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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

板橋高校藤田裁判第13回公判(3/23)結審速報

2006年03月24日 | 板橋高校卒業式
 午前中残っていた雨も上がり、カラリと晴れた春の午後、東京地裁前には、最後の法廷を傍聴しようとする人の波が並んだ。鎌田慧さん、北村小夜さんなどの顔も。先着順で傍聴券が手に入らない方も多数出てしまった。満員の傍聴席は、真剣な面持ちで、検察側・弁護側の最終陳述に聞き入った。

判決言い渡しは、5月30日(火)10:00~ 地裁104号法廷にて。

論告求刑は、懲役8ヶ月~誰からも止められずコピーを配っただけで
最終弁論は、無罪&公訴棄却を主張~教育の情理に訴え法廷は感動の渦


1,検察側論告求刑(13:30~14:30)
 検察の「論告求刑」書面は、30数頁とか。約1時間、石嶋正貴検察官が早口で朗読。
 立論の根拠を、藤田さんのコピー配布と保護者への訴えを「制止した」とする田中教頭の証言に求めている。すべては「制止にも関わらず」行われたことから導かれていく。
 しかし、田中証言は、事実関係で検察と弁護側が全く対立している(はっきり言って偽証)あやふやなものなのである。弁護側証人8人すべてが否定しているばかりか、検察側証人で唯一指導主事として証言台に立ったK氏ですら、「制止行為は見ていない」と証言しているものなのである。田中証言を補強すべく、検察側が追加申請したI元校長、S板橋高校教諭の証言も、弁護側から矛盾を追及され、ほとんど立証に失敗していた。
 にも関わらず、臆面もなく強引に、あやふやな事実(=虚偽)から立論を展開せざるを得ない。前提が崩れたら、すべてパーになる危険を冒して、立論がなされている。ここに検察側の苦悩を見た。これは「自爆テロ的」論告とも言うべきものではなかろうか。
 その手前勝手な前提の下に、検察側は、田中証言等を「高度な信頼性がある」と持ち上げ、弁護側8人の証人や藤田氏本人尋問の証言を、ことごとく「誠意が見られず、弁解のための弁解でしかない」と、貶める。
 そして、藤田氏が抗議した声の大きさが「威力」であり、開式が4分遅れたのが「妨害」である(冒頭陳述の5分から1分値切った?)、と決めつけて、厳粛であるべき晴れの卒業式を妨害したことは重大であり、社会的影響も大きい、として、懲役8ヶ月を求刑した。
 朗読の間、傍聴席は、暗い雰囲気で押し黙って聞いている。こんな乱暴な論告で良いのだろうか。

2,弁護側最終弁論(14:50~16:50)
 弁護側の「最終弁論」書面は、160頁以上に及ぶという渾身の力作である。その概要を、8人の弁護士が、交替で次々読み上げる(加藤・大迫・猿田・田場・小沢・浦崎・大山・只野)。本件起訴の真の目的、事実経過(卒業式前、卒業式当日、卒業式以降、本人の行動)、構成要件該当性、可罰的違法性、公訴権濫用論、と重厚な構成で、あらゆる角度から、犯罪要件が成立しないことを論証する。
 ことの本質は「言論の弾圧」にある、都教委の「10・23通達」から教育の本質がねじ曲げられ始めた、ところから説き起こし、無断で録音されたICレコーダは、違法不当に収集されたもので、証拠能力に疑問がある。田中教頭証言とそれを補強する検察側2人の証言は、目撃した場所の矛盾、制止した声が聞こえるはずがない矛盾、などから意図的で悪質な偽証であることを詳述。そして、卒業式の教育的意義で結ばれる。
 卒業式が素晴らしかったのは何故か。君が代?校長式辞?誰もが卒業生の見事な合唱の心意気に感じたからではないか。それも誰からか押しつけられたのではない一人一人の卒業に寄せる思いの表現だったからであり、不起立も誰かから煽動されたと考えること自体彼らを見下す失礼な見方だろう。検察側の「混乱」主張は、卒業式の真の意義を取り違えた、逆立ちした議論であることが見えてくる。藤田さんがそうあって欲しいと望んだ、板橋高校の卒業式こそ、生徒主体の本当に素晴らしい卒業式だったのだ。
 裁判長から「最後に言いたいことがあれば」と促されて、約5分間本人の意見陳述。自らの信念と教育実践を語り、終わると期せずして法廷に拍手が広がるが、この度は裁判長も注意しなかった。

3,報告集会
 報告集会は、約10名の弁護士も含めて100名前後が集まり、藤田先生の教え子のケーキ屋さん(沖縄サミットで採用された!?)から、参加者全員に時ならぬ美味しいケーキの差し入れがあり、なごやかなうちに終わった。

 裁判所門前に立ち続けた藤色の幟も13回、これでしばらくはもう立つことはない。この日まで、「君が代強制」はおかしい、わが国には民主主義があるはずだ、生徒を大切にする教育を失ってはならない、藤田さんの勇気ある抗議は絶対に無罪だ、の思いを共有する人びとが傍聴席からエールを送り見守り続けてきた。判決を待つのみ。

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