTと連動して、教員をがんじがらめに管理支配するシステムとして機能していく。
 教諭は主任教諭になるために、実に緻密な評価項目に気を遣い、OJT責任者の主任教諭の目にさらされながら仕事と研修を職場の中で行っていくのだ。主任教諭も主幹教諭も管理職の手足となって、支配の一環を担わされていく。そして、自分自身も、厳しい評価と監視の目にさらされていくのだ。こんな息苦しい職場で働くなんてまっぴらごめんだ。OJTガイドラインが出たのは昨年の10月だ。執行部はOJTの分析も対策方針も出していない。職務怠慢ではないか!!
 執行部は早急にOJTとの対決方針を確立し、実施阻止の闘いを組むべきだ。

 『YOU SEE! in summer』(2009/8/23)

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