■<労災>退職後の自殺を認定、保育士遺族が勝訴 東京地裁
激務でうつ状態になって保育士を退職し、1カ月後に自殺した岡村牧子さん(当時21歳)の父昭さん(70)=神戸市=が、国相手に労災認定を求めた訴訟で、東京地裁(難波孝一裁判長)は4日、過労自殺と認め、原告勝訴の判決を言い渡した。厚生労働省によると、在職中に発症した精神障害の退職後の労災認定は数例あるが、退職後の自殺の認定は「聞いたことがない」という。
判決によると、牧子さんは短大卒業後の93年1月、兵庫県加古川市の無認可保育園に就職。2歳児18人を担当し、連日10~11時間勤務した。翌月に新年度から新人5人を指導する責任者を命じられ、自宅残業や休日出勤が増えた。3月末に精神障害と診断されて入院し退職。自宅療養中の4月末、自室で自殺した。
国側は「4月には求職活動をするなど障害は治っていた」と主張。判決は「うつ状態は気分の良い状態と落ち込む状態を繰り返す。求職活動などは治った証拠とは言えない」と退けた。
昭さんは同年に労災申請したが認められず、不服も05年3月に退けられ同6月に提訴。この間、保育園側へ賠償を求めた訴訟で、過労と自殺の因果関係を認めて支払いを命じる判決が、最高裁で00年6月に確定した。
判決を傍聴した昭さんは「ほっとした。娘は帰って来ないけれど、この判決が、民営化などで悪化している保育現場の労働環境の改善につながってほしい」と語った。【高倉友彰】
▽小島裕・兵庫労働局労災補償課長の話 判決内容を十分検討し、関係機関と協議のうえ、控訴も含め対応したい。
▽過労死弁護団全国連絡会議の話 全国的に自殺に関して(労災と認めない)業務外決定を繰り返している中で、同様の事案に影響を与え、職場の改善・自殺予防にもつながる判決だ。
(毎日新聞) - 9月4日21時14分更新
■保母退職後の自殺、労災に認定…東京地裁
兵庫県加古川市内の無認可保育所の保母だった岡村牧子さん(当時21歳)が退職から約1か月後に自殺したのは、過労によるうつ症状が原因だとして、神戸市に住む父の昭さん(70)が、国を相手取り、労災認定を求めた行政訴訟の判決が4日、東京地裁であった。
難波孝一裁判長は、「過重な業務の結果、精神障害を発症し、その状態のまま自殺に至った」として、業務と自殺の因果関係を認め、労災と認めなかった1996年の加古川労働基準監督署の処分取り消しを言い渡した。厚生労働省によると、過労で退職した後の自殺が労災と認められたケースは「これまで聞いたことがない」という。
判決によると、牧子さんは保母資格を得た直後の93年1月から同保育所に勤務していたが、同僚の保母が一斉退職するため同4月から新人保母5人をまとめる主任になることが決まり、心身の疲労からうつ状態となって緊急入院。同3月末に退職し、同4月下旬、両親の留守中に自宅で首をつって自殺した。
(読売新聞) - 9月4日23時43分更新
■「退職後自殺も労災」 東京地裁判決 国の不認定取り消し 保育士過労訴訟
過重な労働でうつ状態となり、兵庫県加古川市の無認可保育所を退職後に自殺した保育士岡村牧子さん=当時(21)=の父昭さん(70)が死亡を労災と認めなかった国の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は4日、請求を認め、処分を取り消した。
難波孝一裁判長は「業務によって発病し、うつ状態が治らずに自殺したと認められる。自殺の原因が業務ではないとした労働基準監督署の処分は違法」と判断した。
退職後の過労自殺で労災が認められたケースについて、厚生労働省労働基準局補償課は「把握している限りない」と話している。
判決によると、牧子さんは1993年1月から無認可保育所に勤務し、月曜から土曜まで12時間勤務が続いた。
3月末には、同僚の保育士6人全員が退職し、4月から責任者として新人5人を指導することになった。3月31日に病院で適応障害と診断され、入院のため退職。翌日退院したが、うつ状態が続き、4月29日に自宅で自殺した。
昭さんは同12月、加古川労働基準監督署に労災申請したが、同労基署は「退職、退院で障害は治っていた」として認めなかった。労働保険審査会への再審査請求も昨年3月に棄却され、同6月に提訴した。
=2006/09/05付 西日本新聞朝刊=
激務でうつ状態になって保育士を退職し、1カ月後に自殺した岡村牧子さん(当時21歳)の父昭さん(70)=神戸市=が、国相手に労災認定を求めた訴訟で、東京地裁(難波孝一裁判長)は4日、過労自殺と認め、原告勝訴の判決を言い渡した。厚生労働省によると、在職中に発症した精神障害の退職後の労災認定は数例あるが、退職後の自殺の認定は「聞いたことがない」という。
判決によると、牧子さんは短大卒業後の93年1月、兵庫県加古川市の無認可保育園に就職。2歳児18人を担当し、連日10~11時間勤務した。翌月に新年度から新人5人を指導する責任者を命じられ、自宅残業や休日出勤が増えた。3月末に精神障害と診断されて入院し退職。自宅療養中の4月末、自室で自殺した。
国側は「4月には求職活動をするなど障害は治っていた」と主張。判決は「うつ状態は気分の良い状態と落ち込む状態を繰り返す。求職活動などは治った証拠とは言えない」と退けた。
昭さんは同年に労災申請したが認められず、不服も05年3月に退けられ同6月に提訴。この間、保育園側へ賠償を求めた訴訟で、過労と自殺の因果関係を認めて支払いを命じる判決が、最高裁で00年6月に確定した。
判決を傍聴した昭さんは「ほっとした。娘は帰って来ないけれど、この判決が、民営化などで悪化している保育現場の労働環境の改善につながってほしい」と語った。【高倉友彰】
▽小島裕・兵庫労働局労災補償課長の話 判決内容を十分検討し、関係機関と協議のうえ、控訴も含め対応したい。
▽過労死弁護団全国連絡会議の話 全国的に自殺に関して(労災と認めない)業務外決定を繰り返している中で、同様の事案に影響を与え、職場の改善・自殺予防にもつながる判決だ。
(毎日新聞) - 9月4日21時14分更新
■保母退職後の自殺、労災に認定…東京地裁
兵庫県加古川市内の無認可保育所の保母だった岡村牧子さん(当時21歳)が退職から約1か月後に自殺したのは、過労によるうつ症状が原因だとして、神戸市に住む父の昭さん(70)が、国を相手取り、労災認定を求めた行政訴訟の判決が4日、東京地裁であった。
難波孝一裁判長は、「過重な業務の結果、精神障害を発症し、その状態のまま自殺に至った」として、業務と自殺の因果関係を認め、労災と認めなかった1996年の加古川労働基準監督署の処分取り消しを言い渡した。厚生労働省によると、過労で退職した後の自殺が労災と認められたケースは「これまで聞いたことがない」という。
判決によると、牧子さんは保母資格を得た直後の93年1月から同保育所に勤務していたが、同僚の保母が一斉退職するため同4月から新人保母5人をまとめる主任になることが決まり、心身の疲労からうつ状態となって緊急入院。同3月末に退職し、同4月下旬、両親の留守中に自宅で首をつって自殺した。
(読売新聞) - 9月4日23時43分更新
■「退職後自殺も労災」 東京地裁判決 国の不認定取り消し 保育士過労訴訟
過重な労働でうつ状態となり、兵庫県加古川市の無認可保育所を退職後に自殺した保育士岡村牧子さん=当時(21)=の父昭さん(70)が死亡を労災と認めなかった国の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は4日、請求を認め、処分を取り消した。
難波孝一裁判長は「業務によって発病し、うつ状態が治らずに自殺したと認められる。自殺の原因が業務ではないとした労働基準監督署の処分は違法」と判断した。
退職後の過労自殺で労災が認められたケースについて、厚生労働省労働基準局補償課は「把握している限りない」と話している。
判決によると、牧子さんは1993年1月から無認可保育所に勤務し、月曜から土曜まで12時間勤務が続いた。
3月末には、同僚の保育士6人全員が退職し、4月から責任者として新人5人を指導することになった。3月31日に病院で適応障害と診断され、入院のため退職。翌日退院したが、うつ状態が続き、4月29日に自宅で自殺した。
昭さんは同12月、加古川労働基準監督署に労災申請したが、同労基署は「退職、退院で障害は治っていた」として認めなかった。労働保険審査会への再審査請求も昨年3月に棄却され、同6月に提訴した。
=2006/09/05付 西日本新聞朝刊=
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