▲ 「学校に言論の自由を!」控訴審 第二回および報告会が行われました!
A.第二回控訴審と次回の控訴審の日程
都立三鷹高校・土肥元校長先生の「学校に言論の自由を!」控訴審第二回が、2012年7月10日火曜日、午後3時より、東京高等裁判所511法廷(高裁第七民事部 市村陽典裁判長)にて、行われました。今回も、傍聴席42席に対して、50名余りの方が支援の傍聴にいらしてくださっていて、傍聴席は満員でした。
被控訴人側(都教委側)が、前回、控訴人側(土肥先生の側)が提出した控訴理由書への反論と、前回、裁判官から指示された平成21年から23年までの非常勤教員採用状況についての証拠書類を提出し、控訴人側も追加の証拠資料等を提出しました。
そのあと、裁判官より、次回は証人として控訴人が申請してあった方々のうち、一名の証人尋問を行うとの指示があり、次回の日程は9月11日火曜日、午後2時30分より4時まで、場所は今回と同じく、511法廷にて、と決定しました。次回は、証人尋問が30分、反対尋問が30分、これに弁論の15分を加えて、1時間15分程度で終わる見込みとのことでした。
今回の控訴審は、10分足らずで終了し、引き続き、弁護士会館で報告会が行われました。
B.弁護士会館での報告会(午後3時過ぎ~午後5時ごろ)
● 吉峯弁護士からの報告
・今回も、多くの方に傍聴に来ていただいて感謝しています。毎回、多くの方が傍聴にいらっしゃるということで、土肥先生の裁判が、多くの人の関心を集めていること、土肥先生が多くの人の支持を受けていることを裁判官も感じているはずです。今後とも、支援の傍聴をよろしくお願いいたします。
・前回こちら側の提出した、控訴状・控訴理由書に対して、今回は、都教委側が63ページの反論を提出しました。そのうち約40ページは、原審のときの文章の切り貼り、約20ページが、こちらへの新たな反論になっています。
・平成21年度から23年度の非常勤教員採用試験の採用状況の一覧表を、(黒塗り部分は多いですが、)都教委側が出してきました。
・今、西原先生(憲法学・早稲田大)が、超多忙ななか、鑑定書を書いてくださっているところです。この鑑定書を踏まえて次回に提出する書面を準備したいと思っています。
・次回、土肥先生側の証人に証言していただける内容としては、控訴人(土肥先生)が2006年10月米長教育委員が学校に来ると話していたこと、2008年の定時制卒業式について土肥先生が個々の教員の名前を呼んで個別的職務命令を発してなどいないこと、個別的職務命令は、受け取る教員側にとって、信頼されていないようで気持の良いものではないこと、当時の定時制において土肥校長と教員のあいだの信頼関係が、確固たるものとなっていたこと、「職員会議における職員の意向を確認する挙手・採決の禁止」通知に対する土肥先生の撤回要求に対して、都教委は、「職員会議での挙手・採決のみが教職員の意見を知る方法ではない」としているが、実際の教育現場においては、職員会議で意向を聞く以外に、校長が全教職員から意見を聞くことは不可能であること、等があります。裁判官が、現場からの証言を聞こうという姿勢を示してくれたことは、大きな意味を持っています。こちらの証人尋問が、30分、都教委側からの反対尋問が30分です。
・常識のある人なら、土肥先生の非常勤教員不採用は、おかしいと思うはずです。一審のような、不合理すぎる判決にならないよう、期待したいと思います。
・次回の証人尋問、ぜひ期待して傍聴していただければと思います。
このあと、吉峯弁護士に対しての質疑応答がありました。そのなかで、吉峯弁護士は、「一審で論点を多く挙げたことについて、多すぎるのではないかとの声も聞いているが、都教委の姿勢のおかしさが、いろいろなところに出てきていることを、そうした様々な論点を挙げることによって示したい、広く社会に知っていただきたいという願いを持って、あえて多くの論点を挙げました」と説明されました。また、参加者から表明されたご意見に対して、「陳述書として出しますので、書面にして、こちらに書いて送ってください。どちらも一面の真理を照らしていると思いますので」と応えておられました。
● 高橋弁護士からの解説
・今日は、傍聴、ありがとうございました。今回は、都側の、控訴理由書への反論と、向こう側の証拠として、前回裁判所から促された平成21年度から23年度の非常勤教員採用試験の申込者数、合格者数、不合格者数についての資料が提出されました。こちらの証拠としては、テレメンタリーの画像として残っていた定時制での土肥先生の職務命令の発出の様子を提出し、また、雑誌「世界」の土肥先生の対談も提出しました。
・都側からの反論約60ページのうち40ページは以前のもののコピー&ペーストで、20ページが、新しい主張を含んでいます。非常勤教員の採用に関して、こちら側が、教育実践をもっとも重視されるべき要素であるとしているのに対して、向こう側は、日ごろの教育実践は、採用試験の受験者はすでに長年の教育実践を経た教員ばかりであることから「ことさらにかかる要素を重視する必要はない」として、学校長等の指示、命令に従い、他の教職員と協調して職責を果たせるかどうかを重視すると主張しています。こうした主張には誰しも違和感があると思われます。このような都の「職責」についての考えをオープンにして是非を議論してゆきたいと思っています。
・向う側は、都教委による教育現場への介入の許される場合とは、「子ども自身の利益の擁護のために必要」な場合であり、この場合には介入が許されると、主張してきています。「子ども自身の利益の擁護のため」という主張は土肥先生の主張であり、この点については大いに反論をしたいと思います。
● 土肥先生から
・うれしいことがありました。定時制の卒業式に関して、職員会議で「文書による個別的職務命令は出さない」と明言している場面が、テレメンタリーの映像に残っていました。これは、平成20年度のものですが、個別的職務命令かどうかを争っている平成19年度も同じようにしたので、DVDで定時制職員会議の映像を証拠として提出しました。
・非常勤教員採用試験の合格率は、都教委が出してきた資料によれば、平成21年は96.96%、22年は97.63%、23年は98.68%となっており、この合格率は、非常勤教員の採用は、雇用保障の面を持つことを裏付けているものとして、こちらに有利なのではないかと思っています。
・次回の証人尋問では、証人の方が、毎日定時制の生徒と接し、全日制と同じようにすべての生徒たちの名前を覚えたこと、平成19年の卒業式について個別的職務命令を出していないことを証言してくれると思います。
・小幡先生の鑑定書は、都教委側に「裁量権の逸脱・濫用があるとされる余地がある」としているが、これに対して今回、都の側からの反論が出されています。
・(都教委側は「子ども自身の利益の擁護のため」といっているが)、こちらのほうこそ、「子どものため」にやっています。自分のためだったら、やっていません。今、発言しなければ、戦前のような言論統制につながり、戦地に子どもたちを送り出した戦前のようになると思ったから、「子どものために」発言をしているのです。
・私側の証人尋問が認められて、とてもうれしかったです。今度の裁判官に、期待しています。
このあと、参加者の方々との質疑応答があり、5時には報告会は終了しました。
次回控訴審は、9月11日火曜日 午後2時半から午後4時、511法廷の予定です。
『土肥元校長の裁判を支援する会』(2012/7/18)
http://dohi-shien.com/html/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=49
A.第二回控訴審と次回の控訴審の日程
都立三鷹高校・土肥元校長先生の「学校に言論の自由を!」控訴審第二回が、2012年7月10日火曜日、午後3時より、東京高等裁判所511法廷(高裁第七民事部 市村陽典裁判長)にて、行われました。今回も、傍聴席42席に対して、50名余りの方が支援の傍聴にいらしてくださっていて、傍聴席は満員でした。
被控訴人側(都教委側)が、前回、控訴人側(土肥先生の側)が提出した控訴理由書への反論と、前回、裁判官から指示された平成21年から23年までの非常勤教員採用状況についての証拠書類を提出し、控訴人側も追加の証拠資料等を提出しました。
そのあと、裁判官より、次回は証人として控訴人が申請してあった方々のうち、一名の証人尋問を行うとの指示があり、次回の日程は9月11日火曜日、午後2時30分より4時まで、場所は今回と同じく、511法廷にて、と決定しました。次回は、証人尋問が30分、反対尋問が30分、これに弁論の15分を加えて、1時間15分程度で終わる見込みとのことでした。
今回の控訴審は、10分足らずで終了し、引き続き、弁護士会館で報告会が行われました。
B.弁護士会館での報告会(午後3時過ぎ~午後5時ごろ)
● 吉峯弁護士からの報告
・今回も、多くの方に傍聴に来ていただいて感謝しています。毎回、多くの方が傍聴にいらっしゃるということで、土肥先生の裁判が、多くの人の関心を集めていること、土肥先生が多くの人の支持を受けていることを裁判官も感じているはずです。今後とも、支援の傍聴をよろしくお願いいたします。
・前回こちら側の提出した、控訴状・控訴理由書に対して、今回は、都教委側が63ページの反論を提出しました。そのうち約40ページは、原審のときの文章の切り貼り、約20ページが、こちらへの新たな反論になっています。
・平成21年度から23年度の非常勤教員採用試験の採用状況の一覧表を、(黒塗り部分は多いですが、)都教委側が出してきました。
・今、西原先生(憲法学・早稲田大)が、超多忙ななか、鑑定書を書いてくださっているところです。この鑑定書を踏まえて次回に提出する書面を準備したいと思っています。
・次回、土肥先生側の証人に証言していただける内容としては、控訴人(土肥先生)が2006年10月米長教育委員が学校に来ると話していたこと、2008年の定時制卒業式について土肥先生が個々の教員の名前を呼んで個別的職務命令を発してなどいないこと、個別的職務命令は、受け取る教員側にとって、信頼されていないようで気持の良いものではないこと、当時の定時制において土肥校長と教員のあいだの信頼関係が、確固たるものとなっていたこと、「職員会議における職員の意向を確認する挙手・採決の禁止」通知に対する土肥先生の撤回要求に対して、都教委は、「職員会議での挙手・採決のみが教職員の意見を知る方法ではない」としているが、実際の教育現場においては、職員会議で意向を聞く以外に、校長が全教職員から意見を聞くことは不可能であること、等があります。裁判官が、現場からの証言を聞こうという姿勢を示してくれたことは、大きな意味を持っています。こちらの証人尋問が、30分、都教委側からの反対尋問が30分です。
・常識のある人なら、土肥先生の非常勤教員不採用は、おかしいと思うはずです。一審のような、不合理すぎる判決にならないよう、期待したいと思います。
・次回の証人尋問、ぜひ期待して傍聴していただければと思います。
このあと、吉峯弁護士に対しての質疑応答がありました。そのなかで、吉峯弁護士は、「一審で論点を多く挙げたことについて、多すぎるのではないかとの声も聞いているが、都教委の姿勢のおかしさが、いろいろなところに出てきていることを、そうした様々な論点を挙げることによって示したい、広く社会に知っていただきたいという願いを持って、あえて多くの論点を挙げました」と説明されました。また、参加者から表明されたご意見に対して、「陳述書として出しますので、書面にして、こちらに書いて送ってください。どちらも一面の真理を照らしていると思いますので」と応えておられました。
● 高橋弁護士からの解説
・今日は、傍聴、ありがとうございました。今回は、都側の、控訴理由書への反論と、向こう側の証拠として、前回裁判所から促された平成21年度から23年度の非常勤教員採用試験の申込者数、合格者数、不合格者数についての資料が提出されました。こちらの証拠としては、テレメンタリーの画像として残っていた定時制での土肥先生の職務命令の発出の様子を提出し、また、雑誌「世界」の土肥先生の対談も提出しました。
・都側からの反論約60ページのうち40ページは以前のもののコピー&ペーストで、20ページが、新しい主張を含んでいます。非常勤教員の採用に関して、こちら側が、教育実践をもっとも重視されるべき要素であるとしているのに対して、向こう側は、日ごろの教育実践は、採用試験の受験者はすでに長年の教育実践を経た教員ばかりであることから「ことさらにかかる要素を重視する必要はない」として、学校長等の指示、命令に従い、他の教職員と協調して職責を果たせるかどうかを重視すると主張しています。こうした主張には誰しも違和感があると思われます。このような都の「職責」についての考えをオープンにして是非を議論してゆきたいと思っています。
・向う側は、都教委による教育現場への介入の許される場合とは、「子ども自身の利益の擁護のために必要」な場合であり、この場合には介入が許されると、主張してきています。「子ども自身の利益の擁護のため」という主張は土肥先生の主張であり、この点については大いに反論をしたいと思います。
● 土肥先生から
・うれしいことがありました。定時制の卒業式に関して、職員会議で「文書による個別的職務命令は出さない」と明言している場面が、テレメンタリーの映像に残っていました。これは、平成20年度のものですが、個別的職務命令かどうかを争っている平成19年度も同じようにしたので、DVDで定時制職員会議の映像を証拠として提出しました。
・非常勤教員採用試験の合格率は、都教委が出してきた資料によれば、平成21年は96.96%、22年は97.63%、23年は98.68%となっており、この合格率は、非常勤教員の採用は、雇用保障の面を持つことを裏付けているものとして、こちらに有利なのではないかと思っています。
・次回の証人尋問では、証人の方が、毎日定時制の生徒と接し、全日制と同じようにすべての生徒たちの名前を覚えたこと、平成19年の卒業式について個別的職務命令を出していないことを証言してくれると思います。
・小幡先生の鑑定書は、都教委側に「裁量権の逸脱・濫用があるとされる余地がある」としているが、これに対して今回、都の側からの反論が出されています。
・(都教委側は「子ども自身の利益の擁護のため」といっているが)、こちらのほうこそ、「子どものため」にやっています。自分のためだったら、やっていません。今、発言しなければ、戦前のような言論統制につながり、戦地に子どもたちを送り出した戦前のようになると思ったから、「子どものために」発言をしているのです。
・私側の証人尋問が認められて、とてもうれしかったです。今度の裁判官に、期待しています。
このあと、参加者の方々との質疑応答があり、5時には報告会は終了しました。
次回控訴審は、9月11日火曜日 午後2時半から午後4時、511法廷の予定です。
『土肥元校長の裁判を支援する会』(2012/7/18)
http://dohi-shien.com/html/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=49
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