パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「入管は、コロナ下で収容を続けず、全員仮放免せよ」「必要な医療を直ちに行え」

2022年03月24日 | 人権
  《月刊救援から》
 ◆ 入管は全員の仮放免と医療実施を!
   爆発的コロナ感染下 あらためて不退転の闘いを!


 昨年、入管との闘いは各地の広範な全世代的高揚のなかで、入管難民法改悪案を事実上廃案に持ち込み勝利したかに見えた。三月、名古屋入管で起きたスリランカ人女性、ウィシュマさんの医療放棄死=虐殺と法務省・入管当局の非人道的対応、責任逃れのお役所仕事に内外の人々の怒りが沸騰した。
 しかし、その後どうなったか?改善はほとんどみられない。

 岸田政権はオミクロン株の爆発的感染拡大への対策を誤り(沖縄など米軍基地からの感染流出があった)全国の感染蔓延を招来した。問題は拘禁施設に閉じ込められた人々をはじめ、防御手段を奪われた弱者たちに被害が及んでいることだ
 ウイルスを持ち込むのはもちろん、被収容者ではなく、職員ら外部への出入りが出来る人々だ。東京入管だけを見ても今年は二月二七日までに職員の新規感染が計一七五人に上っている。
 だが面会した被収容者によると、体調が悪いのでPCR検査を要求したが、やってくれないという。
 二一日、東京入管の広報担当者に尋ねたところ「PCR検査は状況により、医師の判断でやっている」「現在の被収容者は三五人、今年に入っての感染者はゼロだ」との答えが返ってきた。
 コロナ感染ばかりではない。各地の入管施設で長年の問題となってきたのが、適切な医療対応だ。
 牛久の入管施設で職員や医師のあまりにひどい対応に怒って糞尿を投げつけたとして刑事罰を課され服役後一月に東京入管に再収容されたイラン人男性、ヤドラーさんは「身も心もボロボロにされた」「わき腹に激痛が続き、医者に診せてくれと何度も頼んだが笑って無視、三週間放置され、コメ粒状の異物が体外に出てやっと激痛が収まった」、一〇〇㎏あった体重が今は半分まで激減したという。
 スリランカ人男性、ジャヤンタさんの現状も深刻さを増している。二度コロナに罹り、職員らに集団暴行を受けたといい、食事がのどを通らない。嘔吐してしまうため、食事は出来ず連日点滴で体力を維持してきたが、現在一日おきにしか点滴がなく、体重が減り続けている。
 面会では「頭痛が一年、つらい」「急に心臓バクバク」「胸の痛み」「睡眠時、安静時にも急に心臓バクバク」「手のしびれ」を訴え、果物なら嘔吐せずに食べられそうだが、果物は出してもらえず、連日食事抜き、命の危機が続いている。
 ジャヤンタさん、ヤドラーさんへの適切な医療を実施するよう申し入れた。
 さらに大村入管では三年前に施設内で負傷し病状の悪化で寝たきりになったネパール人男性(愛称「ティモシーさん」)が、手術などの治療を求めてきたのに当局は手術の必要性を認めていない。
 結局、入管体制を根本的に変えない限り問題の大半は解決できないということ。具体的には、
 (1)難民受け入れの可否審査・判断は、入管庁から完全に独立した別の組織を創設し、国際的な水準の知識を持つ専門家が入国後の事情聴取から関わり、難民認定までを扱う、
 (2)さらに喫緊の課題は、収容施設内での医療ほかの処遇の改善。現在は司法の眼が届かず、まるで奴隷か動物以下の扱いを受けるといい、訴えが「詐病」だと判断が下されたり、外部の病院への移送、検診が拒否されたりする事態が頻発している状況を抜本的に変える必要がある、
 の二点に集約される。

 政府与党は、入管難民法改悪案再上程が夏の参院選に悪影響があると懸念し、上程を先送りした。
 岸田政権はウィシュマさんをはじめ過去の餓死や自殺、医療放棄死など尊い「命の教訓」から何も学ばないまま、あらためて参院選後に「全件収容主義」「早期送還」「監理措置新設」そのままの悪法を、また出してこようとしているのだ。
   「入管は、コロナ下で収容を続けず、全員仮放免せよ」
   「食事をはじめ待過を抜本改善せよ」
   「必要な医療を直ちに行え」

 ウィシュマさんが亡くなって一年、私たちは入管体制解体への闘いを不退転の決意で再構築していくことを確認します。
 皆さま、それぞれの地において、可能な闘いと全国的な連携行動を訴えます!
 (「クルド難民とあゆむ会」共同代表、OB記者福島尚文)

『月刊救援 635号』(2022年3月10日)


コメント    この記事についてブログを書く
« レイバーネット川柳、2月句... | トップ | 監獄は三密状態、高齢者や持... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

人権」カテゴリの最新記事