◆ 住民の命 住民の力 (東京新聞【本音のコラム】)
先週の土曜日。秋田市でちいさな集まりがあった。
菅義偉新首相とおなじ秋田出身、百一歳の全生涯を歯に衣(きぬ)を着せぬジャーナリストとして全うした、むのたけじを顕彰する「地域・民衆ジャーナリズム」賞実行委員会主催だった。
彼の五回忌に合わせ「イージスアショア新屋配備を断念させたのは秋田の住民の力だ」とする住民運動の集会でもあった。
米軍の戦略に従属する米日軍事同盟下、それも国の「専決事項」と突っ張ってきた防衛省が住民の抵抗を受け方針を変えた。お粗末、デタラメな防衛計画が、見事に破綻したのは特筆に価する。
それも安倍前首相の出身地・山口県と菅前官房長官の秋田県が基地予定地。郷土を売る計画だった、ともいえる。
知事、市長、県、市議会。科学者、住民、地元紙がそれぞれにすすんで署名、請願、陳情運動、報道に力を尽くした。
辺野古基地反対運動と同じネットワーク型「オール秋田」の運動となった。
自民党の「憲法改悪案」では、地方自治の力を奪うものになっているが、現憲法が健在である限り、地方自治条項は国の暴力を防ぎ「住民の力」と「住民のいのち」を守ることができる。
「戦争絶滅を謳(うた)った憲法九条こそ、人類に希望をもたらす」というのが、従軍記者だったむのたけじの生涯にわたる信念だった。
『東京新聞』(2020年9月29日【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)
先週の土曜日。秋田市でちいさな集まりがあった。
菅義偉新首相とおなじ秋田出身、百一歳の全生涯を歯に衣(きぬ)を着せぬジャーナリストとして全うした、むのたけじを顕彰する「地域・民衆ジャーナリズム」賞実行委員会主催だった。
彼の五回忌に合わせ「イージスアショア新屋配備を断念させたのは秋田の住民の力だ」とする住民運動の集会でもあった。
米軍の戦略に従属する米日軍事同盟下、それも国の「専決事項」と突っ張ってきた防衛省が住民の抵抗を受け方針を変えた。お粗末、デタラメな防衛計画が、見事に破綻したのは特筆に価する。
それも安倍前首相の出身地・山口県と菅前官房長官の秋田県が基地予定地。郷土を売る計画だった、ともいえる。
知事、市長、県、市議会。科学者、住民、地元紙がそれぞれにすすんで署名、請願、陳情運動、報道に力を尽くした。
辺野古基地反対運動と同じネットワーク型「オール秋田」の運動となった。
自民党の「憲法改悪案」では、地方自治の力を奪うものになっているが、現憲法が健在である限り、地方自治条項は国の暴力を防ぎ「住民の力」と「住民のいのち」を守ることができる。
「戦争絶滅を謳(うた)った憲法九条こそ、人類に希望をもたらす」というのが、従軍記者だったむのたけじの生涯にわたる信念だった。
『東京新聞』(2020年9月29日【本音のコラム】)
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