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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2021年12月16日)

2021年12月22日 | 暴走する都教委
 ◆ 都教委は「都民の声」を選別するのか?!
 16日に開かれた定例会は1週繰り下げて第3週の開催だった。教育委員の都合によって、通常の第2週ではなく第3週になったのかと思っていたところ、この日の定例会に教育委員5人のうちの2人が欠席。議題には1週繰り下げなければならない議題は見当たらない。
 何のために定例会の日時を変更したのかといぶかしく思った。定例日となっている第2・第4週木曜日にも教育委員の欠席はよくある。都教育委員の仕事よりも他の仕事優先か、といつも思う。司会・進行役の教育長は、傍聴者に対して欠席理由を明らかにすべきだ
 非公開議題には、議案4件(停職以上の重い処分案件)及び報告(減給以下の処分)に懲戒処分等があがっており、さらには、「懲戒処分者数等の推移及び服務事故防止に向けた主な取組について」の報告もあがっていた。
 防止策の報告がされたのであろうが、これまで毎年繰り返してきた、防止に向けた研修などの取組がまったく効果を上げてこなかったのはなぜかについて、
 検討・論議がなされたとは思えない。

 上意下達の教員・教育支配をやめ、職員会議で論議し決定して教育活動に当たる、20世紀の働き方に戻すことが最大の防止策となりうることを事務方及び教育委員は認識すべき、と思う。
 それを行なえば、教員たちは働き甲斐を見出すことができて「非行」に走らない。加えて、教員志望者も増えると断言できるのだが。
 公開議題は、
 議案が①「教育長の臨時代理における『あらかじめ教育委員会の指示を受けた』事項の改正について」、
 報告が②「今年度上半期の都民の声(教育・文化)について」。

 ①「教育長の臨時代理における『あらかじめ教育委員会の指示を受けた』事項の改正について」
 「東京都教育委員会の権限委任等に関する規則」に「教育長は、…委任を受けた事務以外の事務について緊急に処理しなければならない事由が生じ、かつ、教育委員会が招集されるいとまがない時に、又はその事務の処理についてあらかじめ教育委員会の指示を受けたときには、これを臨時に代理することができる」とし、「あらかじめ教育委員会の指示を受けた事項」を挙げる。
 今回の「改正」は「あらかじめ教育委員会の指示を受けた事項」拡大するもので、2点。
 一つは、「法令、条例又は規則等の改正に伴う、事務的な改正及び改正依頼」(旧には「等」がなかったが新には「等」を加えた)。「法令、条例又は規則に限らず、文科省の指針等の改正に基づく事務的な規則の改正または条例の改正依頼」を加えたのだという。
 もう一つは、「年度途中の副校長の任命」(旧)を「(副校長に限らず、)課長、担当課長及びこれらと同等以上の職にある者(教育職員を含む)の任命」(新)に変えるというもの。
 いまはZOOM会議ができるのだから、「教育委員会が招集されるいとまがない時」はない。いつでも教育委員会は召集できる。
 今日のように4割の欠席でも定例会を開くのだから、『あらかじめ教育委員会の指示を受けた』事項を増やさなくても、ZOOM参加にすればいいだけのこと。
 となれば今回の「改正」は、文科省と都教育長のつながり・教育長の権限強化が目的なのではないかと思う。
 都教委はこれまでだって、文科省の方針を他の道府県に先んじて施策とし現場に下ろしてきたのに、文字でも明示したいということか。
 ②「今年度上半期の都民の声(教育・文化)について」

 今年度上半期に寄せられた「声」は9993件(昨年度上半期は8887件、一昨年上半期は2459件)。うち、「苦情」が66,9%、「要望」が22,3%。
 「声」を「分野別」で見ると、「生徒指導」に関するものが6078件(60,8%)で、そのうち、「オリンピック・パラリンピック教育に関するもの」が最多の2255件。私も私の友人たちも、この件に関しては「苦情」を寄せた。最多なのに、オリ・パラ教育に反対する「苦情」だからだろう、「多数を占めたテーマ・苦情の内容とそれへの対応」の事例(3事例)として示されていない。示された事例一つを紹介する。
 「苦情」は「都立学校の近くを通り過ぎたところ、何百人もの生徒が互いに密着し大声で、応援合戦の練習をしていた。大勢が密集して大声を張り上げるというのは、コロナ禍において大変危険な行為である。私には高齢の家族がおり地域で感染が広がると大変困る。近隣住民として、即刻やめていただきたい」。
 これに対しての「学校・都教委の対応」は「当該校では、学年別に分散して開催する体育祭に向けて、応援練習を行なっていました。練習初日は、練習方法の周知が徹底されず、密の状態で大声を出して実施する事態になってしまいました。そこで当該校では、生徒に対し、新型コロナウイルス感染症対策として、密の回避、大声の禁止、マスクの着用など工夫しながら実施するよう指導するとともに、練習時には教員が立ち会い、適切な指導を行いました」。
 当たり前のこの「対応」を「苦情」提供者に行なった。
 一方、オリ・パラ学校連携観戦の即刻中止を求めた私(たち)に対しては、「観戦希望がある」と言い、話の途中で電話を切ることさえあった。これを、まともな「対応」とは言えないだろう。
 オリ・パラ教育に関してはそのほとんどが「苦情」であるだろうに、「感謝事例」3例の一つに記載している。
 「オリンピック・パラリンピックの観戦という、子供の願いを叶えていただいたことを感謝しております。夏休みの間は、期待とも諦めともつかない様子だった子供も、観戦が決まると大変喜んでいました。国立競技場から帰って来た子供が、感動した様子で競技を語る様子から、大変いい経験だったのだと伝わってきましたし、ハンディキャップのある方々が活躍する様子を間近で見られたことは、たいへんな教育効果があったと考えます。また、子供が持ち帰ってきた遮光板などのグッズから、事前にしっかりと準備をしてくださっていたと知り、改めて関係者の皆さまにお礼を申し上げたく、書き込みをいたしました。日々変化する状況や、様々な関係者の意見がある中でも、リスクを検討し、感染症対策に取り組みつつ、パラリンピック観戦を実現したお仕事のすばらしさに感謝しております」。
 この感謝事例を示すことが、中止を求めた大勢の都民に対する「都教委の対応」とでも言いたいのか。
 「陳情」は総計で140件、そのうち「オリンピック・パラリンピック教育に関するもの」が86件で最多
 そのすべてが、学校連携観戦の中止を求めるもの。この現実を都教委事務方は、受け止めるべき。
 次に多かったのは、「障害児教育の充実を求める」要請で16件とのこと。

 「請願」は10件。卒業式・入学式における「君が代」斉唱についてが1件、教科書採択についてが3件でそのいずれもが、都教委を批判し改善を求めるもの。
 これに対する都教委からの「請願者への通知」は「今後とも、学習指導要領や通達に基づき、卒業式・入学式が適正に実施されるよう引き続き、各学校を指導していきます」「今後とも、法令等の規定に基づき、適正かつ公正に教科書採択を行なってまいります」というもの。請願者の訴えには耳を貸さずに、居直る
 都教委の方針・施策に反対する都民の声については、受け止め対応する姿勢が全く感じられない。
 何のための「都民の声」の収集か! 都教委は、都民の声を選別してはならない、はずだ。
『レイバーネット日本』(2021-12-17)
http://www.labornetjp.org/news/2021/1216nezu
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