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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

花岡鉱山事件の犠牲者の名前を刻んだ陶板

2019年05月15日 | 平和憲法
 ◆ 名前のない死者たち (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 毎年六月三十日、秋田県大館市の花岡鉱山で戦時中に虐殺された、中国人労働者の慰霊式が行われる。あまりの虐待に耐えきれず、蜂起、抵抗した「中国殉難烈士慰霊之碑」の前で、遺族が供養し市民が献花する。
 その遺族たちが帰途、栃木県益子町の「朝露(ちょうろ)館」まで足を延ばし、犠牲者の名前を刻んだ陶板に指で触れて帰国する、と補償運動を担当した内田雅敏弁護士から聞いていたので、連休中に一緒に訪問した。
 新緑が輝く雑木林の中の質素な平屋建てが、陶芸家・関谷興仁(こうじん)氏の三十年にわたる作品の展示館だ。
 骨片のような長さ六センチ、幅一・五センチほどの、白字で彫られた陶製の名札が、壁いっぱい、天井に至るまで嵌め込まれていて、圧倒される。
 日本に強制連行された四万人の名前だが「悼(とう)不明」という名前のない白字の列が悲しい。
 「殺サレタモノタチハ眠レナイ。ドウシテ眠レヨウカ」と彫られた文字もある。
 加害者日本人の一人の陶芸家がこつこつ、被害者の名前を彫り込んでいる背中がみえる。展示されているのは花岡鉱山の死者ばかりではない。
 「『大君』のために強盗の戦争に出かけ撃たれ千切(ちぎ)れ飢え病み一片の骨になったあなた方がいます」
 お連れ合いの石川逸子さんの詩「千鳥ヶ淵へ行きましたか」の一節もある。
『東京新聞』(2019年5月14日【本音のコラム】)

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