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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「もの言える自由」裁判交流会

2009年05月27日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ♪ 「もの言える自由裁判」 ♪ 最高裁に上告
永野厚男(教育ライター)

 土曜日(本人は勤務日外)に行なわれた前任校の卒業式で来賓紹介の際、「おめでとうございます。色々な強制のもとであっても、自分で判断し行動できる力を磨いていって下さい」と、祝辞を述べた(【注1】参照)ことで、都教育委員会の指示下、2005年7月、校長に"指導処分"された都立高教諭(09年3月定年退職)が、精神的苦痛への損害賠償を請求した裁判(もの言える自由裁判。09年2月18日、東京高裁で控訴棄却の判決)の支援者らが5月16日、都内で総会を開いた。
 秋山淳・樫尾わかな両弁護士が、最高裁に4月末提出した「上告理由書」「上告受理申立書」の要点を、以下の通り説明した。
(1)教諭の祝辞は何ら社会的害悪を発生させていないのに、都教委が祝辞の内容に着目し、事情聴取や"指導"を実施したのは、表現の自由を不当に制約。また都教委は、教諭の内心を不当に推知し、多義的に解釈可能な祝辞の内容を、「国旗掲揚・国歌斉唱に反対する教諭の考えの表れで不適切」と決め付けており、思想良心の自由に反する(憲法21条1項、19条違反)
(2)教諭が公務員であることに着目したとしても、公権力(学校教育法上の校長の監督権限)は職務(勤務時間)外の私生活上の行為(プライバシー権)に干渉できない。また、都教委による"指導"事実の公表(学校名等プレス発表)は、教諭の名誉権を侵害する(憲法13条違反。【注2】参照)
(3)都教委の機関決定に基づく強権的な"指導"なのに、都教委は法令上の根拠を明確にせず、適正な手続き的要件を満たさず強行し、適正手続の保障、法治主義の原則に反する(憲法31条、73条6号違反)
 この後、中川明弁護士は「最高裁は弁論を開くと原審を一部、又は全部見直す判決を出す可能性が高い。弁論開催を期待する」と、力強く決意表明した。
 当該教諭は「式で"君が代"時に不起立の生徒がいたら、再度起立を促す、と司会台本に書き込ませる都立高校が70校を越えている」と語り、参加者から変質した式典への危惧の声が出た。
 総会開会前、支援者の一人は「今春、ある都立高の卒業式の答辞で生徒が『今この場にも目に見えない強制・圧力がある』『学校で生徒や先生たちの意見が反映されなくなっている』と述べたところ、都教委が問題視する事態まで起こっている」と報告した。
【注1】フロアーでのマイクを使わない、10秒ほどの祝辞であった。
【注2】「上告理由書」をもとに、詳しく説明すると→
 校長の"指導"は、「TPOの視点に立って考えると、『来賓として相応(ふさわ)しい発言ではありませんでしたね』ということを校長としてお伝えします」という極めて曖昧なものであって、「TPOの具体的内容」も、「祝辞をどのような観点から相応しくないと評価したのか」も、明らかにしていない。
 これでは、当該教諭は「何が問題で不適切な発言だと判断されたか」が分からず、教諭に対し、「職務外においても自由に発言することは許されない」として、広く私生活上の表現行為を規制するに等しい結果となり、公権力による個人の私生活への重大な干渉となる。
 なお、"指導"の経過記録は、公文書として作成され、都教委と校長の下に保管されるため、教諭の"勤務評定"に当たる"人事考課"に重大な不利益を与える。

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